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彩旅のエリセツア  作者: 泥竹チャハン
第6章 魔女の国ゼイノカウン編
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94話「目覚めさせる方法」

「何を考えているんですかジャンヌ様」


「マリも焦るのか!良いから待っていろ」


 そうして大魔女ジャンヌの熟考は数分続いた。そして口を開いた。


「うん。まだお前らじゃ無理だな、エリセツアを助けるのは」


「どう言う事ですか!?」


 スピリアは大声を上げた。マリも必ず救えると言うほどジャンヌを信頼していたのでその発言に驚愕した。


「大魔女でもエリセツアさんを助けるのは無理なのか?」


「だからー。落ち着け!私が説明してやるから」


 そしてジャンヌの説明が始まった。まずエリセツアは現在心神喪失状態になっていて、寝ているのでもなく死んでいるでもない、アンデッドと似た様な感じになっている事が教えられた。


「つーまーりー。エリセツアは簡単な事であれば動く事が出来る。まあそれはエリセツアの身体が覚えている行動しか無理だがな。それでそこから目覚めさせる方法と言うのが、」


「方法と言うのは、、?」


 マリが縋るような目線でジャンヌを見つめ、ヴィアレンたちもジャンヌに期待していた。


「詳しい事は説明するのが面倒だ。だから小雨の魔女を尋ねろ。あの子はエリセツアに何が必要なのか教えてくれるし、性格も穏やかだ。ほら、さっさと行け」


 突然相手するのに飽きたジャンヌは全員を宙に浮かせて部屋から追い出した。


「大丈夫ですか?ジャンヌ様はあのような方なので、、とにかく小雨の魔女の場所へと行きましょう」


「その、小雨の魔女とか探究の魔女とか、魔女には二つ名があるんですか?」


「そうですよ。ちなみにジャンヌ様は叡智の魔女です。それにエリセツアさんもどうやったのかは分かりませんが彩旅の魔女として登録されている様です」


「くだらないね。それで小雨の魔女とやらを探すにはどうすれば良いんだい?」


 スピリアたちも同じ様に疑問を持っていた。小雨の魔女に聞けと言われてもこの国には数千人の魔女がいて、どうやって探せば良いのか検討もつかなかったからだ。


「それなら大丈夫です!この城では登録された魔女の住所が全て記録されていますから。城の記録係は一階にいますから聞きに行きましょう」


「プライバシーとかないのかい?この国は」


「ヴィアレン、ちょっと考えてみろ。俺たち今日疑問ばっかでもはや考えてない。こう言う時何ていうか予想出来ないか?」


「魔女は互いに仲間ですから信じ合っています。なので秘匿されてないんですよ」


 それからマリに従って、記録係の元へと行き、小雨の魔女の住所を聞いた。すると小雨の魔女は旧都ディーズガーズと森林地帯の境界近くに住んでいる事が分かった。


「そう言えば俺たちもう隠れなくて良いんですか?さっきから色んな魔女とすれ違ってましたけどこっち見てくるだけで魔法放たれたりなんてしなかったし」


「それはジャンヌ様が国全体の魔女たちに貴方たちの事を伝達魔法というもので知らせたからです。しかしそれが数千人となると、ジャンヌ様の力の凄さが現れてますけど」


 そうして小雨の魔女の家に辿り着いた。偶然なのかは分からないが家の付近では小雨が降り、しっとりとしていた。


「おや?小雨の魔女の家には男は入れないそうですよ」


 小雨の魔女の家の前には「男立ち入るべからず」と書かれた看板があった。マリは何となく理由を分かっていたが、野暮な事なのでそこまで言及しなかった。


「なんか、ヴィアレン、ここの家怖いぜ。スピリアさんたちに任せないか?」


「別に良いけど。スピリアたちは大丈夫なのか?」


「ちなみに私は忙しいので、ここら辺で城に戻らないといけないです。すみません、」


 つまりここからはスピリアがエリセツアと共にこの中へ入らないといけない。小雨の魔女はマリが言うには暗い人だ。スピリアは深呼吸をした。


「心配してくれてありがとうございます。でも大丈夫です。私にしか出来ない事なら任せてください」


「じゃあ俺たちは二人でここで待っときます。頑張って来てください」


 そうして、スピリアはエリセツアをおんぶして小雨の魔女の家のドアを叩いた。するとドアは勝手に開き、チャリンとドアベルが鳴った。


「どうぞ。中へ入って」


 奥から声が聞こえ、スピリアは恐る恐る入った。そこには丸いメガネをかけ、空色のセーターを着たごく普通の女性が窓の外を眺めながら椅子に座っていた。


「あの、貴方が小雨の魔女なんですか、?」


「ええそうよ、私は小雨の魔女パラキース。彩旅の魔女エリセツアを助けるために来たのよねスピリアさん」


「は、はい。エリセツアをよろしくお願いします」


「まずは座って。外は雨が降ってて肌寒かったでしょう?お茶を淹れて上げるわ」


 そうして、スピリアはエリセツアを寝かせ、椅子に座らせてもらった。しばらくするとお茶の良い匂いがして来て、思わずスピリアは眠くなってしまった。


「今日は色々あって疲れたみたいね。遠い所から彼女を助けるためにご苦労様」


「すみません!お茶ありがとうございます」


「それで本題に入りましょう。目覚めさせる方法なのだけれど、彼女は今、心が閉じてしまっているの。自分の記憶を操った代償として自分を見失い、魂の世界を一人寂しく彷徨っているわ」


「つまり、魂をエリセツアの身体の元に帰らせて上げれば良いと言う事ですか?」


 パラキースは焦るスピリアを見て、少し笑みを浮かべた。


「そうよ。でも落ち着いてちょうだい。焦っていてはエリセツアを助ける事は出来ない。それに彼女はこのまま時間が過ぎても良くも悪くもならない。魂の世界では時間が存在しないのよ」


「でも、エリセツアを早く目覚めさせて上げたいんです!お願いします方法を教えてください」


「分かったわ。まず迷えるエリセツアの魂を身体に戻すには導いて上げる必要があるわ。そのための儀式を私が行う事が出来るから大魔女は私を選んだと思うの。でもその儀式を行うためにはエリセツアをよく知っている者の彼女に関する記憶が必要なの。どう言う事か分かるでしょう?」


「私やヴィアレンさんたちの力が必要、と言う訳ですね」


 パラキースは頷き、お茶を飲んだ。そしてため息をついた。


「けれど私のストレスが溜まっていると、儀式を行う時に失敗してしまう可能性が上がるの。よかったら話を聞いてくれないかしら?」


「えぇ、はい、聞きます」


 不満そうなスピリアを見ながらもパラキースは、自分の過去について話し始めた。

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