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刻印が重なるまで

「来なくていいってどういう事だ?」

「言葉通りだ。アースランドはまだ死んでない。」

「は?」

理解ができない。


「お前は何を言って…。」

「色々と動き回ってな、準備が整った。」

「準備?」

何を企んでやがる。


「ああ、アースランドを生き返らせる準備だ。」

「…どうやって?」

「俺の命と引き換えにするだけだ。」

無理だ、アースランド様の遺体は残っていない。

こいつは本当に何を言っている。


「意味がわからない。それにお前は我の分裂体だ、お前が死ねば我まで死ぬはずだ。」

「残念だがそうはならない。俺とお前は既に別個体であってもう同一人物じゃない。」


「…つまりどういうことだってばよ?」


「まず、アースランドの遺体だが、燃やされる前に俺が勝手に拉致した。そして俺の時間停止で遺体を死んだ直前で停めている。そもそもアースランドが死んだ直後にお前が無意識にかけている。完璧ではなかったがな。」


「え。我にはそんなことできないよ。」

なんか色々ドン引きなんですけど。


「それと今の俺には他者の刻印も持っていて、お前とは完全に魔力の繋がりも絶っている。だから俺が死んでもお前は死なない。」


「そう、なんだ?」


「一応死んでるんだが、刻印を刻むと復活する。俺はそいつにかけて全ての刻印持ちから刻印だけを奪い去った。」


「刻印持ちはどうなった?」

「死んでない、俺の神星眼があるならそれが可能だ。」

便利すぎない、この眼。


「そんなことできたんだな。私も知らなかったぜ。」

「そうなんだ。」

こいつはヤマタドナ以上の化け物か?

(失礼だな、化け物とは。)

(こいつ、脳内に直接!!!)


「おほん。とりあえず俺の持っている刻印と命を全て犠牲にしたら生き返る。要は等価交換だ。死人を生き返らせるのはそれほどのものがいる。」


「そしたらお前が…。」

「俺はアースランドを生き返らせたい、ただそれだけだ。」

「…。」

会えるのは嬉しい。だけどそれに対して自分が死ぬのは見たくない…。


「大丈夫だ、心配するな。それと、刻印はお前たち二人以外は存在しなくなる、もうこの世界は平和になるさ。」

「…そっか。」


「さっさと生き返らそう。早く会いたいだろ。まずはお前に力を全て返す、必要なのは俺の刻印と命だけだからな。手を出せ。」

「うん。」

手を掴まれ力が戻ってくる感覚がする。 

懐かしい…。


あれ、以前より力が上がっている…?


「…ありがとう。」

「お前の為だ、気にするな。」


「…死ぬことは辛くないの?」

「アースランドを生き返らせる為だ、それに向こうには父さん達がいる。俺が行って親孝行してやるよ。」


「…ははっ。それなら、さみしくないね。」

「ああ。今からやるから、場所開けてくれ。」

「うん、父さん達によろしくね…。」

「ああ、任せておけ。」


二人は少し離れてアースランド様が生き返るのを待つ。


「さて、やるか。」

何処からかアースランド様の身体を呼び出して

刻印を刻む。


「…星愛転生(せいあいてんせい)

俺の身体が粒子となりアースランド様の身体へ入っていく。

暫くするとアースランド様が起き上がりキョロキョロしている。


「ん、あれ、私は…?」

ほ、本当に生き返った…!?


「アースランド様!我です!わかりますか!」

すぐに駆けつけて確認する。


「あれ、アマコちゃん。久しぶり。」

よかった、成功している。ありがとう、俺…。


「よかった、です…。」

嬉しさの余り、強く抱きしめてしまう。

嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい。


「痛い痛い、どうしたの?なにがあったの?」

「す、すみません。つい、うれしくて。」

ハグをやめて事の顛末を話す。


「私、死んでたよね?」

「はい、我の分裂体の命と引き換えに生き返らせました。」

「…分裂体?」

「話がややこしいんですけど、ゴニョゴニョ。」


「…そっか、ありがとね。」

「いえ、感謝ならアイツに…。」

「そうだね。」


「でも、また一緒にいられますね。」

「うん…!あれそういえば背伸びた?」


「アースランド様が死んでから3年経ってますから。我もう18歳ですよ?」

身長は165センチになりました!

