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“味がしない”と捨てられた私、吸血鬼王に餌付けされてクイーンになりました  作者: 絹ごし春雨


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12話  いい子は、よく食べる

「座れ」


当たり前みたいに言われて。


リディアは、迷わず席についた。


もう、戸惑うことはない。


ここに座るのが、自分の場所だと。


どこかで分かってしまっている。


「今日は少し量を増やす」


目の前に、皿が並べられる。


以前よりも、少しだけ多い。


「……食べられるでしょうか」


小さく呟くと。


「食べられる」


間を置かずに、返ってくる。


断定するように。


「君なら問題ない」


その一言で。


不思議と、不安が消える。


スプーンを取る。


一口、運ぶ。


視線がある。


でももう、怖くはなかった。


「そうだ」


静かな声が落ちる。


「いい」


それだけで。


胸の奥が、じんわりと温かくなる。


もう一口。


少しだけ、早くなる。


「焦るな」


すぐに、止められる。


「……はい」


素直に頷く。


言われた通りに、ゆっくりと食べる。


その方がいいと、分かっているから。


「昨日より、食べられているな」


ぽつりと、告げられる。


覚えられている。


それだけで。


少しだけ、嬉しい。


「……はい」


気づけば、笑っていた。


無理じゃない。


ちゃんと、食べられる。


「いい子だ」


いつもの言葉。


でも。


前よりも、ずっと近くに感じる。


「そのまま続けろ」


穏やかな声で。


逃げ場のない優しさで。


食事を終える頃には。


もう。


ここ以外の場所を、あまり思い出せなくなっていた。



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