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第185話 デリク商会

「ところで、そちらのお嬢さんは?」

 デリクさんがエリザちゃんの事を聞いてくる。

 それはそうだよね。

 旅をするのに子供を連れているなんて変に思うよ。


「この子は俺の…「婚約者です!!」

 エリザちゃんが俺に代わって答える。

「婚約者ですか?ですが結婚前にお二人で旅ですか…」

「えぇ、エリザの地方では結婚前に、お試し期間という風習がありまして…」

「はて?お試し期間ですか、そんな風習は…「ギロッ!!」

 ドンッ!!

 エリザちゃんが足を踏み鳴らした。


「あわわ!!そ、そうですね。そういう地域もあるかもしれません…」

 おや?デリクさんが変だ?

 どうしたんだ?

「それにしてもエリザ様のご両親は、エリアス様を信頼なされているのですね」

「どうしてでしょうか?」

「それは成人もしていない女の子を、旅に連れ出しているからですよ」

 それはそうか。

「エリアス様が居れば、ドラゴンも怖くありませんわ!!」

「あははははあはははは!そうですかエリザ様。それは頼もしい」

 デリクさん、曖昧に笑うのはもうその辺で…。




 そんなことを話しているうちにマジスカ領に着いた。

 門番に山賊のことを話すと、治安が良くなると喜んでくれた。

 そしてストレージから10人分の山賊の遺体を出す。

 討伐依頼がでているのか確認してもらったが、出ていないという。


 代りに斧や防具の遺留品を売って、報酬としてもらえる。

 数日あれば換金できるから、詰め所に寄ってほしいと言われた。

 俺は別にお金はどうでもよかったけど。

 いくら山賊といえども、そのまま遺体を道に捨て置くには忍びなかっただけだ。



 詰め所を出て『黒い粉塵』の人達とは、護衛依頼完了のサインをデリクさんからもらい別れた。

「デリク商会をお尋ねください。お礼はさせて頂きますから」

 お礼は良いのだがこの領で、商人と繋がりを持つにはいい機会だ。


「では、伺います。それからマジスカ公爵の、お屋敷はどこら辺でしょうか?」

「あぁ、それならこの通りを真っすぐ行って、突き当たったところですよ。大きなお屋敷ですからすぐにわかります。どうしてですか?」

「せっかくこの領にきたのですから、見ていこうと思いまして」

「そうですか、いい思い出になりますね」



 デリクさんは馬車で進み、俺達はその横を歩く。

 するとエリザちゃんが歩きながら、こちらをチラチラ見ている。

 なんだろう?

 するとエリザちゃんは、遠慮がちに聞いてくる。

「あの~、エリアス様」

「なんだい?エリザちゃん」

「手を繋いで頂けないでしょうか?」

「手を?」

「えぇ、」

 恥ずかしそうに下を向いている。

 あぁ、そうだよね。

 迷子になったら困るから。

「ごめんね。気づかなかったよ」

 そう言うと俺はエリザちゃんの手を取った。


 するとエリザちゃんは、嬉しそうに頬を染めていた。

 そんなに不安だったのか?

 ごめんよ。




 2人で手を繋ぎしばらく進むと、2階建ての建物の前に止まった。


「さあ、着きました。ここが私の店です」

 そう言うとデリクさんは馬車を降りた。

 

「まあ、あなた。お帰りなさい」

「おかえりなさいませ。ご主人様」

 奥の方から奥さんと思われる40代と思われる人と、男の従業員が1人出てきた。

「ただいま。今帰ったよ」

「あら、そちらの方は?」

「ジェシカ、こちらはエリアス様とエリザ様だ。旅先で山賊に襲われたところを助けて頂いたのだ」

「そんなことが?!デリクの妻のジェシカです。主人が大変お世話になりました」

「あ、いえ、通りかかったものですから」

「本当にありがとうございました。あら?そちらのお嬢様は?」

「はい、婚約者のエリザです」

「エリザです。初めまして」

「まあ、可愛い奥様ね」

「えっ、奥様だなんて…」

 クネ、クネ、クネ、クネ、クネ、

 エリザちゃんが日が当たると、クネクネする人形のようになっている。

 これはオルガさん仕込みか?


「でもあなた、冒険者の方の護衛が居たのでは?」

「それがいきなり前後を、10人の山賊に挟まれてしまってね。どうすることもできなかったのだよ」

「そんなことが?!」

「そんな時、エリアス様達が現れ、あっと言う間に山賊を倒してくれたんだ」

「お強いのですね。エリアス様」

「エリアス様なら、なんてことはありません!!」

 俺の横でエリザちゃんが、自慢そうに胸を張っている。

 張るほどはまだ、ありませんが…。

 頑張れ!!明るい未来を信じて。


「立ち話も何です、中にお入りください。荷物を下ろして私もすぐに参りますから」


 そう言われ俺達は店の中に案内された。

読んで頂いてありがとうございます。

物語と更新は、まったり、のんびりと進みます。


本作の元になった『ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-』を投稿しております。

https://ncode.syosetu.com/n7891ho/


 ご一読頂ければ幸いです。

 よろしくお願いいたします。

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