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誕生日と両親

訓練や使用人としての日々を過ごし、時間が過ぎて行った。魔力の調整も上達し今のところは少しずつだが順調に力を使えるようになってきた。

いつの間にか13歳になり、今日が誕生日。

沢山の人に祝ってもらい、ケーキやプレゼントを貰った。


「アマコちゃん、誕生日おめでとう!!!」 

「「「「おめでとう!」」」」

パーン!

クラッカーの音と同時にケーキに刺さった蝋燭の火を消す。


「アマコもこれで少しは大人になったか?」

メイド服を着た長身の女性に声をかけられる。


「うーん、実感がわかないや…。」

「だろうね、まだまだ子どもなんだ。大人っていうのはいつの間にかなってるものさ。。」

頭をワシャワシャされてボサボサになる。

でも悪くない気分。


「でもでも身長少しは伸びたんじゃない?」

別の小さいメイドさんにも声をかけられる。

「それでも1センチだけだよ?まだ143cmで全然伸びないよ…。」

我の年齢では身長が低い方。皆最低150cmまでは伸びている。

「訓練のしすぎじゃね?若いうちに筋肉つけすぎると身長伸びないとかあるじゃねぇか。」 

そんなのあるんだ。


「じゃあもしかして、それ?」

「残念だがそこまで追い込むようなことはしてねーよ。」

教官が口を挟んでくる。

「そうなのか?」

「ああ、コイツが単純にチビなだけだ、気にするな。お前の父も背は低かったぞ?母親の方は高かったが。」


そーなの?

「そういえばお父さんのこと全然知らないんだけど、どんな人?」

「は、知らなかったのか?」

「誰も話さないし知らないと思ってた。」

「うーん、話でいいのか?」

皆黙ってしまう、少しだけ空気が重くなるように感じた。

「構わない、せっかくだから話そうか。」

領主様も混じってきた。


「うわ、いつから居たんだ?。」

「うわとはなんだうわとは、別に最初から居ただろう?」

「そーですっけ?」

メイドさんはすっとぼけている。

「…給料減らそうか?」

「あー!それは駄目だろう!?!?!?そんなことしたら寝てあげねーぞ!?」

「は!?」

「へー、領主様も意外と甘えん坊なんだ?」

小さいメイドさんも領主様をからかい始める。

…カオスになってきた。

「給料減らすとか嘘だから黙ってくれ!?!?」

意外な一面を知ってしまった。しかし話が始まりそうにないんだけど…。


アースランド様がパンパンと手を叩く。 

「…お父さん、お母さん、イチャイチャしないで話してよ。」


「おほんっ!わかった、わかった。さてどっから話そうか?」


確かに何処から聞けばいいんだろうか。

「だったら領主様とアマコのお父さんの関係は?」

小さいメイドさんのナイスアシスト。


「そうだな、俺とクウコは単純に言うと友達だな。」

「友達?」

「ああ、子どもの頃から一緒に遊んでバカをやってた。」


クウコと領主の子ども時代

「クウコ!めちゃくちゃデケェザリガニいたぞ!」

「なに!?どこへ!?」

「森の方へ逃げていった!!」

「ザリガニは水生生物じゃないのか!?」

「だからめちゃくちゃデケェんだって!」

「本当か!?」

「見たらわかるって!!」

「行くか!」

「おう!」


二人はザリガニを探しに森の中へ入っていった。

「どこだ…?クウコ、わかるか?」

「うーん、いるにはいるけど。これは…。」

クウコが少し変な顔になる。

「変顔してどうしたんだ?」

「一匹じゃない。」

「は?」

「3匹くらい魔力探知に引っかかる。」

「まじかよ。」

ドンドンドンドン!!!

