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幸せな結婚式

領地に戻った二人はアースランド様のやり残したことをやろうとしてる。


「アースランド様のやり残したことって、なんですか…?」

「…ウェディングドレス、着てみたかったの。」

「ウェディングドレス、いいですね。やりましょう、結婚式。」

「写真撮るだけだよ!?」

ウェディングドレス、女の子は誰だって一生に一度、このドレスを着たいと夢を見る。

我はそれを叶えてあげないとな…。


領主様に話を通してすぐ出来るよう手配を取ってもらう。

「そうか、あとひと月…。」

「…貴女のやりたいようにやりなさい。」

「…ごめんね、お父さん、お母さん。」

「…やり残した事がないよう、務めを果たせ。」

「…はい。」


「領主様、少しいいでしょうか。」

「なんだ?」

「お願いが、あります。」

久しぶりに我儘を言った気がする。


「…わかった、俺もそれは協力しよう。」

アースランド様だけ先に行かせて追加で要望を叶えたい、せっかくなんだ。


その後、アマコは領主様が予約してくれた会場に向かう。アースランド様は先に来ていた。

「すみません、少し遅れました。」

「アマコちゃん、どうかしたの?」

「いえ、少し領主様とお話を。」

「そっか。」

軽く謝罪をしてウェディング場の店員にも謝罪する。


「お待ちしておりました、アマコ様、アースランド様。」

「急なお願いでごめんなさい。」

「いえ、貴方の父にはよくお世話になっておりますので。これくらいは…。」

「ありがとうございます。」

「アマコ様はクウコ様と同じ白のタキシードを着てみますか?」

「父さんと同じ…?」

「16年前、セレスティア様とクウコ様の結婚式はここで挙式しました。よくお父様に似ているのですぐに分かりましたよ。」

父さん達もここで式を挙げたのか…。


「…わかりました、お願いします。」

「ええ、すぐ化粧から致しますのでお二人ともこちらへ。」

「「はい。」」

二人は新郎新婦、それぞれの控室で着替えやメイクを行った。

「またあとでね、アマコちゃん。」

「はい。」


「似合うかな…?」

「ええ、お似合いですよ。」

いつもは黒いコートや執事服ばっかりきてたからなんか白は新鮮だ、あとなんか汚しそうで怖い。


「なんか、恥ずかしいな。」

「クウコ様と一緒でカッコイイですよ。」

「そっか、ありがとう。」

「どういたしまして。」


アマコは着替えを終わると控室の扉を開けてバージンロードを歩く。


「おお、立派だな。アマコ。」

「ルージェス。」

「その眼にやきつけておけよ。」

「うん…。」


そこには屋敷の皆がいて国王や他領の貴族もいる。


「ったく、人使い荒れぇよ。どんだけ呼ぶ気だ?」

「…ありがとう、ヤマタドナ。」

「しゃーねぇ、弟子の子どもの頼みだからな。」

「…今度ちゃんと我も弟子入するよ。」

「おう、ビシバシ鍛えてやるぜ。」


ヤマタドナの転移魔法で次々と拉致して来ている。

龍の命令であるのならば国王様であろうと逆らえない。


「貴方がアマコか?」

「はい…。」

振り返ると国王様がいた、そういえば父さんと面識はあるんだったな。


「クウコとセレスティアに似ていい子だ、今日の結婚式、楽しませて貰うよ。」

「急な事で、申し訳ありません…。」

「いいんだ、ヤマタドナ様の命令でもある。今こうしてこの国が平和であるのもアマコのお陰でもある。」

「そうですか、ありがとうございます。」


今は特に戦争もなく、平和に生活出来ている。


「クウコやセレスティアには幾度となく助けられた。」

「そうそう、あの二人の息子の為、今日くらい大丈夫さ。」

「龍が王城にいるから平気だ。」

「九尾なのはクウコたちも鼻が高いだろうな。」


「…皆様、ありがとうございます。」

改めて頭を下げる。ありがとう、父さん、母さん。


皆好き勝手に立ち話をしていると司会の方が

「もうそろそろアースランド様がご入場されます。」ということでフルーツバスケットみたいに皆は慌てて席に着く。


「私の席がない!?」

「私の隣に座り給え。」

「国王様!?」


我は祭壇に行き、アースランド様を待つ。 

