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推しのアイドルが所属しているグループのメンバーが俺の家に入り浸る  作者: 揚羽常時


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195/220

第195話:モールのイベント


「君が好き♪」


「愛してる♪」


「アイラブユーでラブミードゥー♪」


 キャピッと微笑んで歌うオメガターカイト。いつものライブとちょッと違う。まぁ概ねは違わないんだけど。モールでのライブだ。爆売れしているアイドルには珍しいが、まぁこういうのも新規ファンの獲得に……なるよな? 多分。いつものオタ芸を打つわけにもいかないし、サイリウムを振るだけ。ただし七色に変色する仕様。


「おい。オメガターカイトってボーカル変わるたびに覚醒しねえ?」


「わかる。歌いたくてたまらないって感じ」


「やっぱりアイドルなんだなー」


 正確にはボーカルの順番が来ると、俺のサイリウムがボーカルの色に変わるから……なのだが、そんなことを言えば磔刑だ。


「――――♪ ――――♪ ――――♪」


 さらにパフォーマンスを発揮して歌い続けるオメガターカイト。俺も全力でサイリウムを振った。そうして大歓声の中でライブは終わる。


「ふぅ」


 流れる汗を拭いて、やり切った応援に満足していると。


『どうだった?』


 ルイからコメントが来る。


『超絶良かったです!』


『ありがと。嬉しいぞ』


『こっちこそありがとうござます!』


 感動とはまさにこのことだ。


「佐倉氏。今日こそ感想戦を……」


「すんません。田中さん。今日はこの後用事が」


 そうして消えるように俺は去る。周りの衆人環視もオメガターカイトに夢中だ。俺にはそれが誇らしい。やっぱりオメガターカイトは最高だ。俺が箱推しするに足るアイドルたちだ。これからも応援したくなるアイドルだ。


「~♪ ~♪」


 さっき歌われたナンバーを鼻歌で歌いながら、俺は予約している焼肉屋に行く。総括マネージャーとして仕事はどうしたのかと言われると痛いのだが、俺にとってはファン活動が最優先。それにしてもルイは最高だったな。あの躍動的なパフォーマンス。まさにセンターアイドルと言わんばかりのカリスマだった。


 そうしてモールを抜け出し、近くの駅まで。電車に乗ってそのまま目的地へ。そうして電車を降りて、そのまま抑えた焼肉屋へ。スマホを片手にドキドキしながら待つ。


『私輝いてたでしょ?』


『間違いないな』


 杏子のコメントにも返信する。


『おにーさん。サヤポンは?』


『ぐうかわ』


『拙も拙も!』


『可愛かったぞ』


 そうしてステージを引き上げたオメガターカイトは反省会をして、その後でこの焼肉屋に合流。とすると。


「「「「「「「お疲れ様でしたー!」」」」」」」


 全員が揃って焼肉大会。オメガターカイトはそれぞれメンバーごとに。俺はマネージャー枠で参加していた。とはいえ仕事は何もしていないので、あくまでお飾りの参加。マネージャーさんたちに今日のライブのことを聞いたり。その程度。


「マネージャーさぁん♪ 今日のライブどうだったぞ?」


「さっきコメントで言ったろ」


 俺はオレンジジュースを飲んで、肉を焼きながらそう言う。


「何度言ってくれてもいいんだぞ?」


「最高だった。さすがルイ」


「あぁん♡ ありがと♡」


 ギュッと抱きしめられる感覚がしたので、俺は彼女の頭部を掴んで抑え込む。


「マネージャーさーん……」


「抱きしめるのは却下だ」


「あの。佐倉さん? ルイとは……?」


「仲がいいだけですよ。邪推は勘弁してください」


 今はそういう他ないだろう。ビールを飲みつつ、今日のことを振り返る専属マネージャーたちの声に耳を傾けながら、俺はこれからのオメガターカイトに想いを馳せる。


「とにかくさらに上に……」


「しかしすでに飽和しているとも」


「圧倒的にスポンサーの限界が……」


 生臭い話が聞こえてきた。アイドルとしての成功は間違いない。だがその上でオメガターカイトがスターダムになれるのか。そこを勘案するのがスタッフというもので。


「ふう」


 俺は肉を食って、食休みに店の外に出る。


「お疲れみたいだな」


 まだちょっと寒い三月の夜。俺がちょっとだけ休憩しているとリンゴが声をかけてきた。


「肉はもういいのか?」


「十分食った」


 そりゃよかった。


「マアジは俺たちのマネージャーは苦労しているか?」


「嬉しいことだらけだよ」


「本当にそう思っているならいいんだがな」


「思ってるぞ」


 リンゴの頭を撫でる。


「俺はお前をこそ慰撫したい」


「していいならしてくれ」


「あの後、星空野シータとはどうだ?」


「既に腐男子認定を受けている」


「ルイも悪いことをするな」


「まぁ今更だから、俺もどうでもいいんだけどな」


「たまに思うんだが、マアジはルイに甘いな」


「しょうがないだろ」


 彼女なんだから。それはリンゴも知っていることで。というか杏子以外は知っていることで。


「そこで聞き耳を立てていてもスキャンダルは起きないぞ」


「あははー。バレてた?」


 で、杏子が現れた。


「聞いていたのか?」


「リンゴと何かあるのかなーと」


「何もねーよ」


 それだけは間違いない。


「コイツは俺のテスタメイトだからな」


 ギュッと俺の腕に抱き着いて、リンゴがそう主張する。


「佐倉く~ん? それはどうなの?」


「俺は何もしてねーだろうが」


 冤罪だ。


「リンゴも何してるの?」


「愛してる」


 他の何に見える? そうとでも聞こえそうな声だった。


「むぅ」


「なんだ?」


 バチバチと視線を交わしているとこ悪いけど、どっちも俺の女じゃないからね? 俺にはルイとタマモという最高の彼女がいる。ソレをここで言うわけにもいかないんだけどさ。


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