何かでかい音が聞こえてくる。

「クウコ。」

「後ろに来ている…。」

「せーので振り返るか。」

「ああ。」

「「せーの!」」

振り返るとそこにいたのは8mくらいのザリガニだった。

「…いや、デカすぎんだろ。」

「…俺も遠目だったからわからなかったぜ☆」

「逃げるか?」

「逃げるしかねぇ。」

「「助けてぇ〜!!!!」」

二人はダッシュでその場から逃走した。


「そして何かするたびにセレスティアによく怒られていた。」

「セレスティアっていうのはお前の母親だ。」

メイド服の奥様が教えてくれた。


「…全くしょうがないわね、ほら。」

セレスティアの拘束魔法が発動する。

ザリガニ?の動きは止まって動けなくなる。


「セレスティア!」

「た、助かったぜ。」

「何してんのよ、もう。」

「ちょっと、好奇心で…。」

「…はぁ、ちょっといい?」

「「?」」


パーン!鈍い音が森の中へ響く。

「馬鹿やんないでよね、本当。」

「「ず、ずびばぜんでじだ…。」」

セレスティアが顔面が腫れた二人に説教する。

「殴るわよ?」

「殴ってます…。」


「つまり三人は幼馴染ってこと?」

「私も含めて4人だな!」

意外な付き合いがあるんだな。


「そしてクウコは八尾で現存する狐族の中では最強だった。」

「八尾…。」 

九尾に次ぐ力を持っている狐族。それでも刻印持ちには勝てなかったのか…。

「この国の中でもあいつは強かった。龍種の次に数えられるくらいには。よく戦場に駆け、敵を倒していった。セレスティアと共に。」

「お母さんも?」

「あぁ、セレスティアは魔法の扱いが上手く、目には見えない魔法を扱うことが出来た。」

「今だにどういう魔法かわかんねぇよな。」


「俺は強い二人が羨ましかった、悔しかった、対等で居たかった。だから何度も二人に挑んだ、しかし結局一度も勝てなかった。それでも二人は俺と友達で居てくれた。」


「けど昔セレスティアを巡ってクウコとガチ喧嘩したよな?」

「おい、それ言うなよ…。」

「そしてボコボコに負けた旦那を私が掻っ攫った。」

何この、なに。そして領主様のライフはもうゼロに近い感じがする。


「二人は俺にとってかけがえの無い仲間だ、だから死んだときは悲しかった。お前が家に転移してきて保護したあと、現場に駆けつけるも遺体も何もなかった。」

「…。」

「転移した時はびっくりしたぜ、いきなり赤ん坊が現れたんだからな。けれどそれがクウコとセレスティアの赤ちゃんなのはすぐわかったよ。」


きっと、誰も最期は知らないんだ。


「ちなみにクウコが天遷送還をしているからお前には八尾の力も入ってるはずだ。」

「天遷送還?」

「自身の命を犠牲に他に力を与える魔法、ついで生物を任意に転移させることができる。」

「今は八尾の力を感じないですが…。」

「今は封印してるはずだ、俺の予想じゃ九尾の力を完全に扱えるようになってから初めて八尾の力が使えるようになる。」

「…わかりました。」

「ああ。」


「本来は龍に護衛してもらうのが一番だったが刻印の継承時期で誰も呼べなかったのが痛かったな。」

「龍も刻印を持ってるの?」

鬼に金棒じゃない???

「ああ、そして龍の刻印は特別で寿命が存在しない。」

「強くねぇか?」

「ああ、ヤマタドナがいればもうこの国は安泰なのかもな。」

ヤマタドナ、それがこの国にいる龍の名前なのか。


「そしたら戦争もなくなるんじゃねぇか?殺し合いもしなくて済む。」

「しかし刻印継承の休眠期間が長いから後2年は目覚めない。それに休眠を狙って動く奴らもいる。だから俺たちで守る必要がある。」


「それは初耳なんだがさらっと言っていいものなのか…?」

「それがよくないんだ、もう何回も狙われている。」

「でも刻印継承の休眠ってなんだ?龍以外には存在しないだろ?」

「龍が特別なだけだ、気にするな。」

「護衛はどうなっている?」

「今は他の龍二匹と王家直属の部隊、王の(おうのつるぎ)が対処している。数は少ないがあいつらはかなり強い、心配はしていない。」


王の剣 人間から獣人、エルフに巨人族など幅広い種族の中から選ばれた者で構成された部隊。

皆アースランド様より強いと聞いている。


アースランド様の強さは六尾、王の剣は七尾くらいの強さ持っている。


ちなみに我の尾の数では数えられていない。九尾は特殊個体で計算されていない。

我がアースランド様に勝てないのは単純に経験不足と技術不足から来る物。

力では勝っているけど、その他が疎かになっている。

まだ訓練始めて1年くらいしか経っていないのもある。まだまだ精進しないといけない。


「まー、考えてもしょうがねぇか。いざとなったら国王から連絡くるだろ。」

「そうだな、すまない皆。少し暗い話になった。」

「気にしてねーよ、それより料理残ってんだ、食べようぜ。新しい酒、追加な?」

「ったく、わかったよ。」


新しくお酒を開け、改めて領主様の黒歴史?を皆で楽しむことになった。


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