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第159話 互いの短く長い人生に

 それから1ヵ月が過ぎ、鉱物事業は順調に進んでいた。

 

 俺が採掘した鉱物を蒸気機関車に毎朝積む。

 そしてダークエルフのディオさん達が、アレンの街に蒸気機関車で運ぶ。

 駅で待機している従業員達で降ろす。

 降ろした鉱物や石炭をアバンス商会へ店頭販売用に石炭を届ける。

 別班は商業ギルドと鍛冶ギルドに石炭、鉱物を卸す。

 残りは倉庫に運んでおく。


 俺がストレージに仕舞い、運べば簡単だがそれでは意味がない。

 蒸気機関車で運び込み人を雇い、降ろして配送するから街にお金が動くのだ。


 それから少し経つと炭鉱夫の募集に人が集まる様になった。

 当初はアスケル山脈での開拓など御免だ、と言っていた人達も毎日通うイーヴァインさん達を見て気が変わったらしい。


 アスケル山脈には人が踏み込んだことがない半面、森の奥に行けば行くほどレベルの高い凶暴な大型の魔物や魔獣がたくさんいる。

 その分、貴重な資源が眠っているが危険が付きまとう。

 だが彼らの乗っている蒸気機関車はどうだ。


 両脇にある1mの刃は、非常時には横に降り相手を切り刻むと言う。

 片側だけでも1車両120本は付いている。

 これではまるで、大型の魔物だ。

 アスケルの森の奥に住むと言われているドラゴンの様だ。


 サーベルウルフの群れに襲われた際も、この数百本もある刃で切り刻んだという。

 そんな噂を聞き付け給与も相場の倍近いこともあり、人が思った以上に集まった。


 そして今では朝早く蒸気機関車が迎えに来る。

 それに40~50人の炭鉱夫が客車に乗りアスケル山脈に向かう。

 その中には炭鉱で彼らを管理や指導する山小人《ドワーフ》も乗っている。

 彼らを馬鹿にしたり差別する物は炭鉱夫には1人もいなかった。

 なぜならドワーフは炭鉱夫より強く、仕事が出来たからだ。


 そこから各炭鉱に彼らは降ろされ働く。



 この世界では陽が昇ると働き、夕方になるまで働く。

 日が長い夏場は1日12時間以上働くのも普通だ。


 だがエリアス商会は違う。

 働く側の事を考え、朝7時くらいから15時くらいまでが仕事だ。

 掘り出した鉱物を貨物に積み、15時くらいに鉱物を降ろしにアレンの街に帰る。

 そして駅で待機している従業員達が鉱物を降ろすのだ。


 休憩も10時は10分、12時には1時間休憩がある。

 エリアス商会は週休2日制で給与も相場の1.5倍近い。

 夢のような職場だった。


 そして昼食を作ってくれるダークエルフの女性が綺麗だった。

 今まで異種族を蔑んでいたが、実際には見たことがない人が殆どだった。

 異種族の多くは森に住み、人族と関わり合わなかったからだ。


 人族の男達の何人かは、ダークエルフの女性と付き合い始めるようになった。

 そして毎日アレンの街から通うのも面倒だからと、セトラー領に一緒に住むようになった。

 これでダークエルフの少子化に歯止めになればいいけど。


 フリーだったダークエルフの成人女性は15人。

 そしてその内の6人に人族の彼氏が出来たのだった。


 ダークエルフは18歳くらいで成長が止まり、300~500歳くらいで寿命を迎える。

 同族の若い男性から見れば『ご先祖様』と、言われる世代だった。


 だが見た目は18歳くらい。

 人族からすれば200歳でも300歳でも分からない。

 年齢詐称にも限度がある。


 だが彼女達は年齢は言っていない。

 勝手にそう思っているのは、人族の方だから詐欺ではなかった。


 種族によってそれぞれあることを、これから分かり合えば良い。

 お互いの短く長い人生を仲良くやってくれればと思うだけだ。


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