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刻印の継承

「なんで、ここにいる…!?」

「少し手間取ってね、改めてあなたたちを殺しに来たわ。」

ノワールの身体から黒文様が現れる。


「あれは刻印!?なんで!?」

刻印持ちに対抗できる上位存在に刻印を刻む、一番やってほしくないやつだ。その力は膨大に膨れ上がり、もはや化け物だ。


「おい、前はシオンとやらは居たはずだけど?」

「あら、九尾。生きてたのね。」


「質問に答えろ。」

「死んだわ、私に刻印を刻んでね。」

シオンは犠牲になったのだ、犠牲の犠牲に。


「…くそっ、アースランド様、ここは我が。」

「…駄目だよ、二人がかりじゃないと。」


「いや、お前ら下がってろ。私がやる。」

「ヤマタドナ!?」

振り返るとそこには龍がいる。 

いつの間に来ていたんだ。


「あら、光栄ね。最強が相手だなんて。」

「クウコを死なせちまったからな、だからこのガキは私が守る。」


「でも残念、私だけじゃないの。ここに来たのは。」

「こいつは…。」


次々と刻印持ちが現れる。状況としては3対8

まさか残り全ての刻印持ちを集めるとは…。

「ったく、数が多すぎるぜ。」

「ヤマタドナ、我も戦う。」

「あー、流石に頼むわ。1体くらいは平気だろ?」

「でも、ヤマタドナの負担が…。」


「気にすんな、格の違いを教えてやるぜ。」

ヤマタドナから黒文様が現れる、その瞬間、背筋が凍る。

一瞬でわかってしまった、こいつは化け物だ。


「…行くぜ。」

瞬く間に姿を消して、極大魔法で一人を消し飛ばす。刻印持ちは反応出来なかった。


「まず一匹。」

我でギリギリ追えるくらいだ。


「は…?」「もう一人死んだの…?」

ノワールや他の刻印持ちも啞然とするしかない。


「なんだ、刻印持ちもこの程度か。」

少しがっかりした表情をしている。


「ちょっと、想像以上に化け物じゃない!」

「…ここまでは想定出来ねーよ。」

「バケモンすぎるだろ…。」

仲間割れが始まりそうな予感。

今のうちに叩きたい。


「全雷狐!」

我も一人の刻印持ちへ突撃する。

昔とは違って、九尾の力を完全にコントロール出来ているから対処出来る。


「九尾め、この俺に勝てるとでも!?」

「勝てるさ、お前くらいなら。」

「くそっ!」

「雷狐…。」

鈍い音が鳴り、相手の心臓を貫いて殺す。

やっぱ、この感覚は好きには慣れない。


「なんだ、余裕そうじゃねぇか。」

「…そうでもないけど。」

残りは6人。まだやるしかない。


「…貴方は私が相手よ、九尾。」

目の前にはノワールが現れる。


「血皇吸血鬼…。」

こいつが相手か、流石に負けるかも。

刻印持ちであっても強さはピンキリ、我は一番弱そうな奴を狙っただけ。


「さぁ、やりましょう。今度こそ殺してあげる。」

「…悪いけど、そう簡単には死なないよ。」

「素敵ね。」


ノワールとの戦闘が始まる。

血を剣にして斬りかかってくる。

我もそれに対抗すべく雷狐をソードにして応戦する。


我も九尾の力を全開にして挑むが力がまだ足りない。

避けるのが精一杯だ。


「あら、避けるだけ?」

「…思ったよりあんたが強くてね。」

「あら、嬉しいわ。」

「随分と余裕そうだね。」

「強者とは余裕を持ってるのよ。」

「ヤマタドナにビビってた分際でか?」

「全く、口の減らないガキね。」


猛攻が続く、どうしたらいい。


(力を解放しろ、アマコ。)

頭の中で声が聞こえる。

「誰だ!!」

「なに、急に大声出して。」

「お前には関係ない。」

「あら、そう。」


(右手に魔力を込めてくれ。)

「今そんなところじゃないんだけど!!」

「さっきからなにブツブツ言ってるの?」


「アマコちゃん!!!」

何かを察したアースランド様が割って来た。

もしかしてこの声は父さんなのか…?


「アースランド様!?」

「なにするかはわからないけど、時間くらいは稼ぐから!!」

ヤマタドナは他の5人と戦っている、こちらに割く余裕はないはず。

「あら、昔シオンを吹き飛ばしてくれた女ね。」

「アマコちゃん、早く!!!」


「わかりました、すぐやります。」

目を閉じて右手に魔力を込める。


こっからどうするんだっけ?

