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彩旅のエリセツア  作者: 泥竹チャハン
第5章 シャレット砂国編
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77話「幻影の迷宮」

「ヴィアレンも私もケイディと年齢そんなに変わらないでしょ?」


「俺は今年で十七になります」


「私もだ。それならこれからはさん付けしなくても良いよ」


「それなら、エリセツア、、さん。今の俺に呼び捨てはハードルが高いですよ」


 そんな雑談をしながら迷宮を進んで行くと、オークが数匹発見した。


「じゃあ前衛はヴィアレンで後衛がケイディだからね。互いに気を遣って戦ってね」


「僕じゃなきゃだめ?」


「動きを封じてくれたらそれで良いから」


 そしてヴィアレンは黒魔法を駆使しながらオークたちの動きを封じていった。


「今だ。あそこに術式を使わず魔法を放て」


「はい!」


 ケイディは集中した。魔力を無駄にしないように丁寧に魔力を氷に変換しながら、敵を貫くイメージで魔法を放った。

 その氷魔法はオークにダメージを与えることは出来たが、一撃で倒すまでには至らなかった。


「倒せなかったか、」


「丁寧にしすぎるあまりに、魔法の速さが足りなかったな。私のを見てて」


 私は杖を構え、狙いを定めた。そして速さを意識して氷魔法を放った。するとオークの頭を見事に撃ち抜き倒すことが出来た。


「す、凄いですよ!こんな速さ、もはや銃じゃないですか」


「よく分かったね。私は銃をイメージして魔法を放ったんだ」


 銃はこの世界の武器の中で最速である。しかし、人を殺すための道具として生まれたので武器として使う者は危険とされ、無断での使用が発見された場合、大陸プロテクトオーダーに逮捕される。つまり博士が作ったリボルバー型箒もリボルバーとして使おうとしたら捕まってしまう。おそらくその機能は封印されているとは思うが、、


「魔石は僕が貰うからね」


「いいやダメだ。私はいらないが、ダメージを与えたケイディは貰うべきだ」


「良いんですか?」


「まあ、僕はこんなことしなくても十分金があるからね。こんな端金に一々向きにならないさ」


 ヴィアレンはケイディにマウントを取っていた。何となくケイディも察していたが、相手にはしなかった。

 そして私たちはその後も魔物を狩り続け、ギルドへと戻った。


「ヴィアレン様は十層の魔石を合計四十個納められましたので白銀級へ昇格となります」


「そっか。ヴィアレンはたくさん狩ってたからもうランクが上がったのか。良かったね」


「おぉ今日だけで十万レット貯まりましたよ!ヴィアレンとエリセツアさんに感謝」


「僕は呼び捨てなんだね。ふーん、」


 ヴィアレンは何だか気分が良さそうで呼び捨てに怒ることはなかった。白銀級に上がったのが誇らしかったのかもしれない。

 そうして皆んな気分良く一日を終えた。まさか次の日、最悪な出来事が起こるとも知らずに、


「十一層に行こう」


「俺も行って大丈夫なんですか?確実に足手纏いですよ」


「確かにね、聞いた話では精神力が必要になるらしい。正直ケイディはまだ弱いけど私たちが導くから!」


「面目ない、」


 私は絶対油断しないつもりだ。何故ならこの階層は迷宮が見つかった五十年前、初めて攻略組が失敗した場所でもあるからだ。


「絶対に私たちは離れてはいけないよ」


「ちっ、何でこんなやつらと、」


「ヴィアレン、俺が言うのも何だが油断するなよ」


 そして私たちは十一層へと足を踏み入れた。そこは真っ白な空間であり、いつの間にか一人になっていた。そして霧が出始め、私は思わず目をつぶってしまった。


「エーリセツア!」


「え、シェリア?それにスピカまで、」


「エリセツアどうしたの?今日は三人だけでピクニックです」


 なるほどこれは幻影魔法か。今の私の様子を見る限りまだ鍛錬をしていた頃だな。

 

「私の使える数少ない一般魔法である反転魔法を使えば解けるが、もう少し過去を楽しみたいな」


 そして私はまんまとトラップに引っ掛かってしまった。しかしエリセツアはまだ知らない。幻影魔法だと思っていたそれは別物で、反転魔法を使っても意味がないことに。

 その頃、ケイディは眠ってしまったエリセツアをおぶり、ヴィアレンに着いていっていた。十一層は屋敷の廊下が無限に続いていた。その廊下には扉がたくさんあるだけだった。


「ヴィアレンならどうにか出来るんじゃないか?」


「知らないよここまで深い眠りに落とす魔法をどうこうする方法なんて」


「じゃあどうする?入り口は閉まってしまった。進むしかないのか?」


「そうだね、」


 ヴィアレンは内心、悔しく思っていた。ここの階層の情報は事前に調べていて、夢を操る魔物が出てくると分かっていたのに自分が気づく間もなくエリセツアが眠らされてしまったから。夢を解く方法は自分自身で世界が夢となる証拠を見つけることだとエリセツアに伝えるべきだったのにもう遅かったのだ。


「戦闘は君じゃエリセツアが邪魔で出来ないだろうから僕がする。だから僕に何が何でも着いてこい」


「何だ急に、偉そうでムカつくけど今はどうしようもないしな。分かった着いてく」


 そうしてヴィアレンは事前に知っていた攻略方法である、幻影に飛び込むと言うことを実践しようと考えていたが幻影らしき場所が見当たらない。


「どう言うことだ、僕が見落とした?いやこの迷宮は僕たちの考えを呼んでいる。一番僕たちが考えようとしない場所に飛び込まなければならない」


「謎解き?それなら俺得意だから任せてくれ。というかまずこの階層について教えてくれないと何が何なのか分からないんだけど、」


 そしてヴィアレンは素直に十一層に関することを教えた。そしてケイディは口を開いた。


「ははは。お前馬鹿じゃねぇの!そこまで知ってて攻略方法を見つけられねぇなんて、」


 すると突然ケイディはエリセツアを投げ捨て、襲いかかって来た。


「はぁ!?何だい君は、僕と戦うの?」


「最初からこうするつもりだったんだよ!!」


「いやそんなはずないだろう。まさかとは思うけど僕は夢を見てるのかい?」


 その瞬間、ヴィアレンの視界が割れ、目覚めた。するとケイディが自分とエリセツアを背負って歩いていることに気づいた。


「起きた、?はぁ、良かった。全く困るよ」


「ちっ、君に迷惑をかけることになるとはね。でも君を一回ぶっ殺したい気分だよ」


「何でだよ!それよりエリセツアさんはまだ起きないみたいだ。この階層は強いやつから狙う魔物がいるらしい。一瞬、風が吹いたと思ったらヴィアレンが倒れたんだ」

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