81話「代理調停人」
私はケイディの幼馴染のことは聞かないことにした。気まずいだろうし、私が気に食わない。そして私はお互いを知る会議を終わらせようと思った。
「あのさ、さっきから、エリセツアは僕たちと同じ年齢みたいに話すけど、ルグニカは、、ん、ん!!」
私はヴィアレンに話せなくなる呪いをかけた。私の年齢については私にとって一番恐ろしいことだからだ。正直、記憶を封印されたせいなのか幼馴染たちと冒険した期間が思い出せない。しかし、その長さは一、二年などではなくとても長い旅だった気がする。まあ恐ろしいと言うのは私の年齢が本当は十六歳ではなく圧倒的に年上だったら、ヴィアレンやケイディ、ウミオチやスピリアとの関係が壊れていたかもしれなかったことだ。
幸い、ケイディは何となく察して苦笑いした。まあ自分と同年代である魔法使いが強すぎる理由に納得してホッとしたと言う所もあるのだろう。
「私の身体的年齢は十六歳だ。誰が見てもそうだよね?でもルグニカの言ってたことは多分あってる。私はさっきも言った通り、記憶を封印されてた影響で年齢が思い出せないんだよね、」
「にしても、僕がデリカシーないとは言え仲間に呪いをかけるなんて酷いと思わないかい?」
「ごめんって、ビックリした反動で、、」
そして次の日、私たちは探索者ギルドのギルド長から事情を聞かれた。ギルド長は熟練の女戦士で引退はしたが未だその雰囲気は現役だ。
そして現れた人間がどのような力を持ってて、そいつらが魔道具を使って私たち閉じ込めようとしたことをケイディが話した。
「なるほど、ペルヴェリンの存在はここ数年で知られる様になってきた恐ろしい組織ね。まさかその組織まで覇王の戦利品を狙うとなれば、」
「ギルド長。今は迷宮の攻略を中止するべきだと思います。私やヴィアレンが抗議すればどうにかなるでしょう?」
「いや、覇王の戦利品について、事態はそう単純じゃないんだよ」
そして私たちは覇王の戦利品によるキャラミャンの異常について教えてもらった。まずことの始まりは三ヶ月前、迷宮の最前線攻略パーティである「夜明けの蒼鷹」が十八層を攻略中に謎の武器を発見したことで始まった。
「リーダー、この部屋に飾られた武器たちってもしかしてよ、」
「あぁ、歴史書で見たことがある。覇王ディゼルコライが使ったとされる二黒三神だ。伝説ではこの神剣、神槍、神弓、黒剣、黒鎌、これを一つでも手にした者は天変地異を操れると言われている。一旦ギルドに報告しよう。撤退だ」
しかしその時、五つの武器たちはまるで封印から解放されたかのように、衝撃波を放ち、一瞬でどこかへ行ってしまった。
「これは、とても厄介なことになったな、」
その話を聞いて私は息を呑んだ。何故ならそれまで、覇王の戦利品と言うのはちょっとした噂が拡大したものだと考え込んでいて、結局いつかは忘れられると思っていたからだ。
もちろんドーウェン騎士団や各国の勢力が、力を入れているのを見ていたから、何かがあると考えていたが。
「それで君たちはペルヴェリンに襲われたんだね?それなら他の探索者や迷宮許可証を持った他国の組織も狙われる可能性があるだろう。こうなったら調停人を呼ぶしかないのかね、」
「調停人?」
「調停人と言うのは各国のギルド長のみが国の問題を解決するために呼ぶことが出来る、戦闘のスペシャリストだ。でも呼ぶには時間も金も掛かる。だからそれまで代理を頼めるかい?そこの二人はともかく君なら任せられるよ」
「ギルド長からのお願いなら仕方ないですね。でも報酬はきっちりいただきますよ」
そして、私は代理調停人として迷宮のあらゆる階層を行き来できる資格を手に入れた。そして調停人としての仕事をしなければならないため、ケイディやヴィアレンとは別行動をすることになった。
そして次の日、ヴィアレンたちは二人でキャラミャンを歩いていたら。
「ちっ、あいつ僕のことを舐めてるだろう。黒魔法の存在を言えば僕だって負けてないのに、」
「俺だってエリセツアさんみたいに強くなりたい。でもそのためには修行が必要だろ?だからさ、エリセツアさんがいない間、俺たちで何か成し遂げようぜ」
「それこそ覇王の戦利品だね。正直興味はなかったけど僕をギルドやエリセツアに見せつけてやれるチャンスだ」
「それじゃあ今から行こうぜ!」
一方その頃、エリセツアは十層より下の階級の構造について知るために夜明けの蒼鷹のパーティに同行していた。
「まずは自己紹介としよう、俺は黄金級探索者パーティ夜明けの蒼鷹のリーダーであるノイルだ」
「俺はガレオンだ。見ての通り前衛の戦士だ」
「アルム、です、」
「ははは!アルムは人見知りなの。彼女はシーフなの。そして私はマイル!魔法使いよ」
「一級冒険者のエリセツアだ。君と同じ魔法使いだ。だいぶ私の方が若いが、戦いに関しては任せて欲しい」
リーダーのノイル以外はかなりの実力者だ。つまりノイルはパーティの指揮に当たるのだろう。指揮を舐めてはいけない、常に冷静で臨機応変に判断を下さなければならないからだ。
「エリセツアさん。あんたがいくら強くてもここでは俺の命令は絶対だ。分かってくれたか?」
「分かっている。ノイルが命令をしなければ勝手に仲間の命を救おうとせず、命令をされれば見捨てもしよう」
残酷な様だが、これはとても重要なことなのだ。誰かのミスがパーティの崩壊へ繋がる。十層以降の階層とはそう言う緊張感が必要なのだ。
「今日は十一層から最前線まで一気に駆け抜ける。そこであんたの実力や人間性を確かめる。あんたも本気になってくれ」
「もちろんだ。行こう」
そして夜明けの蒼鷹と共に走り出した。私は体力がないので身体強化魔法を使おうと考えたが、結局箒を取り出して乗る事にした。何故なら自分の身体強化魔法程度ではこのパーティについて行けなかったからだ。
三十分で十一層を抜けた。その間に幻影や夢を見せる魔物が襲ってきたが、ノールックで蹴散らすガレオンに、動きがとてつもなく速く気づいた時には敵を消し去るアルムのおかげで私は何もする必要がなかった。
「これって私の実力を見るんじゃなかったの?今のところ私が出る幕ない感じなのに」
「俺たちのパーティが階層を抜けるのに苦労するのは十五層からだ。魔法使いは魔力が肝心だからこんなところで消耗させる訳にはいかないんだ。そんぐらいあんたなら分かると思ったんだがな、」




