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異質なその者は、世界の常識を改変する。  作者: 久米鱈 鯛子


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第2話 顕現


 その日、空間が割れた。


 闇夜に照らされる森の頭上。遥か彼方の天が裂け、そこから黒い何かが漏れ出した。


 それらは漂い、惑い、広がって行く。


 空気を喰らい、生命を蝕み、大地を呑み込んで行く。


 本来の理に沿わず、徐々に、少しずつ、大きくなる。


 交わり、跳ね除け、混ざり合う。

 されども完全には溶け合わず、その(もや)は確かに存在している。


 それは、全てが”異物”であった──。



 ******



 ────なんだ、ここは。



 真っ暗で何も見えない視界が、自身の所在を眩ました。

 ……いや、そもそも眼というものは開いているのだろうか。


 一体、なにが、どうなった。

 俺は確か、挙式場で男に刺されて死んだはず……。


 ……寒い、ような気がする。

 実際に身を震わせているわけでは無いし、気温が低いという事実もないのに、それでも何も感じないというのは寒気を感じるものなのか。


 全く、状況が理解できない。事態が呑み込めない。

 こんなことは、これまでの人生に前例がない。


 ……それに──あぁ、もう。

 何なのだ、この()()()が纏わりつくような感覚は。


 何も見えないし、何も聞こえないし、何も触れられない。

 くそっ……せめて、”身体”さえ動いてくれれば────。



「────は?」



 突然、視界が明るくなった。

 バッと視野が広がって、同時に言葉にし難い浮遊感を覚える。


 なんだ、いきなり何が……。

 それに、圧倒的なまでの眩暈がする。まるで宙返りをしているような、胃の中が沸き立つような不快感。



 ──否、それは正しく落下していた。


 真っ暗な空の下、空中に投げ出され俺は落下している。

 まずい、このままでは地面に激突してしまう。回避方法は……ダメだ、周りの木々には、とても間に合わ────。






 ──バッシャン。


 次に俺が感じたのは、冷たい液体を打ち破った感覚だった。


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