第175話 シェイラ国の決断の日
ここはジリヤ国の北東に隣接しているシェイラ国。
私は外交官のカール・セラーズだ。
以前よりジリヤ国とは、小さな小競り合いはあったがここに来て事情が変わった。
アスケルの森にセトラーという国が興され、鉱石の貿易をしていると言う。
まさか、そんなことが。
あの魔物の巣窟である魔境に国を興すなど考えられん。
しかもそこから鉱物を買い付け、剣や盾をたくさん作り軍事力を強化していると。
働き口も多数あり、我が国からも住民が流れていると言う。
私はその知らせを受けすぐにジリヤ国に向った。
ジリヤ国に一番近いシェイラ国の領地は、北東にあるカルラ領だ。
カルラ領に入るとたくさんの人が、道路整備に駆り出されていた。
領主に聞くと道路を広くし、物流を優先するというのが国の方針だという。
そして農地も開墾し酪農も始めると言う。
王都に何日も掛けやっと到着してみると、なんと言うことだろうか!
たくさんの労働者が集まり、街は賑わっている。
私はサバイア国王に謁見を申し出た。
話を聞くとセトラー国より鉱物が入り、鉄製品が自由に作れるようになった。
丁度、各国とも貿易をしたいと思っていたと言う。
バスターソードを見せてもらったが、特殊な製法らしく見事な剣だった。
そして今、ジリヤ国ではバスターソードや盾、弓矢の鏃など鉄や鋼製品は作り放題だと言う。
我が国もなんとかセトラー国と直接、取引が出来ないか聞いてみると無理ではないかと言われた。
その理由はセトラー国までの道が無いからだ。
セトラー国はジリヤ国の東に位置し、線路と言う物の上を走る蒸気機関車というものでしか行き来ができない。
サバイア国はジリヤ国の北にあり、アスケルの森は東南に位置するが道が無い。
道が無ければ貿易はできないだろうと。
ではいったいどうやって、そのセトラー国とジリヤ国は貿易を始めたのだ?
それを聞いてみたが、教えてはくれなかった。
これからジリヤ国経由で、鉱物を買えと言うのか?
軍事力を拡大しているジリヤ国に並ぶには、同じだけの武器や防具を購入する必要がある。
ある意味、脅威に思うなら同じだけの武器を揃えるしかない。
それに最近ではドラゴンバスターの噂もある。
緑竜の素材を、各国に売り資金を得ているとか。
逆らうことは出来ない。
仕方がない。
しばらくはジリヤ国経由で鉱物を購入するしかないだろう。
それにこれからは農業や畜産と、内政に力を入れていくと言う。
仕事が増えれば収入も安定する。
安心して子供を育てて行ける環境が出来れば住民は増えていく。
農業と畜産が増えることで、食べ物にも困ることはなく更に人口は増えて良いく。
そうなるまでには10年。
いいや5年か。
それまでに下に付くのか、並び立つのか決めねばなるまい。




