あれから。
ヤマタドナと住んでから3年近く経とうとしている。
いつの間にか18歳になり、背もだいぶ伸びた。
最初は無茶苦茶な生活だったけどいつの間にか料理や家事を出来るようになっていき、ヤマタドナは人間らしくなってきた。
相変わらず化け物じみた強さは健在で力のない我もそばに居てくれると安心する。
領地と島を行き来しながら生活をしていて領主様にも「お前、もう浮気なのか…?」みたいに疑われている。まだ一緒にお風呂を入ったり、寝ておらず、あくまで一緒に生活しているだけ。
心はだいぶ回復はしているがそれでもアースランド様が恋しい。
明日はアースランド様の命日で屋敷に帰ろうと思う。
「アマコ、明日はどうするんだ?」
「明日はアースランド様の命日だから屋敷に帰るよ。」
お墓に行って弔いたい。
「そうか、なら私も行くか。」
「え、来るの?」
「当たり前だ、私はお前の恋人だぞ?」
「今まで来てなかったじゃん…。」
「気が変わったんだよ、弔ってやろうってな。」
「ドナが、進化した…?」
ちょっと泣きそうになる。
「お前は私をなんだと思ってる。」
「鬼、悪魔、英語の先生。」
「いや、私は龍だからな!?」
「まー、ドナも人の心を獲得してくれて何よりだよ。」
「そいつはどーも。」
少し拗ねてて可愛い。
…可愛い?ドナが?可愛いと思ってしまったのか!? ありえない!?この我が!?
「おい、どうした?」
「いや、なんでもない。」
「ははーん、アマコ。さてはお前私のこと可愛いって思っただろ?」
「きっしょ、なんでわかるんだよ。」
「そりゃあ心読めるからな。」
「は?」
心読めてあれだったの!?人の心…。
「っても基本的には読まないけどな!めんどくせーし。」
よかった、本当に悪魔だと思ったよ。
「それで?可愛いって思った理由は?」
「えっ。」
「気になんだろ、心読めたって口にしなきゃわかんねーよ。」
「…ちょっと拗ねたのが可愛いと思っただけだよ。」
「へ〜。」
めっちゃニヤニヤしてる。ぶん殴りたい。
「しょーがねーなー、今日は一緒に寝てやるよ。」
やかましい。
「別に一人で寝れるんだけど。」
「夜泣いてるくせに?」
「バレてたのか…。」
「全部バレバレだ。」
「…今日だけだぞ。」
「へいへい。」
もう時刻は夜の11時を指している。
二人は寝室へと向かう。
「それでいっつもどうやって寝てたんだ?」
「腕枕してもらいながら寝てたけど。」
「腕枕?それはなんだ?」
えっ、知らないのかよ。まじか。
「こうするもの。」
ヤマタドナと向き合いながら腕に頭を乗せて向かい合う。
「なるほどな、こうしていっつも甘えてた訳か。」
口に出されるのは恥ずかしい…。
「でも悪くねぇな。」
「…そう。」
「よっと。」
「おわっ。」
ヤマタドナが抱きしめてきて、距離は縮まる。
毎日ちゃんとお風呂に入ってるのかいい匂いがする。
柔らかくて温かい。
「これか、アースランドにしてもらってたのは。」
「正解…。」
「甘えん坊なんだな。」
「悪いかよ。」
「いいや、可愛いと思ってな。好きな人に対して行う行為、悪くねぇな。」
やっぱりヤマタドナは変わった。
愛というものを知ったのかな。
今日だけは、我も甘えよう。
手を伸ばしてヤマタドナの背中に持っていく
そのまま抱きしめてさらに距離は縮まる。
「今日だけだからな…。」
「へ、毎日でもいいぞ。」
そのまま二人は眠りについて朝を迎える。
起床すると支度をして屋敷へ戻る。
「久しぶり、ルージェス。」
「おお、久しぶりだな。アマコ。」
「調子はどう?」
「最近は暇だな、トレーニングしかしてない。」
「そうなんだ。」
「魔法科学が発展してきてだいぶ楽になったからな。騎士の時代もいつか終わるんだろうな。」
最近は敵感知も敵の位置も上空にある装置でわかるようになってきた。攻撃もボタン一つで出来てしまう。
かなり進歩してきたんだろう。
それでも上位存在には効かないからまだまだ騎士は必要だ。
今はもう完全に平和で、刻印持ちも現れていない。
「それでも我たちの仕事はそれだけじゃない、街の安全だったり警備もいる。全部が全部機械にはできないよ。」
「それもそうだな。」
「うん。」
「さて、俺たちは訓練に戻る。今日は墓参りだろ?」
「うん、頑張って。」
「ああ、あとで俺たちも行く。」
「わかった、またあとでね。」
「ああ。」
少し世間話をして墓へ向かう。
元気そうでよかった。
「行こうか、ヤマタドナ。」
「そーだな。ピッカピカに磨いてやろう。」
「何時間かけるつもり?」
「魔法で一瞬だぜ。」
「風情がない…。」
アースランド様の墓の元へ着く。
清掃をして花を変える。
今年も来ましたよ、アースランド様。
「さて、掃除はこんなもんかな?」
「ま、及第点だな。」
「なんでヤマタドナが採点するんだよ。」
「いいじゃねーか。」
「全く…。」
「じゃあ手を合わせるか、二礼二拍手一礼だっけ?」
「それは神社ね、手はたたかない。」
「やべっ。」
「ほら、手合わせるよ。」
アースランド様、そちらはどうですか?
私は貴女が居なくなって3年、寂しいですけど今でも頑張って生きてます。
ご飯も食べてお風呂に入ってちゃんと寝てますよ。
アースランド様はそちらで寝坊してませんか?
楽しく過ごせていますか?
会いたいですけど、我が向かうことはないかもしれません。だけど会ったらまた、一緒に寝てくれますか?
今度はちゃんと愛してるって伝えたいです。
だから心配しないでください。
メイド・アマコは必ず立ち上がります。
…また、来年来ますね。アースランド様。
愛してます。
「ぅう。」
「ほら、泣くなよ。」
ヤマタドナから抱きしめられる。
ありがとう。
「アースランド様…。」
二度と会うことはないのはわかってる。
この墓の下で貴女は眠り続けている。
それでも我は貴女が好き。
頑張りますから、見ていてください。
「ごめん、もう大丈夫だから。」
「そうか。」
ヤマタドナと離れる。
「また来年も来るか。」
「うん…。」
二人は島へ帰ろうとするも、我と同じ声が聞こえてくる。
「来年は来なくていい、俺が全て終わらせる。」
「…は?」
振り返るとそこにいたのはいつの間にか姿を消していたメイド・アマコの分裂体だった。
次で最終話かな?




