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推しのアイドルが所属しているグループのメンバーが俺の家に入り浸る  作者: 揚羽常時


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219/220

第219話:襲撃なんてしなけりゃいいのに


「…………」


 俺は病院の待合スペースで本を読んでいた。もちろんラノベ。ちょっとラブコメを読みたいなーと思って買った奴。ちょっとエッチなラブコメだ。総合病院の精神神経科。精神的に追い詰められていた星空野シータが通っている病院で、俺はその付添。もちろん問題にならないようにスーツ姿でグラサンをかけている。怪しさ大爆発だが、顔バレするよりよほどいい。


 ちなみに星空野シータがエンタメプロに移籍した件はちょっとニュースになった。もちろん佐倉コーポレーションの背景があるとしても、ホシガリとは経済規模が違う。昔ほど稼げはしないだろうけど。今はゆっくり新しいファンを増やしていくのが常道。ホシガリでのファンも五割でもエンタメプロの星空野シータを推してくれれば御の字だろう。普通はホシガリというビッグネーム有りきで、その中のシータを応援しているファンもいただろうから、全員が移籍にあたって推しを続けるかというと、そういう話でもない。


 そうして診察を終えた星空野シータが現れた。


「付き合ってくれてありがと」


 シータもグラサンをかけている。こんなところで顔バレをするわけにもいかないので、仕方ない処置と言えないこともない。


「じゃ、帰るか」


 番号で呼ばれて、清算して、帰り道の薬局で薬を受け取り、あとはシータのマンションまで帰るだけ……と思っていると。


 ガンッ!


 赤信号で止まった送迎の車が後ろから追突事故を起こされた。あー。めんどい。警察呼んで現場検証。ついでに保険会社に何やかや。まぁあくまで対処するのはドライバーなのだが。後ろから追突事故を起こしたドライバーはこっちにヘコヘコしていて。前方う不注意がどうのこうの。言われてこっちの送迎員も「気にしないでください。警察は呼びますけど」と結構笑顔で容赦ないことを言った。そうして後部座席の俺とシータを見ると、懐から拳銃を取り出して躊躇いなく撃った。


 ズガンッ! ズガンッ! ズガンッ!


 完全にこっちを殺す気だ。それでも防弾だったので銃弾は貫通せず。だがヒビが少し入った。もちろんソレで済むはずもなく。すでに車のタイヤにはナイフを刺してパンクさせている。これで逃げることは出来なくなったわけだ。


「はあ……」


 溜息一つ。ここで襲い掛かってきたってことは、どう考えても坐古乃コンツェルンが背景にいるのだろう。


「ひっ!」


 さすがにリアルで銃声を聞くのは初めてなのだろう。シータは恐怖していた。


「ドライバーさん。シータを頼む」


「打って出ますか?」


「勝率考えたら妥当だろ?」


 そうして後部座席の扉を開いて外に。それから扉を閉めて、施錠してもらう。


「おう。お前が佐倉マアジか?」


 拳銃を突きつけてニヤニヤ笑っているチンピラ。あるいはヤーさん。さすがに海外マフィアという線は考えなくてもいいだろうが。というかこっちに確認取っている段階で終わりだ。俺は速攻でヴァリアブルアーマー木甲梵弩バウムクノッヘンを装着していた。皮膚から現れた木製の装甲。ブーステッドアイアンウッドを用いた、人体の動きを阻害しない機動兵装。


「あ?」


「木甲梵弩! バウムクノッヘン!」


 シャキーン! とポーズを取る。だがそれは滑稽に映ったらしくチンピラは爆笑していた。うん。気持ちはわかる。俺も何やってんだ感は強い。


「じゃ、あばよ」


 撃たれた拳銃が跳弾して、撃った本人を穿った。


「が……あ……?」


 ブーステッドアイアンウッドを銃弾程度で貫けるわけないだろ。さらにダメ押しだ。


「エピソード」


 ブーステッドアイアンウッドの刀身に、側面にヒトキリススキ。人体なんてあっさり切り裂く合法木刀。それでチンピラの一人の腕に切り傷を付ける。


「なんだ! お前は!」


「木甲梵弩バウムクノッヘン!」


「だからソレが何なんだって聞いてんだよ!」


「正義の味方だ」


 他に有るか?


「シータを出しなさい」


 で、今度は女性がマグナムを構えてこっちを脅してきた。チンピラは三人。女性が一人に坐古乃キヤラ。計五人。


「つまり復讐か?」


「よくわかってるじゃない。あたしとキヤラ様だけがババ引くなんてありえないでしょ? シータにも地獄を見てもらわないと」


「残念だが既にシータはエンタメプロで保護しているからな」


「殺させなさい」


「お断り」


「じゃああんたから死ぬことね!」


 激昂。だがしかし殺意は本物。ためらいも何もなく女性……星空野モトネはトリガーを引いた。もちろん貫通するはずもないが、流石マグナム。着弾の衝撃だけで姿勢が崩れる。やはりこういう軽量化にも問題は発生するんだなー。


「次は殺すわよ」


「ああ、頑張れ」


 既にマグナムでも銃弾が貫通しないことは証明された。後は切るだけだ。


 ガンッ! ガンッ! ガンッ!


 マグナムが撃たれる。そのたびに俺はよろめいたが傷は一つもない。


「腕の一本くらいいいよな」


「なんなのよアンタ!」


「エルフだ」


 ま、別に耳は長くないが。


「そこまでだ」


 で、今度は坐古乃キヤラが脅しをかける。手に握っているのは手榴弾。ただしピンは抜いていない。


「これを喰らえばワゴンだって無事じゃすまないぞ」


 まぁ確かに。ガソリンにでも着火すると目も当てられない。


「星空野シータを引き渡せ。ここで爆殺されるよりマシだろ?」


「確保して何する気だ?」


「犯すんだよ。非処女アイドル星空野シータの誕生だ! レイプ動画をネットに流して最大級の恥をかかせてやるんだ!」


 うーん。まぁ頑張れとしか言えない俺の都合。


「じゃあその前に切るか」


 エピソードを構えて、俺は脅す。


「マジで爆発させるぞ?」


 ピンを抜けばそれで終わり。と思ってるだろうが、マジで終わりなんだよなぁ。


「やれよ」


 交渉事は嫌いだ。どうせ後悔するのはそっちなんだから好きにすればいい。


「お! お前がやれって言ったんだからな!」


 完全に他己責任にして坐古乃キヤラは手榴弾のピンを抜いた。瞬間、キヤラの肉体を細い繊維がまとわりついて動きを止める。


「アイドル護衛粛清仮面! 御法度リリン!」


 俺たちの車をストーカーしていたキヤラの車を、リンゴが乗っていた車が二重尾行していたのだ。もちろん事態については知っているし、リンゴが御法度リリンとして粛清するのも当たり前の話で。手榴弾のピンを抜いたままリンゴのファイバーに拘束されて動けない坐古乃キヤラ。


 どうなったかって? 死人は出てないぞ。


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― 新着の感想 ―
さて、ここからどうなるかですな。 楽しみにしています。
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