力の使い方と暴走
13歳になってから、訓練の割合が少しだけ増えてきた。体つくりだけではなく、魔法や九尾の力の使い方。
魔力量のせいか、魔力操作が雑だとよく指摘される。
「アマコは魔力適性が高いんだが、如何せん魔力量が多すぎて魔力操作が疎かになるな。」
「うーん、でもどうやっても出来ないんだよ。」
「さて、どうしたものか…。」
ルージェスに相談するも上手く扱えない。
「だったら封印してしまえばいい。」
教官が提案してくる。
「封印?」
「そうだ、蓋をして少ない魔力から慣れてもらうしかない。ちょっと万歳してみろ。」
「…ヒィスト王国万歳!!!」
両手をバンザイする。
「いや、なんでだよ…。」
「魔封印!」
「ぐぼぁっ!!!」
教官の手が腹に直撃して踞る。痛い。
「な、なにすんの!?」
「魔力を絞った、これなら扱い方を覚えるだろ。」
「…あれ、ほんとだ。普通に使える。」
手から雷を出してもなんともない。魔封印前に少しは上手くなったとはいえ、騎士からみたら大したことはなかった。
「成功だな、これは最初からすればよかったな。」
「でもずっとこのままなのは不味いよね?教官。」
「魔封印解除はこの状態に慣れてからだ、今は気にしなくていい。」
「そっか、ありがとうございます。」
「気にするな、訓練を再開するぞ。」
「はい!」
ほんの少しだけ、また強くなった。
「雷狐!」
雷を槍の先端のような形状にして手に纏う。少し伸ばすことも出来、ソードビームみたいな形までは変形することが出来る。手からバチバチと音が鳴り人形に向かって突進する。
突き出した手は人形の胴体を完璧に貫通して地面に落落下する。欠点は煩いところと遠距離には対応していない。
「威力が凄いな。」
「これでも魔封印してるから本来の威力はわかんないし、解除後は上手く扱えるか…。」
「確かにそれは難点だが、お前の魔力量は恐らく龍に匹敵する。封印しても出力が俺たちと変わらんから心配しなくていい。」
「そっか、それなら大丈夫だね。」
「しかし、よくこの魔法を考えついたな。」
「○○○○○○を読んだからね、」
「あー、所々その影あるもんな。」
「それは言っちゃ駄目だよ、大ファンなんだ。」
「そうか。」
「うん。」
「けれど問題は刻印持ちや吸血鬼達にどう対処するかだな。どうしたらいいと思うか?」
教官が話を戻してくれる。
「その時は魔封印解除して戦うしかない?」
「そうするしかないが、相手がそれを待ってくれるかだな。」
「確かに。」
「だから自分で解除する必要がある、俺がいないと出来ないは話にならない。」
「じゃあそれも教えてもらわないと。」
「手を出せ、鍵を渡す。」
「鍵?」
言われたままに手を出すと掌に模様が現れて消える。
「魔封印の魔力を込めてそいつを自分の腹に当てると解除する事が出来る。」
「便利だ、技術の進歩って凄い。」
「こいつは元からある封印魔法の一つなんだがな。」
「そう…。」
「…一応問題ないだろう。あとは技量の問題だ、殺されないようやるしかない。」
「アマコ、続きをやろう。」
「うん、まだまだ協力お願い!」
こうして3人は再び訓練を再開した。
こうして雷狐と狐影は問題なく出来るようになってきた。
狐影はもともと分身するだけなので問題はなかったが魔封印の影響で分身の数は以前より出せなくなってきた。
それでも困ることはなかったから大丈夫。
あとは雷狐と狐影の応用で雷の分身を作れるようにはなりたいなぁ。
「全雷狐」
他にも雷狐を全身に纏った雷魔法。これが一番戦闘には向いていて、速度とパワーが倍になる。デメリットとしては動体視力が対応できる範囲ではないと意味を成さない。
あとは他の属性の適性魔法も扱えるようになりたい。
全属性は扱えるらしいがオリジナル系の魔法は雷しかまだ使えない。
簡易的な魔法なら使えるけど。
雷を最初に使えるようになったのは何かかっこいいから。ロマンは大事だ。
まだまだ強くなりたい。
コンコン
