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“味がしない”と捨てられた私、吸血鬼王に餌付けされてクイーンになりました  作者: 絹ごし春雨


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16話 確かめたいこと

「確かめたいことがあるんです」


「……もう一度、作ってもいいですか」


気づけば、そう言っていた。


リカルドは何も言わず、わずかに頷く。


それだけで、十分だった。


厨房に立つ。


さっきと同じ場所。


でも、少しだけ違う。


手が震えているのは。


怖いからじゃない。


選ぶからだ。


包丁を握る。


ゆっくりと、野菜を切る。


音が、静かに響く。


余計なことは考えない。


ただ。


この人が食べるものを、作る。


それだけに、集中する。


味を整える。


濃すぎないように。


でも、届くように。


——伝わるように。


仕上げる。


皿に盛る。


少しだけ、息を整えて。


振り返る。


「……できました」


差し出す。


今度は。


逃げるためじゃない。


選ぶために。


リカルドは、静かに皿を受け取る。


一口。


ゆっくりと、口に運ぶ。


その表情を、見る。


逃げずに。


まっすぐに。


ほんのわずかに。


目が細められる。


それだけで。


分かった。


「……ああ」


小さく、息を吐く。


「違う」


あのときと、同じ言葉。


でも。


意味が、違う。


「……好きです」


ぽつりと、こぼれる。


料理じゃない。


味じゃない。


「あなたが」


胸の奥が、熱くなる。


「食べてくれる、この時間が」


もう、止まらない。


「だから」


一歩、近づく。


逃げない。


「ここに、いたいです」


はっきりと、言う。


自分の言葉で。


「あなたのために、作りたい」


視線を上げる。


「……全部」


リカルドを、まっすぐに見て。


「もらってください」


その一言で。


もう、戻れない。

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