第220話:そして疲れて家に帰ると
星空野シータのマンションはそこそこお高いところだった。ああいうことがあるから危惧して俺は総合病院に付き添っていたが、モトネとキヤラもしっかり警察に拘束されたので、もう護衛は要らないだろう。何かあったらまた護衛はするがな。
「じゃね。マネージャーさん。あ、あと……」
「何か?」
「童貞捨てたくなったら言ってね? お相手仕りますので♡」
「その時はよろしくな」
まともに受け答えをするのも面倒なので、俺はそれだけ言った。そうしてドライバーさんにマンションまで送迎してもらい。我が家に帰ると。
「「「「「「お帰りなさいませ♡ マアジ様♡」」」」」」
ロリでポップなメイド服を着たオメガターカイトのメンバーが俺を出迎えてくれた。
「今日何かあったっけ?」
「何にも無いけど。こういうのもいいんだぞ」
「…………あたしのおっぱいで元気になってください」
「サヤポンの貧乳でもいいにゃよ?」
「お姉様ぁ。拙のリードを握ってください」
「はぁ。ハーレムの一人なんて、これなんて公認浮気ですの……」
「くっ。この俺に屈辱を味わわせるとは……ッ」
お前ら元気いっぱいだな。
「そんなわけで、今日はボクたちでご飯作ったぞ」
「…………オムライスです」
「サヤポンはケチャップライス係だにゃー」
「拙は玉ねぎ切りましたデス」
「卵はわたくしが」
「鶏肉はこの俺が」
「ルイとタマモは?」
「ケチャップアート係だぞ」
「…………ちなみに平等にジャンケンで決めました」
ああ、そ。
「っていうか本当にエンタメプロに星空野シータが?」
「まぁ」
「ウチの事務所、そんなにお金持ってたんだ……」
サヨリ姉のアコギな商売だ。ここでは言えないけど。
「オメガターカイトに?」
「いや。シングルアイドルとしてプロデュース」
「賭けてもいいけどマアジがマネージャーだぞ?」
「まぁ積極的に志願されるとなー」
そもそも俺ありきでエンタメプロに移籍したようなものだし。
「またライバルが一人……」
「…………まぁこうなることはわかっていましたし」
「ホントおにーさんってアイドル堕とすの得意だにゃ」
「でもさすが星空野シータちゃんは可愛いデスよねー」
「はぁはぁ……またマアジの女が一人……」
「結局、アレで終わりなのか?」
リンゴの疑念も当然だが、まぁほぼ終わりだろう。手榴弾は適当なところで爆発。リンゴの本音としては繊維でバラバラにしたかったのだろうが、それは俺が自重を促した。
「じゃ、飯にするか」
アイドルお手製のオムライスとか。料亭で飯を食うより豪華だ。しかも卵係の臼石アワセは花嫁修業もしていたのか。フワフワトロトロの卵だった。そこに「マアジ♡」とタマモがケチャップアートをして、「美味しくなぁれ♡ 萌え萌えキュン♡」とルイが美味しくなる呪文を唱える。
「うーん。美味い」
俺が作ったオムライスもそこそこだが。付加価値まで含めるとこっちの方が断然うまい。
「だったらよかったぞ」
お前は美味しくなる呪文しか担当してないだろ。
「っていうかそろそろ春休みも終わりですねー」
「短かったなー」
というには濃厚な春休みだったが。ハリウッドで映画になってもおかしくないドラマがあった。色々と色んな人に助けられて、今の俺とシータは幸せを享受している。
「いっそシータもオメガターカイトに……」
「ルイとセンター争いするぞ」
「有り得そうデスね」
「イユリはどっちがいいと思う?」
「お姉様がいいデス!」
すまんが俺は男なのよ。
「でもおっぱい大きいからルイがいいデス!」
「シータも結構あるけどな」
「揉んだの?」
「んなわけねえだろ。童貞の目算」
「影救世躯体。俺のでよければいくらでも……」
「リンゴは自重しような」
「俺じゃ不満か?」
「この際誰だろうと不満だが」
アイドルの乳を揉むとか。まぁ何回かそれ以上のことはしているが。ゴメンね。夢の中では素直になれたりするのよとかなんとか。まぁ現実でもチョイチョイしているが。
「で、おにーさんはシータの恋心はどうするの?」
「冷めるまで待つ」
「それも鬼畜だと思いますわよ?」
「アワセは人数増やしたいだけだろ」
「だってトップスターが私の手の届かないところにマアジを連れて行くなんて! ああ!」
病気だコイツは。
「お姉様的には好意的デス?」
「まぁそりゃ天下の星空野シータだしなぁ」
「むー」
「…………うー」
ルイとタマモが不安そう。
「ダイジョブだ。好意的。愛しているのはルイとタマモだぞ」
キュイッとリンゴの繊維が俺の首を絞めた。
「リンゴさん?」
「影救世躯体。俺のことは」
「好きでございます」
「ではよろしい」
そうして繊維が解かれる。
「にゃんかさー」
「お姉様って」
「リンゴちゃんには甘いですわよね?」
サヤカ、イユリ、アワセがジト目で俺を見る。
「ま、オーバリストだし」
「サヤポンも!」
「フィジカル系じゃないだろ」
「そーにゃんだけどー」
「ボクは何もないぞ」
「…………あたしもです」
「別にあったらいいってもんでもないし。少なくともルイとタマモは特別だ」
「それ、シータちゃんの前でも言える?」
「無論だ。何の気兼ねもなく言えるぞ?」
何を当たり前のことを。そう言うとルイとタマモが抱きしめてきた。
「「大好き♡」」
ああ。俺も大好きだ。ルイとタマモが大好きだ。星空野シータよりずっと何倍もな。
※――――――――――――――――――――――――※
ここまで読んでくださってありがとうございます。
これで第五章終了です。
最終章である第六章は……どうしましょうね?




