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彩旅のエリセツア  作者: 泥竹チャハン
第5章 シャレット砂国編
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74話「迷宮の魔物討伐」

 占いを私は信じていなかったが、まさか本当に当てるとは思わなかったから完全にお婆さんの話を集中して聞いた。


「運命値が低い人間は世界に嫌われているって意味だ。それはつまり世界に属さない人間、大陸の外の人間を表すんだ。だからこれまで見てきた二人も大陸の外の人間だった。あんた、面倒ごとに巻き込まれること多いだろ?」


「確かに、、思い当たることはたくさんあります。それじゃ大陸の外の人間は世界に嫌われているから面倒ごとに巻き込まれやすいんですか?」


「そうだ。だがしかし、私のこのブローチがあれば運命値が上がる。どうだい?六千レットで売るよ」


「うーん、、それはやめときます」


 確かにこのお婆さんの話は信じられる。実際大陸の外からやって来たし、面倒ごとにたくさん巻き込まれる。しかしこのブローチが私の運命を決めるというのは自分の旅を縛られているようで嫌だし、何より効力があるとは限らない。それに面倒ごとは旅に付き物だ。


「けっ、あんたは偉いね。ブローチに効力なんてないよ。とっとと行きな」


「でも楽しかったですよ。これはチップです」


「五千レットもかい?それじゃあいいことを教えてやろう。あんたと私がこうして会ったのは何かの縁、と言うより運命だったのさ。それは私にとってと言うより、あんたにとって意味があるのだろう」


 私はあまり理解できなかったが、お辞儀をして去った。


「運命なんて、あるのか?」


 結局その日は良い魔道具を見つけられず何も買わずに宿に戻った。


「よし今日は七層から始めるぞ。ヴィアレン」


「分かってるよ。僕はどうせ着いていかなければいけないんだから、」


 珍しくヴィアレンは儚い顔をしていた。その様子を見る限り、何かを悟ったのだろうか?


「そう言えばいつまでヴィアレンは一緒に旅をしろと命令されたんだ?ちなみに私は旅を始めて一年半が経つが、共に旅をした二人とも離れてしまった」


「無期限だ。ルグニカの気が変わるまでずっとなんだ!」


 ヴィアレンは今までで一番感情的だった。どうやらよっぽど行動を制限されるのが辛いらしい。まあ元々はペルヴェリンと言う組織に所属していたのに、敵対する組織の一人に眷属化させられ、こうして私と共に行動させられるなんて辱めに近いものなのかもな。


「可哀想。私の楽しい楽しい旅に付き合えるのにも関わらずそれを楽しめないなんて、、やはり弱者には厳しい世界だ」


「誰が弱者だ!これでも僕はペルヴェリンで序列は二十五位だったんだ。本気を出せば君も殺せるんだ」


「勘違いしないで。確かペルヴェリンがミロス学園を襲った時、序列二位と十六位が動いてたんだよね。十六位は私が拘束したし、二位のやつも校長が言うには私なら難なく制圧出来るって言ってたんだ。それで私を殺すつもりなら身の程を弁えた方が良い」


 私は普段制限している魔力を解放し、ヴィアレンを威嚇した。


「ひ、いや別に、ただの冗談さ。とにかく早く迷宮に行かないのかい?」


「ふん、そうね。早く行こうか」


 私が魔力を解放しただけで怖気付くなんて。呪いの力や聖なる力、空間魔導術、時間魔道術。それに私だけの力を見た時、ヴィアレンが見たらどう思うだろうか。

 そうして気まずそうにしているヴィアレンと共に七層へと足を踏み入れた。


「この階層は今までとは雰囲気が違いすぎるな。一級レベルの魔物が出てもおかしくない」


「ただ雰囲気が殺気染みてるだけじゃないか、ここは七層なんだし、僕たちからしたら相手にならないよ」


 七層は街だった。レンガで造られた家が並んでいて、街の中心と思われる時計塔がある。探索者たちは多くいるがいつでも戦闘状態に入れるように、周りに注意している。


「すみません。どうしてこの階層の探索者たちは皆んな神妙な顔なんですか?」


「知らないのかい嬢ちゃん。この階層には最近ワームが出てくるようになったんだ。どこから出てくるのか、クリアした上位の探索者たちも把握できなかったらしいからいつでも襲われて良いように注意してんだよ」


 探索者のおじさんはそう言うと仲間と共に去って行った。そして私たちも街を探索することにした。


「ワームとは戦ったことがないんだよね。ヴィアレンはどんなやつか知ってる?」


「ペルヴェリンの中にワームを従えるやつがいた。本当に気持ち悪かったよ。あんなのには二度と近づきたくないね」


「じゃあこの階層はもういいや。八層まで進もう」


 他の探索者のように宝探しや魔物討伐をして金儲けしようとする訳じゃない私たちは壁で覆われた街の端へと向かった。


「俺たちはとうとう赤銅級に上がった。だからこのまま十層へ行き、覇王の戦利品を見つけよう」


 おや?あれは昨日、六層にいた探索者パーティじゃないか。あのレベルだとまだまだ六層の魔物に苦労しそうだが、本当に行くつもりなのか?

 そんな他人の心配をするエリセツアを気にせず、ヴィアレンが珍しく私に質問をして来た。


「エリセツア、疑問なんだけど、どうして迷宮の探索者たちは魔物を倒すんだい?別に倒す意味なんてないんじゃないかい?」


 ギルドは魔物の討伐依頼を出して、その討伐した証拠を提示することで報酬が貰える。それは魔物が人間の生活を脅かして、討伐しなければ良くないことが起きるからだ。しかし、迷宮の魔物は倒さなくても外に出ることはないし倒す必要はないと思ったんだな。


「それは迷宮の魔物は生命を持たずに魔石という擬似的な心臓のような物で存在するからだ。魔石はエネルギー源になってシャレット砂国を存続させるのに必要だからね。あとたまに宝を持っていることがあるのも理由の一つらしい」


「なるほど、魔石ね。僕はそろそろ貯金がなくなるんだ。金稼ぎぐらいさせてもらっていいかな?」


 そうして私たちは十層に行く過程で魔物を討伐し、魔石を手に入れることにした。私はレットに困ってないから倒す必要はないが、何となく体が鈍ってしまわないように戦うことにした。


「ヴィアレン!そっちに魔物行ったよ!」


「このぐらいどうってことないさ」


 ヴィアレンは黒魔法で魔物を弱体化させて戦っていた。疑問に思ったのは弱体化の魔法以外は使わず、弱った敵の首を短剣で刺していた。


「どうしてそんな面倒な戦い方をするの?魔法で一気に倒せばいいじゃないか」


「僕の力は出来るだけ見せたくないんだ。君みたいに強力な元素魔法で手の内晒していたら、いずれ狙われた時に面倒だよ」


「私はそんなことしなくても平気だからね。ここら辺の魔物もいなくなってきたし、そろそろ十層に行こうか」

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