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彩旅のエリセツア  作者: 泥竹チャハン
第5章 シャレット砂国編
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88話「ホークの作戦」

 私はギルドの応接室に行き、ギルド長の話を聞くことにした。その場にはノイルとホークもいた。


「ギルド長、これからどうしますか?一応ホークさんが予想していた事態ではありますが、だからと言って安心出来る訳ではありません」


「エリセツア、今回の件で君には大変な重荷を背負わせてしまうことになる。こうしてペルヴェリンを逃したことでその重荷が更に増えた。申し訳ない」


「いやいや気にしないでください。これは多分、私とペルヴェリンの運命なんですよ」


 そう、これは占い師が私に告げた運命値が低い事と関係しているのだろう。誰かが意図してペルヴェリンと私を引き合わせているのではない、いや強いて言うならこの世界がそうしているのだろう。だからこそ私は受け入れた。ペルヴェリンと戦わなければならないと。


「それで私の作戦において、一番の懸念点が内通者だ。作戦のための最後の準備はエリセツアたちがもうやってくれたから、後はどうやって内通者を事前に炙り出すかを考えれば良い」


「俺のパーティの奴らはないと思う、俺は人を見る目には自信があるんだ。それは身近な人間の違和感なら特にな?だから怪しい動きを見せた事ないガレオン、アルム、マイルは除外して良い」


「ホークさん、これは私も保障出来る」


「そうか。しかしあまりにも容疑者となる奴らが多すぎて大して変わらないな、」


 しばらく沈黙の時間が続いていると部屋のドアがノックされた。どうやらギルドの職員の様だ。


「あのなあ、今は邪魔をするなと私がギルド長命令を出しただろ。聞いてなかったのか?」


「あ、すみません。お茶が必要だと思いまして、、」


 ギルド長はため息をつき、お茶を受け取ってからギルドの職員を返した。泣きそうな顔をしていたからギルド長はそこまで責める気になれなかったらしい。

 職員が出ていくと、ノイルは鋭い声でギルド長に問いかけた。


「ギルド長、あいつの名前って何だった?」


「ヌヤだが、それがどうかしたのか?」


「そうだよな、随分前からいた、ちっこい女の職員で、いや何かがおかしい。あいつと話した事はある気がするのに話した記憶がないんだ」


「ん?私にはよく分からない。分かりやすく説明してくれないか、」


 ノイルは神妙な顔をして悩んでいたが、ホークには心当たりがあった様だ。


「認識阻害魔法。失われた一般魔法ならば可能かもしれない、」


「この国の者には魔法の知識と言うのが乏しくてな。私とノイルに分かるように説明してくれるか?」


 ホークは一般魔法が術式を用いずに使われる元素魔法とは別の、伝説の魔法という事。そしてその一般魔法はいくつかの国や組織が情報を独占しているという事も伝えた。


「ちなみに私、認識阻害の反転魔法なら使えます」


 反転魔法はモナレンで呪法師の幻影を破ったように、一般魔法の現象を反転させ、無に帰す事が出来る。反転魔法には幻覚、幻影、認識阻害に対しての三つの種類がある。

 そして私は、サッと杖を構え詠唱を始めた。


「反転魔法『正常認識』」


 すると自分を含め、周りにいる人物にかかっている認識阻害魔法を解除した。するとギルド長はとても驚いた。


「し、知らない、ヌヤと言うのは何だったんだ?どうして突然現れたのに当たり前の様に会話していたんだ?」


「それが認識阻害魔法だ。もちろん国際プロテクトオーダーが認めない限り使用は認められない。間違いなく違法だ。それにしてもノイル、君はやるな。認識阻害魔法の矛盾に気付けるとは、」


「俺は戦闘が苦手な分、他に気を回してるってだけさ。あいつは俺たちの部屋を意図的に覗いていた。だから疑ったんだ」


「ちょっと待て、とりあえずあの職員が内通者でほぼ間違いないのは分かったが、つまり探索者の中に潜む内通者と言うのは、、」


 ノイルとギルド長はいつの間にか馴染んでいた探索者の中に、いつの日か突然当たり前に話す間柄になっていた不自然な人物を思い出した。

 そして次の日、調停人ホークは覇王の戦利品の内、二つは探索者と騎士が強制的に契約を交わさせられたこと、残り三つの神剣、神弓、黒剣はギルドが見つけ保管したことを公表した。

 ギルドがニ黒三神を手にしたのならば流石に各国の組織や実力者たちも手を出す気にはなれず、表向きの覇王の戦利品騒動は終了した。


「ホークさん、それにしてもいつの間に神剣と神弓を見つけてたんですか?」


「そりゃあ、夜空騎士の神槍を通じて教えてくれたからに決まってるじゃないか」


「え、じゃあ何で黒剣と黒鎌は探さなかったんですか?」


「あぁそれは神槍によると、元々ニ黒と三神の所有者は対立していて仲が悪かったらしい。だから互いに共鳴して連絡を取らない様にしてるんだよ」


 私は歴史書にない過去の人物たちの関係性を知れて、思わずクスッと笑ってしまった。

 そう話すエリセツアとホークは二人でギルドの前を監視している。


「にしても本当にホークさんってここまで完璧に読めるんですね、」


「言っただろ?正面から攻めてくるって、」


 私たちは杖を構えた。時間は真夜中であり、辺りに人は歩いていない。しかし物影や家の屋根、段々と気配が現れてきた。何と目の前には十人の実力者が集まっていた、つまりペルヴェリンだ。


「どうして私たちが正面から来るって分かったんだい?内通者はあり得ないだろうし、まさか未来が見えているのか」


「真面目な顔して何言ってるんですか?マーロスだっけ、私に手も足も出なかったくせにまた戦うんですか?」


「幹部が十人集まったんだ。そしてそれぞれの部隊もある。いくら君が強かろうと所詮個人だ」


「ははは。ペルヴェリンか、長年隠れてきた割には規模の広い組織だと思ったが、そう言う事か」


 ホークは笑って幹部たちを見た。そしてホークは呪文を唱え、作戦通りにとある結界を張った。すると迷宮都市キャラミャンは一般人含め、固まった。さほど景色は変わらなかったが、ペルヴェリンの幹部たちは驚いた。


「まさか、石化魔法の結界を張ったと言うのか」


「そうだ。そしてこの石は絶対に壊せないから都市も人も私が結界を解除するまで安全と言う事だ」


「凄い、魔法使いとしてなら私と比べものにならないですよ。本当に凄い、」


「エリセツア、覚えておくと良い。戦う魔法使いはな、とっておきの魔法を持ってるものなんだ」

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