どんなアースランド様が見られるんだろう。


「ただいまより、新婦のご入場となります。皆様拍手の方をお願いいたします。」

アースランド様が驚きつつも領主様と我の元へ来る。


純白のドレスに包まれて綺麗だ、美しい。これ以上の芸術は存在しないだろうし、目に焼き付けておこう…。


「あ、アマコちゃん、これは…!?」

「…領主様にそのまま式挙げたいと言ったらこうなりました。」

「そ、そっか。ありがとう。」

「いえ、こちらこそありがとうございます。」


「これよりアマコ殿とアースランド殿の祝言の儀を行う。」

神父によりぶっつけ本番結婚式が開場した。

正直流れが全くわからない。


「汝、アマコ。貴方はアースランドを最愛の人として、その命尽きるまで共に歩むことを誓いますか。」

「ええと、誓います。」

我はまだ15歳。本当は結婚出来ないけど、なんか体験できて嬉しいな。


「汝、アースランド。貴女はアマコを最愛の人として、生涯を捧げることを誓いますか。」

「誓います。」


「ならば誓いの証を。」

ええと、なに? なにすんの?

やばい、流れを知らない…。


「アマコちゃん、こっち向いて目閉じて?」

「ん? はい。」

言われるがまま目を閉じると、気配が近づく。


「んっ。」

アースランド様から唇を重ねられる。

柔らかくて温かい。離したくなくなる。


目を開けるとアースランド様の笑った顔が眼に入る。

近くで見ると、本当に美しい…。


パチパチパチパチと祝福の音が聞こえる。

振り返ると領主様とお母様、他の皆も泣いていた。

喜びと悲しみの感情が入り混じっている。

…実の娘が親より先に死ぬ。

我もアースランド様が居なくなるのは今でも耐えられない。


その後も淡々と式をとりおこない、無事終了した。

急だったので料理は簡易的なものしかなかったが、

皆楽しそうにしてくれて嬉しかった。


「うげぇ、またかよ…。」

その後は皆を返して、二人きりになる。

ヤマタドナ、またごめん。


「は〜、楽しかった!」

「とてもいい結婚式でしたね。」

正直、すごく幸せを感じることが出来た…。


「扉空けたらお父さん居てびっくりしたよ。泣いてたし。」

「ちょっと、我儘言っちゃいました。」

「珍しいね、我儘言うの。」

「我だけ堪能するのもいいんですが、せっかく着たから領主様達にも見せたかっただけですよ。」

「…そっか、ありがとう。」

「どういたしまして…。」

身体を寄せ合って頭を預ける。

あと、ひと月。

やれることは全部やろう。


「…アースランド様はまだやりたいことありますか?」

「うん、あるよ。沢山。」

「じゃあ、やりましょうか。我ももう逃げません…。」

「うん、ありがとう。」


「それでやり残したことはなんですか?」

「旅行に行ってみたいし、お揃いのアクセサリーを買いたい。他にもまた一緒に手をつないでデートしたい。花火も見たいし、紅葉も見たい、大っきい雪だるま作って、雪合戦もしたいな。」

「ふふ、いっぱいありますね。」

「うん!どれからやろうかな。」


こういう少し子どもっぽいところも可愛いな。

「明日、まずはアクセサリーから買いに行きましょうか。」

「うん! アマコちゃんはどんなアクセサリーがいい?」

「我も指輪ほしいです、戦闘に邪魔にならない感じの。」

「わかった、じゃあ明日ね。」

「はい、それとお願いがあります。」

「なに?」

「今日からは、また一緒に寝てほしいです…。」

「うん、いいよ。最期までいてあげる。」

「ありがとうございます。」


「じゃあ家に帰りましょうか。」

「うん。」


二人は手をつないで帰宅する。

帰り道は何処のお店に行こうか相談している。

しかし何かを感じる。


「アースランド様、止まってください。」

「うん。」

これは、我の知ってる魔力。こいつは…?


「久しぶりね、刻印の少女。それと九尾の子ども。」

上を見上げると2年前くらいに屋敷を襲った、血皇吸血鬼のノワールが居る。身体に刻印を刻んで。


「さぁ、第二ラウンド。始めましょう。」

再び戦いの火蓋が切って落とされる。

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