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推しのアイドルが所属しているグループのメンバーが俺の家に入り浸る  作者: 揚羽常時


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201/220

第201話:何の何が正解なのか?


『じゃ、今度会うか』


『本当ですか!?』


『いや嘘。誤返信。別に奴に打つコメントをお前に送っただけ』


『誰ですか?』


『学校の友人だよ。別にお前に会いたいわけじゃない』


「マアジ学校に友達いないじゃん!」


 で、勝手に『じゃ、今度会うか』とコメントしたルイが、憤慨して俺を責めた。その後の『いや嘘云々』から先は俺自身のコメントだ。


「ここで譲歩したらつけあがるぞアイツ」


「それは……わかってるけど」


「…………そもそもなんでマアジは星空野シータを邪険にしているんですか?」


「ホシガリとスキャンダルを起こしたらサヨリ姉に迷惑がかかるんだよ」


 別に星空野シータだけじゃない。マジでホシガリとホテルに入るところをパパラッチにでも撮られたらと思うと冷や汗が出る。


「でもさ。なんか変じゃないぞ?」


 ルイが首をかしげて、疑問を提起する。多分思っていることは俺と同義だろう。


「星空野シータが俺にこだわる理由が謎過ぎる」


「切り刻んでこようか?」


 リンゴ。お前が言うとシャレになっとらんので黙っとれ。


「でもさ。一目惚れっていうけど、そもそも星空野シータだったらイケメン俳優とも会う機会あるみたいだし。今度のドラマの配役から言って、今度の相手は超絶イケメンじゃん?」


 そこなんだよな。つまり俺にこだわる理由がない。


「佐倉コーポレーションの株価を下げるためとか?」


 ルイが難しそうにそう言うが、その可能性は低いように思う。ホシガリやディーヴァラージャのスポンサーは坐古乃コンツェルンだ。こっちに同業他社としてライバル心があってもトップスターを使い潰す真似はしないだろ。そもそも事務所が許すとも思えないし。このまま何事もなく星空野シータがアイドル活動をすれば事務所は十億以上の金を稼ぐ。そのドル箱を捨て鉢にする理由がない。とは言っても、じゃあマジで星空野シータが俺に一目惚れして執着しているという結論も、それはそれで不可思議もいいところで。


「でもマアジカッコいいし」


「大好きルイ!」


 突如として褒められて、俺はルイを抱きしめた。そしてピンと繊維が張り詰める。


「やめてくれリンゴ」


「まさにこっちのセリフだ」


 アイドル恋愛粛清仮面御法度リリン。推しに代わってお仕置きよ。


「まあ冗談はともあれ」


「冗談なの?」


「いや本気だったけど」


「えへへぇ」


「…………むぅ」


「タマモも後で可愛がってやるから」


「…………絶対ですよ」


「愛されるなぁ俺」


 そういうところも好きなんだけど。


「とにかくお前は絶黒の情報をそろそろ吐け」


「ゲッシュで縛られてんだよ。っていうか、マジで星空野シータが何考えてんのか」


 わからない、と言っていいのか。この前のホテルのパーティーでは姉の星空野モトネが接触してきた。あっちはあんまり売れてない。一回センターを担ったらしいが。それでも功績は全部シータの方がかっさらった。そのモトネはさらに上に行きたいとも言っていた。身体を売ってでも。結局俺は相手にしなかったのだが。


「うーん?」


 何か見えてくるものがあるような。ないような。まだ思考がまとまらない。まとまってどうしろというのかと言われても困るのだが。


「仕方ない。頼るか」


「誰にだぞ?」


「こういうのは餅は餅屋だ」


 で、ルイが好き勝手弄っているスマホを取り上げて、とりあえずの星空野シータへのコメントはスルー。で、俺は父者に助言を頼んだ。この際、あのパーティーが何かの違和感を覚えている。こっちに声をかけてきた坐古乃キヤラ。枕営業をけしかけた星空野モトネ。で、その妹でスターガーリー51のセンターアイドルの星空野シータ。


「マアジはどう思ってるの?」


「どうとも思ってないから調べてもらうんだよ」


 別に杞憂ならそれでいいのだ。真面目に星空野シータが俺に一目惚れしたのならあしらえば済むことだし。


「さて、じゃあ飯にするか」


「わーい。マアジの晩御飯だぞ」


「…………今日は何ですか?」


「豚の麹漬け」


 ただし出来合いの二次製品だがな。一次で作れるほど器用じゃない。


「大好き!」


「豚肉か?」


「もだけど! マアジも!」


「ありがとう存じます」


 そうしてフライパンで豚ロースを焼く。


「さて、春休みはどうやって過ごすべきか」


「ボクとエッチなことする?」


「…………挟んであげましょうか?」


「俺はくっころできればそれでいい」


 お前らはー。本当によぅ。


「じゃ、デートでもするか」


「…………」


 ヒュンと繊維が走った。それを俺のヒトキリススキが切り裂く。


「エルフってのも厄介なものだ」


「今のところ適合率は俺が世界でトップだからな」


 あと数人ほどミストルテインの移植された被験者はいるが、その誰もが俺ほど適合していない。今の俺の神経根は既に人間の神経を九十九パーセント代行しており、そのナトリウムチャネルも人間のモノとは別個の存在となり、神経毒が通用しないというレベルにある。だからこそサヨリ姉に抱き着かれても平然とできるのだが。


「星空野シータ……ね」


 彼女の事情を知るのは、ある意味では必要なことだろう。別にそのまま放置しても誰も責めないだろうけど。嫌な予感が頭を離れてくれない。


「何もないなら……それでいいんだけどな」


「マアジ! お腹減った!」


「はいはい。先にサラダを食べてろ」


 我が家は最初にサラダを出す。人間がモノを食べると、その行動に合わせて血糖値を抑える成分が体内に分泌される。なので糖分を持っていない野菜を先に食べて、血糖値を押さえる成分を先んじて分泌し、その後に米やら芋やらの糖質を胃に言えることを推奨しているのだ。まぁ高校生で糖尿病を危惧するのも早すぎる気はするのだが。


「このハーフカロリー胡麻ドレ美味しいね」


「…………アイドルの味方ですね」


「俺は太らない体質だからなんでもいいが」


 リンゴさん。ルイとタマモを挑発するのは止めなさい。


「ところで春休みのスケジュールだけど……」


「仕事がびっしりとあるぞー。マネージャーも大変だね」


「…………よろしくお願いします」


「テスタメイトは俺の仕事を見届けるだろう」


 この上星空野シータまで参戦してきたら、俺はどうすればいいのよ?


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― 新着の感想 ―
丁寧に前フリという土壌を作ったうえで最後にちゃんとフラグを建てましたね?
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