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第166話 線路は続くよⅥ それぞれの鍵

「緑竜(グリーンドラゴン)は、国で買取できますか?」

 するとファイネン公爵は、間の抜けた顔をして驚いている。


「な、何を言っているんだね?エリアス君」

「実はここに来る前に緑竜(グリーンドラゴン)が開拓村で暴れていたので仕方なく倒しました」

「緑竜(グリーンドラゴン)が暴れていた…仕方なく… 」


「それを売れば国も公共事業の資金になりませんか?」

「そ、それはそうだが…、それはいつのことなんだ?」

「ここに来る前ですから5日前くらいでしょうか?」

 まさか去年とは言えないしな…。


「そ、それでは肉や血は腐敗が始まる前に売らねばならん!!」

「どこか広い場所はありませんか?」

「騎士団の練習場がある。そこならいいだろう。おいレオナルド、冒険者ギルドに人を行かせ解体の専門の人を集める手配をしておけ」

「おまかせくださいご主人様」

 そう言うと執事のレオナルドさんは、あわただしく出かけて行った。





 ワイ、ワイ、   ザワ、ザワ、  ガヤ、ガヤ、 ワイ、ワイ、

    ワイ、ワイ、   ザワ、ザワ、  ガヤ、ガヤ、

       ワイ、ワイ、   ザワ、ザワ、  ガヤ、ガヤ、

    ワイ、ワイ、   ザワ、ザワ、  ガヤ、ガヤ、   

      ワイ、ワイ、   ザワ、ザワ、  ガヤ、ガヤ、

   ワイ、ワイ、   ザワ、ザワ、  ガヤ、ガヤ、


 騎士団の練習場に俺達は来ている。

 丁度、練習中だったのか騎士団の人達も、たくさん集まってしまった。

  

「いったい、何がはじまるのだ?」

「さあ、公爵様は場所を開けるように、おっしゃっていたぞ」


 その場にはファイネン公爵、奥さんのナタリア様、ジェラード君。

 エリザちゃん、侍女のネリーさん、執事のレオナルドさん。

 俺とオルガさん、アリッサさん、ノエルさんがいる。

 

「では、出しますよ」

 俺はストレージから緑竜(グリーンドラゴン)を出した。


〈〈〈〈〈 ドン!! 〉〉〉〉〉


 俺は軽くジャンプし、後に続くように見ている騎士団もジャンプする。

 緑竜(グリーンドラゴン)の全長はビル3階建てくらいの大きさだ。

 約10mくらいか。

 尾も入れれば15mはある。

 そして翼を広げれば、横幅は10m以上で巨大だ。


 す、凄い。

 これは?!

 竜(ドラゴン)か?!

 こんな巨大とは…。

 上顎から顔が吹き飛んでないぞ!!

 グロいな。

 いったい、どうやって?!

 そんな声が聞こえてくる。


 ドラゴンを倒すなんて。 

 ドラゴンバスターだ。

 凄いぞ!!


 ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、

   ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、

     ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、

    ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、

     ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、

   ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、


「おぉ、これは?!」

 冒険者ギルドから解体の専門の人が来たようだ。

 緑竜(グリーンドラゴン)を見るなりこう言った。

「ド、ドラゴンを本当に身近で見るとは。これは無理ですぜ、ファイネン公爵様」

「どう言うことだ?」

「まずドラゴンの鱗を剥がせるような工具が無い。それと皮膚を切り開くには大型のミスリルの剣が居る。そんな用意はギルドにはありませんぜ」

 あぁ、そう言うことか。

 ドラゴンて解体したことが無いから、解体用のナイフなどが無いと言うことか。

 

「それなら俺がやりましょう」

「エリアス君、君に出来るのかね?」

「えぇ、見ていてください」

 俺はそう言うと一旦、ストレージに収納した。

 そして解体魔法|Dismantling《ディスメント》を使い、ストレージの中で解体をする。

 生きた物はストレージでは収納できない。

 だが命の尽きた物体なら収納し解体できる。

 ストレージ内で骨、肉、内臓、鱗、皮膚、血に分けた。

 名付けて解体魔法|Dismantling《ディスメント》だ。


「解体が出来ました。何が必要でしょうか?」

「できたと言うのかね?」

「はい、そうです」

「本当かね?」

「見てみますか?」

 そう言うと俺はストレージから鱗を何枚か出した。


「本当に解体出来当たのか。驚いたな」

「何が必要でしょうか?骨、肉、内臓、鱗、皮膚、血に分けましたが。肉も新鮮です、さすがドラゴン生命力にあふれていますね、あはははは」

 まさかストレージに入れておけば、時間が経過しないとは言えないからね。

「そ、そうなのか?!では内臓以外だ。内臓は駄目になるのが早いからね」

 そうだよね、ホルモンとか美味しいのに。

 後で美味しく食べようかな。


 そんなことを考えながら、俺は骨、肉、鱗、皮膚をストレージから出した。


「売れるのは肉、鱗、皮膚は半分と、骨と血は全部売れます」

 肉と内臓は後で焼肉に、鱗、皮膚は後でドワーフさんに防具に加工してもらおうと思ったからだ。

 そして樽を何個も用意してもらいドラゴンの血を入れた。

 数十になった血の樽と鮮度が悪くなるからと、ギルドの人達は血と肉を慌ててどこかに運んで行った。

 辺りがとても生臭いぞ。


◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


★ファイネン公爵の思惑

 これはどうしたらいいものか。

 ドラゴンバスターなど、初めてのことだ。

 150年前のドラゴン大戦の時も、退けることは出来ても倒せなかった。

 それも異種族の力を借りてだ。

 人族ではそこまでの能力を持つ者はいない。

 

 どう扱えば良いのか。

 すでに我が娘を嫁に出している。

 これ以上、干渉すれば扱いづらくなるのは困る。

 他の国に先駆け鉄道を引き鉱物などの輸入をする。

 それを行う事で各国にも牽制にもなるだろう。


 だが開拓村では国同士の付き合いとして体裁が悪い。

 名前を決めてもらわないといけないな。

 

 そしてこれからはアスケルの森の開拓村にどれだけ組み込めるかが、この国で覇権を握る鍵になるだろう。


 ファイネン公爵は心の中で、今後の展開を模索するのであった。

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