それでもアースランド様とヤマタドナには勝てません。

二人は170くらいあるので…。


「そっか、そんなに死んでたんだ。」

「はい、寂しかったです。」


「おいおい、じゃあ私はどうなるんだ!?」

「あっ。」 

ヤマタドナを忘れてた、なんて話そう。


「どうしたの?アマコちゃん。」

「実は…。」

仕方なくありのままを話す。


「浮気者…。」

「ち、違うんです!!」


「でもいいよ、少なくても次、私が死ぬまでは一緒にいてもらうからね。」

「ありがとうございます。」

「ったく、じゃあ私は恋人終わりかよ。」


「なに言ってるの?恋人は続けるよ。」

「へー、そう。そうか。」

なんかニヤニヤしてる。

でも実際ヤマタドナのおかげでここまで持ち直すことが出来た。感謝している。


「ま、とりあえず、アースランドが死ぬまでは一番を譲ってやるよ。」

「我の一番は常にアースランド様なんだけど…。」

「アマコちゃんの一番は渡さないからね!」

「上等だせ、私の力思い知らせてやる。」

「戦いは駄目だからね?せめて料理対決とかにして。」

「「はい。」」


ギャーギャー二人が暫く言い合ってると領主様達の声が聞こえてくる。


「賑やかだな、お前、ら…。」

「あ、お父さん。」

「アースランドなのか…?」

領主様が眼鏡をとって目が4になる。

4!?

3じゃなくて!?


「うん、だいぶ老けたね。」

「アースランドぉぉぉおおおおお!!!!!」

「痛い痛い痛い痛い!!!」

「すまん、いや、どうして…?」

「色々あってね、お母さんは?」


「呼んでくる!!!!」

いきなり走って消えていく。


その後、ルージェスやメイドさんたちも集まってきて今回起こったことを話した。


皆驚いたり、いつの間にかパーティになって酒瓶が転がりまくっていた。おいしいご飯も食べられて良かった。

とても楽しい時間だった。


それからアースランドとヤマタドナと三人で楽しく暮らした。


「…ありがとう、アマコちゃん。」


ステラ・アースランドは96歳でその生涯を終えた。

沢山の人に見守られて旅立っていった。


2回目の別れも沢山涙はあったけど、笑って終わることが出来て良かった。


また会いましょう、アースランド様。

ヤマタドナと二人で頑張ります。


それからまたときは流れ、アースランドの死後、30年が経った。


魔法科学が発展して、もう戦うことはなくなっていた。

今では上位存在でも殺せるほどのものが出来上がり出番はなくなった。


それでも最上位存在の我たちには効かないけどね。


今は密かに身を隠して龍の島から離れた場所でのんびり生活している。

農業しながら野菜を育てている。


「あのときは楽しかったね、ドナ。」

「ああ、色々と無茶苦茶だったな。」

「そうだね、俺は化け物だったな…。」

「ああ、全くだぜ。」

昔のことを今でも昨日のように思い出す。


「だけど、私もお前といつの間にか夫婦になれて幸せだ。」

「うん、我も嬉しい。」

二人の左手の薬指には三人でお揃いにした指輪がハマっている。


「やることないし、アースランド様の墓参り、明日行こっか。」

「そうだな、ピッカピカにしてやろう。手洗いでな!」

「何時間かける気?」

「いいじゃねーか、時間はたっぷりあるんだし。」

「そうだね、その後玄孫にも会ってく?」

流石に正体は隠してる。だって年取らない化け物が二人だよ?


「ああ、お小遣いとついでに加護もやるか。」

「発言が完全におばあちゃんじゃん…。」

なんか、もう人の心しかない。


「じゃあ今日は一緒に風呂はいって寝ようぜ。」

「…毎日じゃん。」

「いいじゃねーか、これからは私の時代だ!」

「ちゃんと愛してるからそんな事しなくて良いのに、全く。」

「お、それは嬉しいな。もう一回言ってくれ。」

グイグイ迫ってくる。


「な、なにを?」

「愛してるって。」

今でもヤマタドナに言うのは恥ずかしい。


「…愛、してる。」

「ああ、私もだ。」

「ちょわ!?」

「へへーん、引っかかったな?」

「んっ!?」

ヤマタドナに押し倒され唇を奪われる。


「…くそ、こうなったらヤケだ。やっみせろよ!アマコ!」

なんとでもなるはずだ!


「燃えてきたぜ!!!」


そうして二人はなんだかんだ朝を迎えることになった。


「だめ、だった。」

「スッキリしたぜ☆」

化け物め…。


「うぅ。」

「ほら、早く着替えて行こーぜ。もう昼だぞ。」

いつの間にか12時になっていた。


「…行こっか。」

二人はシャワーを浴びて、支度を済ませると手を繋ぎながらアースランドの元へ向かった。


時空間魔法は一瞬で着くから使わない、風情がないからね。



よく草原が見渡せる墓の元へ行き、挨拶をする。

前に誰か来たんだろうか、ピカピカだ。


「お久しぶりです、アースランド様。今日もいい天気ですね。」


(そうだね!来るの待ってたよ!)


「! ははっ、聞いてください、アースランド様。ヤマタドナがですね…。」

「おい!それは言うなよな!?」


一瞬、何処からか聞こえた声に耳を傾けながら、

快晴の空のもと、三人は楽しそうに話していた。

 


刻印が重なるまで 〜愛と喪失の螺旋〜

おわり。


これにて完結です。

短い話ですけどありがとうございました。

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