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第184話 出会い

「おう、おう、お前達。さっきからそこで何をゴチャゴチャ言っているんだ?」

 しゃがみ込んで話していた俺達に、山賊の1人が話し掛けてきた。


「あっ、いや~、どうしようかと思いまして」

「何をだ?こんな山道に女の子なんて連れて?売り飛ばすには幼すぎるな」

「ひ、酷いですわ。もう私は大人です!!」

「わっ、大人のくせに女の子を泣かせたな?!」

「な、何を言っているんだ?お前たちは!!」

 山賊は慌てたように叫ぶ。

「これが目に入らないのか?」

 そう言うと山賊の男は、バスターソードを俺達に向けてきた。


 馬車には商人と思われる男と、20代後半と思われる冒険者の護衛が4人。

 対する山賊は馬車の向こうは弓矢が2人、剣士が3人。

 手前は弓矢が1人、剣士が4人の全員で10人だ。


「きゃ~、怖いです~エリアス様!!」

「大丈夫だよ、エリザちゃん。君は俺が守る!!」

 そう言うと俺達は立ち上がり、後ろ手にエリザちゃんを庇《かば》った。


「お前達もあり金、全部を置いていけ!!」

「この子だけは…、この子だけはお許しください、お代官様!!」

「誰がお代官様だ。それにさっきから何を言っているんだ?幼女なんてどうでもいい!!金を置いてっけ」

「また私のことを馬鹿にしたわ(泣)」

「エリザちゃんの晴れ舞台を笑う奴は、たとえお天道様が許しても俺が許さない」

「だからお前…」


 ブゥン!!ブゥン!!

 俺は山賊達の側で右手を軽く振る。

 その瞬間、ストレージから大剣黒作大刀(くろづくりのたち)を掴み振る。

 彼らは何もないところから、いきなり大剣が現れ驚く間もなく最後を迎える。

 手前側の5人はあっけなく倒された。

 寸劇で油断をさせて一気に殲滅だ!!


「おっ?!」

 向こう側の5人の山賊が構える間もなく、俺は左の手のひらを前に差し出す。

「衝撃《インパクト》!!」


 ボンッ!!ボンッ!!ボンッ!!

  ボンッ!!ボンッ!!


 5人の山賊が、飛び跳ねるように吹き飛ばされていく。

 これは今まで戦って収納してきた、物理攻撃の衝撃を相手に放ったのだ。

 大型の魔物やドラゴンの衝撃も、まだまだたくさん収納されている。

 相手の攻撃をストレージで収納しておき、衝撃波として攻撃に使うことができる。

 こんな凄惨な場面を、エリザちゃんには見せたくはなかったが…。


「さすがです。可愛い婚約者を馬鹿にされ、怒って頂けるなんて私は果報者です」

「いや、すまない。君にこんなところを見せたくはなかったが…」

「それは仕方がありません。彼らもそれを覚悟の上で、山賊をやっているのですから。そうでなければ私の右手に封印された、暗黒の意思が疼《うず》きだすところでした」

「あ、そうなんだ。その前で良かった。あははは…」

 疼《うず》きませんよ~。

 腱鞘炎ですか?


「ありがとうございました。おかげで助かりました」

 40代くらいの商人さんが挨拶に来た。

「いえいえ、お怪我はなかったですか?」

「はい、おかげさまで。いきなり前後を挟まれてしまいまして」

「あの状況なら仕方がないですよ」

「私はマジスカ領の商人でデリクと申します」

「俺は商人のエリアス、この子はエリザです」

「なんと同じ商人でしたか?それにしてはお強い」

 デリクさんがお驚いている。


「助かったぜ。凄いな」

 男性4人の冒険者内、1人が声をかけてきた。

「俺はマジスカ領の冒険者『黒い粉塵』のリーダーのオーガスだ」

 体に悪そうなパーティー名ですね。

「こいつらはアルド、デューイ 、エアロンだ」

 オーガスさん、アルドさんは剣士、デューイ さんは弓、エアロンさんは斥候《せっこう》のようだ。


「エリアス様はどちらに向かっているのですか?」

「デリクさんと同じマジスカ領です」

「それなら我々とご一緒頂けませんか?方向も同じですし…」

「ええ、いいですよ。俺も色々お聞きしたいこともありまして」

「私でわかることでしたら」

 襲われてこの冒険者の4人では、護衛として不安になったのだろうな。

 もう4人は仕事来ないな~。

 まあ、仕方が無いよ~、どんまい。

 前後を挟まれたら、対応なんてできないでしょ。

 でもまさか商人と名乗った俺に護衛を頼むのも変だから、『ご一緒頂けませんか』になったのか。


「マジスカ領までは、どのくらいかかりますか?」

「2時間くらいでしょうか。まさかこんな領から近いところで、山賊に襲われるとは思いませんでした」

「そう言えば倒した山賊は、どうすればいいのでしょうか?」

「討伐依頼が出ているなら詰め所で確認後、報奨金がでますがこの状態では連れていけませんね。後は防具や武器を剥いで、道の隅にでも捨てて置けば魔物が処分してくれますよ」

 それは、あまりにも…。

 でも、俺なら。

「大丈夫です、ほら」

 俺はそう言って、ストレージで10人分の山賊を収納していく。

「おぉ、マジックバックですか?しかも大容量ですね。商人とおっしゃっていましたが、荷物無いので変だと思っていたのですが。それなら頷けます」

 デリクさん達が驚いている。

 普通、荷物がなければそう思うよね。

 そう思われないように、あえてマジックバックで収納してみたけど。

 よかった。


 道すがらデリクさん達に色々、マジスカ領の事を聞いてみた。

 可もなく不可もなくで、領主のマジスカ公爵のことも会ったこともないから分からないという。

 そう言われればそうだな。

 俺も以前居た世界だったら自分の町の事を聞かれても、悪い事でもなければ社交辞令的なことしか思い浮かばない。

 まして市長さん(領主)はどんな人?て、言われても分かるわけがないよね。

 自分の住んでいる町は、外に出てみないと比較が出来ないからね。


読んで頂いてありがとうございます。

物語と更新は、まったり、のんびりと進みます。


本作の元になった『ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-』を投稿しております。

https://ncode.syosetu.com/n7891ho/


 ご一読頂ければ幸いです。

 よろしくお願いいたします。

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