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ステラ・アースランド

「…これは、本気でやばいわね。」

(私の本能が恐怖を感じてる。

十尾となった狐に龍の力までを与える、馬鹿げた女。

目の前にいる九尾の子どもは殺意が抑えきれずに、私の方までそのドス黒い殺意が流れてくる。)


「お、お願いだからやめてちょうだい…?」

「星影。」

足が震えているノワールを拘束して殴りかかる。

顔面が腫れ上がり、醜くも絶えない姿になるがやめられない。


刻印は勝手に力の使い方を教えてくれる。頭に流れてくるようだ。


「お、おねがい、だか、ら。」

「…やめるわけねえだろ!だったら最初から喧嘩を売るな!」

「ご、ごめん、な、さい。」

「…何を言おうと、お前たちは殺す。」


「…やめ、て。」

命乞いを無視してとどめを刺す。


「消えろ、雷星(らいせい)

右手に雷を纏い、ノワールの心臓を目掛けて貫く。

時空間を切り裂いて、全てを貫く。


「かひゅっ。」

血が手にかかり、苦しそうな面が見える。

もう、いいよ。

きっと今はお前たちに対しては何も感じない。

ここで全て終わりにしてやる。


「今度こそ、消えてなくなれ。」

手を抜き取り、そのまま跡形もなく魔法で消し飛ばす。


もう、いいや。

早くあいつら全員、殺そう。

アースランド様に会わなきゃ。


「星影。」

再び分身を作り出して、残りの刻印も縛り上げる。

「う、動けない…。」「何が…?」「クソがぁ!」


「アマコ、お前…。」

「ヤマタドナ、遅くなった。」

「いや、わりぃ。まだ力が完璧には使えなかったわ。」

「仕方ないよ、起きたばっかりなんだし。」

ヤマタドナを責めてもどうしようもない、むしろ一緒に戦ってくれて助かった。


「こいつら全員どうする?」

「…こいつらは全員、俺が殺したい。」

「なんで?」

「アースランド様の敵だ。」

「んー。まぁ、それならいいぞ。」


「お、お前!?」「止めないのかよ!!」

「あ?だいたい仕掛けてきたのはお前らだろ?殺されても文句言うなって。」

「だからといって俺たち皆殺しかよ!」

「まだ死にたくねぇよ!」

「みっともねぇ面すんなよ、潔く死ね。」

「クソッ。」


「…お前らのせいでアースランドは死んだんだぞ?命乞いする時点で可笑しいだろ。」

「そんな…。」

「じゃあな、星愛玉(せいあいきゅう)

尾の先端を集めて黒い玉を作り出す。

それを極大にして刻印たちへ放ち、跡形もなく消し飛ばす。


「…終わった。」

「早くアースランドのところへ行け、あとは私に任せろ。」

「ありがとう。」


刻印持ちを片付けると、急いでアースランド様の元へ駆けつける。

だけど、動かない…。


「…アースランド様!アースランド様!返事してください!!」

治癒魔法をかけるも回復する兆しがない。


「なんで!どうして!」

効かないことはわかってる。でも諦められない。


「お願い、だから…。」

これで終わりは嫌だ。

まだ、話足りないよ。


「ぁ、アマコ、ちゃん…。」

「アースランド様!」

意識を取り戻してくれた、治れ治れ治れ治れ治れ治れ治れ治れ治れ治れ治れ治れ!!!!!


「ごめんね、やりたいこと、まだ、あったのに。」

(もっと、ずっと、一緒に居たかったな。私がおばあちゃんになっても一緒に…。)


「喋らなくていいから!治すから!」

駄目だ、なんで、治らない。治ってくれ。


「私は、これからも、アマコちゃんが、幸せでいるなら、それでいい。」

(これから先、どんな事があっても私は見守ってるから。安心して。)


「アースランド!!!」

「…私は、幸せだったよ。」

(20年、ずっと貴方と生きてきて、楽しかったよ。アマコちゃんはまだ15歳、きっとこれからも色々あるだろうけど、どうか、どうか、幸せでありますように。)