ドアをノックして部屋にいるアースランド様に呼びかける。
「アースランド様、入りますよ?」
「うん、いいよ。」
「失礼します。」
「どーぞ。」
「ん?」
「どうかした?」
「いえ…。」
「1週間会えなかったけど、アマコちゃん強くなった?」
「えへへ、わかりますか?アースランド様。」
訓練後にアースランド様の部屋へ訪れる。
仕事で少し会えず、再開は一週間ぶり。
「教官から聞いたよ、ちゃんと雷魔法扱えるようになったね。よかったよかった。」
ワシャワシャ
「へへへへへ。」
この頭を撫でられるという為に生きていると言っても過言ではない。これが好き。
もっと撫でてください。
「でも封印なんて思いつかなかったよ、流石は教官だね。」
「…封印系の魔法を扱えるのはそんなに居ないれすから、きっと教官が凄いんでしょう。」
「そうだね、今でも現役だから私も勝てないよ。あの人、前は王の剣に居たって言ってたから。」
「それは、強い訳にもにも納得がいきまう。」
改めて教官の凄さがわかった気がした。明日からも色々教えてもらわないと。
「顔少し赤いよ?大丈夫?」
「大丈夫てす。」
「熱は無さそうだね。」
「ほぇ…?」
おでこをくっつけて熱を測ってもらう。
「…心配ないです。」
「…今日は一緒に寝よっか?」
「いいんれすか?」
「久しぶりにね、ほら。」
両手を広げておいでってしてくれる。
その瞬間、アマコの中で何かが外れた気がした。
「…。」
「甘えたかったの?」
アースランドの腕のなかに潜り込み、密着する。柔らかくて温かい。
「うん、いい匂い。」
「は、恥ずかしいよ。」
久しぶりだからか全く離れられない。あと、なんかさっきから変な気分がする…。
「きやっ!」
暫くハグを堪能すると押し倒してしまい、馬乗りになる。そして視線が合う。
「アマコ、ちゃん…?」
「…好き、もっと撫でて。」
「ぇえ!?」
アースランドとの顔の距離がゼロになりほっぺスリスリ状態になってしまう。
「近い近いって!」
「嫌?」
「嫌じゃないけど…。」
「…もっとしたい。」
「ゑゑ!?」
なんで、身体が言うこと聞かない…。理性が本能に勝てない。非常に不味い。会うのが1週間ぶりだったから…?でもこれは逆らえない…!!!
「あ、アマコちゃん!?」
(なんか犬みたいになってる…?なんで…?こんなこと今までなかったよね?甘えん坊が爆発してる???)
「…お腹も撫でて。」
仰向けになり、服を口に咥えてお腹を出してしまう。
「…もー、今日だけだよ?」
「うん。」
顔を赤らめながらも全身をくまなく撫でてくれる。
アマコの暴走が収まったのは今から一時間後のことだった。
「ご、ご迷惑おかけしました…。」
「…えっち。」
「別にえっちなことは…。」
「…獣人族のお腹を見せるのはえっちな誘いだって聞いたことあるよ?」
「我は甘えたいときお腹を見せるんですよ…。それに我はまだ13歳ですからそういうのはよくわからないです…。」
「ふーん…。」
「な、なんですか?」
「別に…。」
少しだけ不満そうな顔をしたアースランド様がいた。
「じゃあ16歳になったら教えてください。」
「なんで!?」
「え、そういうものじゃないんですか?」
「やっぱり、アマコちゃんはえっち。」
「ちょっと待ってください!?」
「ふふ、でも今日は一緒に寝よっか。」
「…寝てくれるんですか?」
「言い出しっぺは私だよ?それにアマコちゃんなら大丈夫だよ。寝よっか。」
「それならお言葉に甘えて。」
二人は毛布に包まって横になる。
「もう夜の1時だよ?」
時計を見ると日付を越していた。
「明日、寝坊しないよう頑張りましょう。」
「ちゃんと起こしてね?」
「はい。」
二人は爆睡をかまして次の日は10時に起きることになった。
「アマコ、お前、その歳でか…!?」
「はい!昨日アースランド様に(なでなで)いっぱいしてもらいました!」
「あばばばばばば。」
「え、領主様!?」
会話が噛み合わずに泡を吹いて倒れる領主様がいた。