(手をお腹に当てて八尾の封印解除をしてくれ。)


「…解除。」

力が溢れてくる。そして目の前には我にクリソツな男がいる。


「やっと会えたね、アマコ。」

「…父さん。」

「俺の力をお前に託す。主に治癒魔法くらいだけどな。」

「うん、ありがとう。」

「母さんとは会えたね?」

「会えたよ、神星眼も開眼させてくれた。」

「そっか、それはよかった。」

「父さん、守ってくれてありがとう。」

「ああ、俺はもう行くよ。」

「うん、元気でね。」

「ああ。」


目を開けて精神世界から出る、アースランド様はまだ足止めをしている。


「行くか。」

九尾に八尾の力をインストールする。

尾の数が一つ増え、十尾になる。

魔力量が膨大になったのがわかる。


「ここまでよく頑張ったんじゃない?」 

「くっ…!」


マズい、アースランド様の元へ飛ぶ。

攻撃が当たる直前に割って入る事が出来たが、満身創痍だ。早く治療しなきゃ。


「アマコちゃん!?」

「間に合いました、アースランド様、すぐ治します。」

「治癒魔法、使えるようになったんだね。」

「はい、父さんのお陰です。」

八尾の治癒魔法で怪我を治す。

我は今まで治癒系の魔法だけは使えなかった。

それを八尾の力で使えるようになった。


「…あら、貴方。何があったのかしら。」

「力を貰っただけだよ。」

「とても嫌な感じね…。」

「そろそろ終わりにしよう、星影(せいえい)。」


目には見えない分身を作り出して縛り上げる。

我の分身を神星眼の領域へ送り、攻撃する。

この眼を持つものにしか見えないため、対処は出来ない。

だけど作り出せるのは4人が限度。

これが出来るのも、きっと父さんと母さんの力の影響なんだろう。


「これは、動けないね。」

「悪いけど、ここでお前は殺していく。」

「そう、素敵ね。」

「雷狐…。」

右手に魔力を込めて雷を放出する。

バチバチと音が鳴り響く。


「…じゃあね。」

ノワールの心臓を貫こうとするが、自身の雷が心臓を貫いている。


「おぇっ…。」

なにが、起きたんだ…!?

こいつは動けないはず…。

痛い、でも治癒魔法で治すことが出来る。


「あら、こいつは本当に効くのね。仕込んでおいてよかったわ。」

ベロから小さい鏡を出して吐き出す。


「アマコちゃん!!!」

「大丈夫です、すぐ、治りますから。」

意識を集中させて、心臓を治す。

だけど今の一瞬で星影は消えてしまった。


こいつを作り出すには時間がかかる。

次はないかもしれない…。


「よかったわ、これで形成逆転ね。」

いくら十尾になったとは言え、まだ力は向こうが上だろう。

何を隠している。さっきの鏡と言い何か他に仕込んでいるのか…?


「くそっ。」

「貴方もまだまだ子どもね、戦闘経験がまだ浅いわ。私の口まで封じておくべきよ。」

「やられた…。」


次のチャンスはあるだろうか…。

どうする…?

ヤマタドナはまだ戦闘中、もう少し時間がかかるだろう。


「それともう一つ教えてあげる。」

「なに?」

「怒りの感情を起点に刻印を一気に引き出せば、まだ力はあげられるわ。」


「はぁあああああ!!!!」

やばい、ノワールの力が膨れ上がっている。

しかしそんなことをすれば寿命が極端に短くなる。


他5人も力を引き出し、ヤマタドナの足止めを行っている。

「くそっ、じれってぇな!!!」

もしかしてヤマタドナは眠りの影響で、まだ力を完全には引き出せてないのか…?


「まず一人ね。」

「きゃあ!!!」

アースランド様が吹き飛ばされる。


「アースランド様!!!」

「これで二人目かしら。」

駆け寄ろうとするも、いつの間にか目の前にいるノワールに吹き飛ばされる。

「…痛った。」


アースランド様はどこだ…?

魔力探知で居場所を探る。


「…居た、早く行かなきゃ。」

「流石にまだ、息はあるのね。」


首を掴まれ息が出来なくなる。

「ガハッ。」

またあの時と一緒…。

このままじゃ皆死ぬ。

どうすれば…。


「私はまだ、戦えるよ…。」

「アース、ランド様…。」

ただの一撃でアースランド様はボロボロだ。

早く逃げてください…。


「アマコちゃん、あとは頼むよ…?」 

待って、何をする気ですか???


アースランド様が右手に魔力を込めて黒い何かを出している。

あれは、魔法なのか…?


「この刻印が刻まれてから自然に教えてくれた、力の使い方…。」

何を言って…。


「刻印の、継承方法も…。」

まさか、やめてくれ!!!

それだけは!!!


「アマコちゃん、勝ってね…。」 

パシッ。


いつの間にか我の後ろにいるアースランド様に何かを流される。


「ちっ、油断したわ…!!!」

ノワールは我ごとアースランド様を投げ飛ばし距離を取る。


「 アースランド様!!!」

「…あと、は頼む、よ?」


身体に何かが流れてくる、黒くてドス黒い何かとアースランド様の記憶が…。


楽しくて嬉しくて悲しくて辛くてでも幸せだった日々。


もう、終わりなのかな。まだ一緒に居たかった。

涙の記憶が流れてくる。


アースランド様…。 

…あとは、任せてください。

あいつは、あいつらは俺が倒します

…殺さなきゃ。


「…お前たちは絶対に、殺してやる。」

メイド・アマコは怒りの感情を顕にしながら立ち上がる。

身体に黒文様を浮かべて。

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