愛
「アースランド、お前!?」
(なぜ、アースランドに刻印が…!?)
「心配しないで、お父さん。こいつらは、私が殺す…。」
身体に黒文様が浮かび上がる、どうやら世界に祝福されたらしい。しかしこの力はデメリットが大きすぎる。
「待て、アースランド!!!」
アースランドは父親の命令を無視してシオンへ向かう。まるで瞬間移動したみたいに移動して、そのまま蹴り飛ばして地面へ叩きつける。
「痛ってぇ…。」
「あら、大丈夫?」
「…ああ。」
「…やっぱりバケモンね。、刻印持ちは。」
「まさか、こいつが黒文様を貰うとはな…。そういや去年、誰か死んでたっけ?」
「ええ、それにしても厄介ね。力ある者の刻印は厄介極まりないわ。あなたとは違って…。」
「…うるせー。」
「殺す…。」
感情が殺意に彩られている。
「…しかしこれは面倒ね、さっさと退散しましょう。」
「そうだな、このままだと最悪どっちも死ぬかも、戦力を整えよう。」
「そうね、こういうときは逃げるが勝ちよ。まだ死にたくないもの。」
「逃さない…。」
アースランドが二人の目の前に現れる。
「…まじかよ、拘束!!!」
シオンの拘束魔法が発動して、全身を縛る。
(これで一瞬、隙が出来て逃げられる。)
「! 身体が、動かない…。」
「悪いが今日は退散だ!」
「ええ、またね!」
「待て!!!」
視界を遮られたことにより、二人は目の前から姿を消す。
「…はあ!!!」
拘束魔法を手で引きちぎる。
「敵はどこにいったの!!!」
「アースランド、落ち着け!!!」
「私が敵を討たなくちゃ、アマコちゃんは!!!」
「落ち着いてください、アースランド様!!!」
いつも聞いたことのある声の持ち主から、後ろから抱きしめられる。そこには死んだはずの狐がいた。
「…ぇ、アマコ、ちゃん…?」
「アマコ?お前、さっきまで…。」
「とりあえず、我は、生きてますから…。」
「…よかった!!!」
「苦しい苦しいです、もうちょい弱く…。」
「ご、ごめん。」
ここで一旦、ハグは終わりにする。
「お前、死んでなかったか?」
「1回死にましたけど、仮死状態っぽかったです。」
「…何があったの?」
「…お母さんに、会いました。」
「セレスティアに!?」
「なんか、一度だけ生き返らせてあげるって言われて。ついでに力貰って…。」
「…そうか、流石だな。」
「はい、会えてよかっです。」
「…よかったね、アマコちゃん。」
「アースランド様…。」
身体に黒文様が浮かんでいる、刻印持ちになってしまった…。
結果として我は神星眼を開眼出来て、完全に九尾の力は制御出来るようにはなったけど…。
アースランド様のもう残りの寿命は…。
嫌だなぁ。
どうにかならないかな…。
どうにもならないのかな…。
過去回想
「ここは…?」
「まさか、こんなに早く来るなんて…。」
振り返るとそこに居たのは綺麗な高身長のエルフのお姉さん。
可愛いけど、なんか我のこと知ってる人…?
何処かであった…?
「えっと、ここはどこ?」
「ここはあなたの精神世界よ。」
「精神世界?」
「そう、今死んでるんだけど、仮死状態ってところ?本当に死んでたら意識もないからね。」
「仮死状態…。」
「そ、まだギリギリ生きてるだけ。他の人には死んだように見えるけど。」
「そっか…。」
でも、こっから死ぬのかな…?
最後に好きって伝えられたからいい、かな。
「そう落ち込まないの、一度だけ生き返らせてあげるから。」
「…えっ?」
この人はなにを言ってるんだろう…。
「私の残りの魔力を使ってあなたを生き返らせる、いいね?アマコ。」
「…え、なんで、我の名前を?」
「だって、私はあなたの母親よ?」
「そう、なの?」
「そうよ、アマコ。」
この人が、お母さん!?
見た目はかなり綺麗なエルフの高身長お姉さん。
なんか、本当にお母さん???
「そっか…。」
「とりあえず、抱きしめさせて、ほら…。」
「あわっ。」
ハグされながら頭を撫でられる…。
なんだろう、凄い優しくて、温かくて、安心する。
力が、漲ってくる感じがする。
「…ずっと、こうしたかった。」
「お母さん…?」
「生まれてすぐ死んじゃったから、出来なくてごめんね。」
「でも、我を守ってくれた…。」
「…成長したあなたと会えてよかったわ。」
「…我も、会いたかった。甘えて、みたかった。」
「ふふ、そういうところはお父さんそっくりね。」
「…そういえば、お父さんは?」
「八尾の力を使うときにあなたの前に現れるわ。だから今は会えない。」
「そっか…。」
「うん、ごめんね。本当は一緒に居たかったけど。」
「謝らないで、こうして会えただけでも我は嬉しい。」
「…本当はもっと一緒にいたいけど、このままだと本当に死んじゃうから、そろそろ生き返らせるわ。」
「もう、会えない…?」
「そうね、でも私はあなたのこと見守っててあげる。ほら目を閉じて…。」
「んっ。」
目を閉じるとお母さんが手をかざして目には魔力が流れ込む。
「これで神星眼を使えるようになったわ。目開けてみて。」
「んっ、これが、神星眼…?」
狐影を出して自分の目を見る。
黄色の瞳で同心円弧状の形になっている。
まるで地球の周りを惑星が廻ってるみたいな形状。
「そうよ。」
「でも、なんで今まで使えなかったの…?」
「エルフと獣人の魔力が上手く融合出来てなかったから、調和したの。」
「…調和?」
「でも、ぶっつけ本番だけど上手くいってよかったわ。失敗したら失明させるとこで…。」
「いきなりギャンブルしないで!?」
「さ、もう行きなさい。心臓も治したわ。」
いつの間に…。
「…そっか、ありがとう。お母さん。」
最後だからもう一度抱きしめる。
「…本当、甘えん坊ね。」
「…じゃあ行くよ、我。」
「うん。いってらっしゃい、アマコ。」
「…行ってきます!!!」
「あんまりアースランドに甘えすぎないことよ!ずっと見てたんだから!」
「見てたの!?!?!?」
アマコの姿が消えて、セレスティアは一人になる。
「先に行ってるわよ、クウコ。またね…。」
「ああ、またね。セレスティア。」
身体が光に包まれて、消えていった。
「…んっ、ここは。」
目を開けて周りを見渡すと、アースランド様が戦っている。
…シオンを圧倒してる、一瞬で間合いを詰めて吹き飛ばして、我が死んでる時に何があったの?
アースランド様の身体を見ると黒い文様が見える。
…えっ、あれは、刻印…!?
なんで、どうして…!?
敵はアースランド様を拘束して逃げだした。
「やっと、動ける。ありがとう、お母さん…。」
早くアースランド様を抑えなきゃ。暴走してる。
一瞬で背後に廻り込んで抱きしめる。
「落ち着いてください、アースランド様!!!」
「…アマコちゃん?」
「我は、生きてますから…。」
こうして刻印持ちとの戦闘は終わった。
祝福と絶望に包まれて。




