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【第406話】攻撃手段

「ユニヴェールリフレクション!」


 シリューは理力の盾を展開すると同時に空へと駆け上がる。


 次々と着弾する光弾に盾は徐々に硬度を失い、三発目で早くも一部が砕け、四発目が貫通、五発目の命中で完全に崩壊した。


「雑魚の割に、たいした威力だな」


 イロウシュットの従魔竜に比べて破壊力はかなり高く、実際にはギリギリ三発を止められるかどうかだろう。


 更に連射性も高く、上昇したシリューに対して即座に追撃の光弾を撃ち込んでくる。


「なめるなっ。マルチブローホーミング!」


 左右に躱しながら、五体の従魔竜に魔法の鏃を撃つ。


 それぞれに命中はしたものの、どれも致命傷とならないどころか、動きを阻害するほどの傷にもならない。


「耐久性が高い!? それならっ、ガトリング!」


 毎分6000発でメタルバレットを掃射。


 だが7.62mmの弾丸では、従魔竜の鱗を貫通できなかった。


「こいつはどうだ! アンチマテリエルキャノン!!」


 雷鳴のような轟音が響き、音速のほぼ5倍で撃ち出された高硬度、大比重の弾丸が衝撃波さえ置き去りにし、今度こそ従魔竜たちを撃ち抜く。


「これって、結構ヤバいな……」


 攻撃力と防御力、そのどちらも災害級のワイバーンに匹敵する。


 飛翔能力はやや劣っているようだが、前足があるという事は地上でも行動できると考えた方がいいだろう。


 その従魔竜が五百体以上。


 それだけでも連合軍にとっては深刻な脅威となり得るというのに、ヴリトラ本体の想像を絶する質量は、もはや人知の及ぶところではない。


「勝てるのか……」


 前方からは従魔竜が更に十体。


 シリューへの殺意をむき出しにして向かって来る。


 だが、もう待つつもりはない。


 連合軍がヴリトラと直接対峙するまでに、できる限り従魔竜の数を減らし、本体も消耗させる。


 それが可能かどうか、ではない。


「やるだけやってやるさ!」


 シリューは双剣を抜き放ち、従魔竜に向かって一気に加速する。


「メビウス・ディストラクション!!」


 金色に輝くメビウスリングが、十体の従魔竜をバラバラに斬り断つ。


 ヴリトラ本体との距離が詰まり、その圧倒的な姿が眼前に迫る。


「なに食ったら、そんなにでかくなるんだ……」


 全身を畳程の鱗で覆われた体高は200mを超え、首をもたげれば300mに達するだろう。


 全体の比率からすると小さく見える頭だけでも、30~40mは有りそうだ。


 山のような巨体を支えている、がっしりと太い四本の脚。


 もはや、魔物とか生物の基準さえ当てはまらない。


 左の頭が口を開き、倒した数だけ従魔竜を放出する。


「左だけ? 右と左で役割が違うのか?」


 従魔竜を躱して、更に近づく。


 背中から生えた翼に似た一対の腕は、可動域も狭く攻撃に用いられる事はないようだ。


爆轟(デトネーション)!」


 放った魔法が、ヴリトラの背で爆炎をあげる。


 十畳はありそうな鱗の一部が、爆発によって砕けた。


「レイ!」


 露わになった皮膚にレーザーを撃ち込むが、僅かに表面を焦がしただけで内部にまでは届いていない。


「アンチ……くっ」


 更に攻撃を加えようとしたところに従魔竜の光弾が四方八方から迫り、離脱を余儀なくされる。


 取り囲む従魔竜が次々と光弾を吐く。


「こいつら!?」


 吐いた先に仲間が居ようとお構いなし。


同士討ち(フレンドリーファイア)上等ってか!」


 実際、何発かは味方の従魔竜に当たっているが、それが致命傷になる事はないようだ。


 シリューは大きく上昇し、従魔竜の群れを引き離す。


 雲を突き抜けた所で反転、急降下し今度は左の頭へと向かう。


 シリューなど気にする必要もないと思っているのか、それとも認識さえしていないのか、ヴリトラは全く反応を示さず無防備な頭頂を晒したままだ。


「メビウス・ディストラクション!!」


 首を落とせないまでも、角ぐらいはへし折ってやる。


 そう思って放った光の環が、ヴリトラの頭へ当たる直前に霧散して消えた。


「何だ!?」


 理力の盾や結界を展開した様子はない。


「烈咲斬!」


 咲き乱れる無数の斬撃も、先程と同じように弾けて消える。


 イロウシュットのように、攻撃がすり抜けるわけでもない。


「これって……」


 どうやら覇力による攻撃は無効化されるらしい。


 それならば、と魔力を乗せた技を放つ。


 「陽炎斬!」


 大気を歪ませる高熱の赤い斬撃は、数枚の鱗を焼き切った。


 試しに、覇力で強化した剣で斬りつけてみる。


 ガキィィン!


 これも覇力は無効化され、硬い鱗に剣が弾かれた。


「これはどうだ!」


 覇力による身体強化を施し、全力で蹴りつける。


 ドオォォン!


 今度は鱗に亀裂が入った。


「身体強化は、いける、けど……」


 かなり硬度が高く、一撃で砕くのは難しい。


 実質、攻撃手段は魔力だけと考えるべきだろう。


 魔法弩弓(フレシェット)魔導榴砲(エクスプレームス)も有効なはずだ。


 魔法を使えない騎士や兵士は、従魔竜の討伐に専念してもらえばいい。


「あとは……」


 もう一つ、確かめておく事が残っている。


 シリューは追い付いてくる従魔竜の群れに狙いを定めた。




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