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彩旅のエリセツア  作者: 泥竹チャハン
第5章 シャレット砂国編
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76話「ケイディ」

「弟子って言うのは何かおかしいな。じゃあ分かった。私たちとパーティを組んで一緒に迷宮を探索しよう」


「エリセツア、僕は反対だ。あの未熟なやつらでさえこいつを足手纏いだと判断したんだ。何故そこまでしたいんだい?」


「そうです、俺は弱い。あなたが俺を連れて行こうとする理由は必要はないはずだ」


「君には特別な才能がある。それは私のような一部の人間しか見抜けず、その価値も多くからは認められない」


 ヴィアレンもケイディも私が見抜いたものが何なのか到底理解出来ないだろう。昨日見せた聖なる力や魔法の実力があるから、ヴィアレンには信じてほしいな。


「だってさ。そこまで言うなら僕は別にいいけど、こいつが僕の邪魔になったらその時は追い出すからね」


「俺に才能、、今はあまり実感がないけど、もし本当なら俺の才能を開花させて欲しい。お願いします!」


「よし、それじゃあ、今日は改めて一層に行こう」


 それから私は二人を引っ張って一層へと向かった。


「あのさ。朝から思ってたんだけど君、僕と同じようにローブ纏ってたら僕のアイデンティティ無くなるんだけど?」


「俺だってローブ纏ってコソコソしたくないですよ。ヴィアレンさんのせいでしょ」


 昨晩、ヴィアレンは今すぐに金が必要だったため、私と別れギルドに魔石とレットを交換しに行った。


「失礼ですが、赤銅級で一級冒険者のヴィアレン様ですよね?」


「え、何?そうだけど僕に用があるの?」


「五人組の探索者パーティを覚えていらっしゃるでしょうか?その内の一人が囮になったとかであなたたちに助けを求めたと聞いたのですが、」


「あぁね。あいつは残念だけど手遅れだったよ。身の程を弁えないのが悪いね」

 

 何とヴィアレンはケイディが生きていると教えてしまえば容態や居場所を聞かれると思い、私の治癒能力の秘密を守るためにも嘘をついたのだ。

 ケイディは朝ギルドに行くと自分が死んでいることになり、それが結構な噂になっていたからそれもあってうつむいていたらしい。


「まあまあ。キャラミャンのバザールで認識阻害系の魔道具があるかもしれないから探しとくよ。それよりもケイディ、君の才能を開花させるよ」


「いやエリセツアさん。それよりも本当にこんなことバレたらおしまいですよ。いくら一層とは言え、警備員をレットで黙らせて探索なんて、」


「そう?覇王の戦利品を探しに来た各国の騎士団やお偉いさんは皆んな探索者として登録してないんだよ」


「確かに、言われて見ればそうですね」


 そして私は一層にしかいないある魔物を探し、ついに見つけた。


「え、スライムですか?流石に俺でも倒せますよ、」


「そうだね。でも最小限の力かつ一撃で倒すことは出来る?」


「じゃあ見といてください。炎魔法『ファイヤーボール』」


 ケイディのごく一般的なその魔法はあっさりとスライムを倒した。それもそのはず、スライムは近接で戦う者にとっては核を狙って攻撃しないといけないため少々面倒くさいが、魔法使いはそんなこと関係なしにスライムが耐えきれないほどの威力で倒せる。

 しかしそれは術式を用いた場合の話だ。


「本当の最小限を私が見せるからしっかり見てね」


「本当の最小限?」


 そして私は杖を構え、集中して魔法を放った。するとスライムの核は消え、スライムは溶けた。


「違いが分かるかな?」


「今って、何したんですか、、俺の目には杖を構えたらスライムが倒されたようにしか見えなかったんですけど」


「雷魔法だったね。でもあんな術式なんて知らないし、僕には到底理解出来ないよ」


「と言っても違いは二つだけだよ。無詠唱なことと、術式を用いないことだ。まあ正確に言えば雷には電流が流れ込む場所を探す性質があるから雷魔法を使ったという理由はあるけどね」


 そして私はケイディに授業をした。術式を用いない魔法の実践でのメリットや、魔力効率の違い、とにかく魔法使いとして強くさせるためにひたすら知識を与えた。

 魔法使いの強さは魔法への理解と、魔力量で決まる。だからケイディに足りていない魔法への理解を深めさせるのだ。


「エリセツアさんはどうやったらそんなたくさんの知識を持つことが出来るんですか?魔法使いの常識が通じな過ぎて怖いですよ」


「まあ親が凄かったんだよ。それに私も才能があったからね」


 もうこの流れも何回繰り返しただろうか。その度に思うが、やはり実戦に置いて術式を使う魔術よりも魔法の方が戦略が増えるはずなのにどうして大陸には広がらないのだろうか。歴史上で見ても気付いたのは魔術師マーリンのみであり、魔法の研究者であれば気付きそうなものだが、、

 それともう一つ気になることがある。魔法を知り尽くしたつもりの私にも分からない魔法のことだ。


「それよりさ、ヴィアレンの黒魔法って結局どういうものなの?」


「何?僕が暇そうにしてるからってわざわざ会話を振らなくても良いんだよ。でもルグニカに聞かれたら教えるように言われてるからね。黒魔法は僕の持つ黒魔術秘典を媒体として使う、戦闘のためだけの魔法だよ」


「いつも読書してる訳ではないと思ってたけどそう言うことだったんだね、」


「そんな訳ないだろう、はあ、」


 その後、しばらくケイディの鍛錬を続けた後、私たちはキャラミャンのバザールでとある魔道具を購入した。


「これが俺?」


 バザールに売っていたのは、その者を知っているのなら別人と判断されるマスクだ。それは本人も例外ではなく鏡を見たケイディも違和感を抱いている。


「これは多分あんな値段で売っていいものではないな。失われた一般魔法が使われている」


「一般魔法って何なんです?」


「説明するには難しいんだが、属性魔法でも黒魔法でもない伝説の魔法だよ。私も歴史書でしか見たのばかりだから具体的なことは言えないけどね、」


 そして私たちは解散した。ヴィアレンは宿へ戻り、私はまたバザールへ向かい、ケイディはもう一度探索者として登録することにした。

 次の日、私たちは十層に行った。


「まだ石炭級なのにまた来てしまった、、」


「大丈夫だよ。赤銅級が二人もいるんだ。それに実戦が一番強くなる近道だからね」


「僕も金を稼がなきゃいけないんだ。つべこべ言わないでくれないかな、」


「ヴィアレンさんは一々余計なこと言わないと気が済まないんですか?」


 おや、これは波乱の予感がするな。危険なことにはならないといいが、、

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