「…我も幸せだったから!あと少しで治るから!」

(ごめんね、先に逝くことになって…。でも、きっと貴方は立ち上がると信じてる。大丈夫。)


「愛してる。」

(またね、アマコちゃん。)


「アースランド!!!」

(ありがとう。)

目を閉じて、アースランドの手が地面に力なく落ちる。

慌てて支えて、手を握るが何も返ってこない。

21gだけ体重が軽くなるが、抱いている身体は重く感じてしまう。


「アース、ランド様…。」

「…我も、貴女を愛しています。」

アースランドと唇を重ねる。


最期のキスは、体温から温もりが失われていく感覚を

植え付けられた。



ねぇ、アマコちゃん。私は貴方の目にはどう写ったかな、可愛いって思ってくれたかな?綺麗って思ってくれたかな?貴方の恋人で私はすごく幸せだったよ。


貴方が生まれたときから私が死ぬまでずっと一緒にいたけど、私は貴方がかっこよかったよ。甘えん坊でいつも私にベッタリで可愛かったけど、いつの間にか私より強くなって、逃げ出しても、なんだかんだ最後まで一緒に居てくれて嬉しかった。告白してくれた時も。


私がいない世界で辛いかもしれないけど、頑張ってね。これから先、私は何があっても貴方の味方だよ。ずっと貴方を愛してる。


「大きくなったね、アースランド様。」

「クウコ様、セレスティア様…。」

「息子と仲良くしてくれてありがとね。」

「…こちらこそ、アマコちゃんと合わせてくれて、ありがとうごさいます。」

「さぁ、貴女たちの話を聞かせて、私気になるわ。」

「ぐすん。はい…!」


こうして刻印との戦いは終了し、誰も救われない結果になった。


「アマコ、ご苦労だった…。」

「はい…。」


アースランド様の葬式では沢山の方が来てくれたらしい。

国王様や貴族やヤマタドナも。


ただ、我はもう限界だった。

精神的に。

だから葬式には参加せずに、一人屋敷の部屋に引きこもっていた。

何も気力が起きない。


あれからひと月経つが、今も変わらず部屋に引きこもっている。

もう部屋から一歩も出ていない。

ずっと、部屋の隅でうずくまっている。


「…アマコ、ご飯、置いとくね。」

「…しっかり食えよ。」


メイドさんたちが食事を持ってくるも食べる気が起きない。


いつの間にか寿命はなくなり、食べなくても寝なくてもいい身体になってしまった。

刻印も我の力が龍より上だからか、寿命というデメリットも消え去ってしまった。


ベッドで横になって目を閉じるとアースランド様との思い出が蘇って辛くなる。あの人の笑顔も泣いた顔も死んだときの顔も全部、瞼の裏に現れる。


目を開けてても部屋のあちこちにアースランドとの思い出の品や写真が視界に入って辛くなる。

全部破壊してしまいたいけど、それだけは出来なかった。


「おぇっ。」

吐いても何も出ないし、出るのは空気だけ。


アースランド様が死ぬのは解ってた。

でもあんな死に方は認められない。


なんで、こんなことになったんだろう。

なんで、あいつらはいきなり攻めてきたの。

刻印持ちを全員揃えたから…?

ヤマタドナに勝てると思ったから…?

なんで…?


でも、また刻印持ちが現れたら?

敵がいるなら?

また、ヤマタドナが狙われるなら?


(…だったら全員、殺してしまえばいい。)

何処からか黒文様の殺意が溢れてくる。

でもそんなことしたら、関係ない人も。


(もう殺してるんだ、今更だろ。)

それでも、関係ない人達は…。


(もう、我慢しなくていい。)

…そっか、敵を全員殺したら、いいのか。

だったら敵国全員、殺そう。


身体から刻印を解放して、部屋を出る。

しかし、そこにいたのはヤマタドナだった。

たぶんあと5話くらいで完結するかも。

そこまで長くは続けないはず。

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