表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
“味がしない”と捨てられた私、吸血鬼王に餌付けされてクイーンになりました  作者: 絹ごし春雨


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/17

5話  味がしないと言った人

 廊下を歩いていたときだった。


ふと、足が止まる。


聞き覚えのある声。


「……は?」


振り返った先で。


その人も、こちらを見ていた。


「リディア?」


心臓が、嫌な音を立てる。


忘れたかったはずなのに。


「なんでお前、こんなところにいるんだよ」


レオン。


かつて、婚約していた相手。


「……少し、縁があって」


うまく言葉が出てこない。


視線が、勝手に下がる。


あの頃と同じみたいに。


「縁って……はは、まさか」


レオンは、面白がるように笑った。


「雇われたのか? 料理係とか」


胸の奥が、きしむ。


「相変わらずだな。お前の飯、地味でつまらなかったし」


軽く言う。


何でもないことみたいに。


でも、その一言で。


ちゃんと痛い。


「……あれは」


言い返そうとして、言葉が詰まる。


違う、と言いたいのに。


うまく、形にならない。


「まあでもさ」


レオンは、興味を失ったみたいに肩をすくめた。


「せいぜい頑張れよ。今度はちゃんと雇い主に気に入られろよ?」


笑いながら、通り過ぎていく。


止める理由なんて、ない。


言い返す言葉も、ない。


ただ。


ぎゅっと、手を握る。


爪が食い込むくらい。


痛いはずなのに。


それでも、少しだけ。


あの頃より、ましだと思った。


全部、否定されたわけじゃない。


ちゃんと食べてくれる人も、きっといる。


それだけで。


「……大丈夫」


小さく、呟く。


誰に聞かせるでもなく。


それでも。


今は、そう思うしかなくて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