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彩旅のエリセツア  作者: 泥竹チャハン
第4章 ポリスイナ水上国編
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68話「熱い準決勝」

「準決勝第一試合は前回大会二位、火剣アイルゴーンと精霊剣士のルーキー、ウミオチだぁ!!」


「まさか本当に君と当たるとはね、ははは!」


「俺はあんたを最初から倒す覚悟はしてたぜ?」


 両者共々圧倒的な雰囲気で観客を魅了した。それを見ていたキアットと私は、隣にいるメルニークたちとも少々ピリついていた。


「メルニークさんだっけか?俺の剣友は強いぜ。俺の思いも背負ってんだしっかり見とくんだぜ」


「あらあら仲が良いんですね。けれど私の従者アイルゴーンは絶対負けませんわ」


「私の見る限り、どちらが勝ってもおかしくない。でもウミオチには頑張って欲しいですね」


「まあ私はアイルゴーンを長く見てきましたが剣に関しては本物ですからね、」


 そして四人はウミオチとアイルゴーンにそれぞれ応援の言葉を送った。その中でもキアットは声が大きく、周りの人たちが驚くほどだった。


「それでは、試合開始!!」


 しかし、両者は今までの本戦の試合とは違い、どちらも様子を伺っていた。互いに息を呑み、観客たちも二人からの緊張感で静まっていた。

 その瞬間、先にアイルゴーンが動き出した。


「速っ、」


 咄嗟にウミオチも剣で防いだが、ペースをアイルゴーンに取られたことを察していた。


「あんた、今まで戦ってきた中で間違いなく最強の剣士だぜ」


「君にそう言ってもらえるとは嬉しいね。ちなみに俺の強みは意外と速さだったりするんだよ」


「確かにあんたは速いな。でもな速さなら俺も自信があるぜ」


 そう言うとウミオチは速度を上げ、一瞬でアイルゴーンに近づき剣を振った。それにアイルゴーンも素早く反応し、剣で応じた。

 それから二人は剣でぶつかり合い、その速さは観客たちの目には追えないほどだった。


「あれが人間の戦いかよ。オーラも精霊の加護もなしに純粋な剣術だけでぶつかり合ってるんだぜ。俺でも追いつくのがやっとだな、」


「キアットも凄いよ。私なんて剣の動きは見えても反応なんて出来ない」


 それを聞いていたメルニークは驚き今以上に目を凝らして戦う二人の様子を見たが、やはり速すぎる剣捌きを理解出来ず、剣のぶつかり合った衝撃の風で目を瞑ってしまった。


「そろそろ本気を出そうか、ウミオチくん」


「いいぜ。花の精霊たちよ!俺の元に!」


 アイルゴーンは剣にオーラを纏わせ、ウミオチの剣も桃色に光り出した。


「ルーブローズ剣術、薔薇の舞」


 まずウミオチは舞うように剣を振り、アイルゴーンはウミオチの行動一つ一つに注意した。そしてウミオチが攻撃を当てようとする度にアイルゴーンはオーラで強化された剣で反撃した。


「俺が受け継いだ火剣術を見せて上げよう」


 アイルゴーンは一旦距離を取り、剣に力を込めた。


「火剣と言うのはね、剣に摩擦の熱とオーラによる熱を加えた結果、オレンジ色に光り出したことからそう呼ばれ始めたんだ」


 すると説明した通り、アイルゴーンの剣は熱を帯び、それがオーラと混じることで鮮やかに輝き始めた。


「これが火剣、常人じゃそもそもその熱に耐えられないだろうな。けれどあんたは熱さえもオーラで操ってやがる」


「ウミオチくん、足が震えているよ。流石に剣士と言ってもまだ子どもだからね、圧倒されたかな」


 ウミオチはアイルゴーンの本気を目の当たりにして、足がすくみそうになったが自分の信じたルーブローズ剣術のことを考えると迷いは消え去った。


「俺は剣聖ユージオの意志を継ぐ者、そして花の精霊の加護を受ける者、本当の名はジェイミーであり、冒険者ウミオチだ!!」


 するとウミオチの剣は更に強く輝きだし、桃色だった剣が黄金色へと変化した。


「なんてやつだ君は、まさか精霊だけでなくオーラまで発現させるだと?実に面白い!!かかってこい」


「今ならルーブローズの最後の技が使いこなせる気がするぜ」


 ウミオチは大きく振りかざし、オーラと精霊たちの力をより集中させた。

 その力は第三地区予選で見せたアイルゴーンの奥儀の威力にも勝るほどで、アイルゴーンは目を見開きその光り輝く斬撃を絶対に止めてやろうと言わんばかりの面構えでオーラを解放した。


「火剣奥儀、大噴火!!」


「ルーブローズ剣術、剣聖絶花!!」


 その二つのとてつもないエネルギーのぶつかり合いは爆発となり、観客の安全を守るために作られた結界を破り、主催側である大陸プロテクトオーダーの魔法使いたちが必死で威力を抑えるほどだった。

 そしてしばらくすると爆発の煙が去っていき、二人の倒れる姿が見えてきた。


「ウミオチ!!立って!!」


「おいウミオチー!!!まだ終わってねぇぞ」


 エリセツアとキアットの応援はウミオチには届いていないのか何も反応がなく、それはアイルゴーンも同じだった。


(やっべ俺としたことが決勝でもないのに、倒れちまったのか。これじゃ師匠に怒られるぜ)


「当たり前だジェイミー、早く起きろ。お前の仲間たちのためにも、私の弟子であるためにも」


 ウミオチの心象風景に現れた優しい笑顔の師匠は手を引っ張り上げて起こし、現実へと送り出した。


(相変わらず雰囲気は優しいのにスパルタだな。でも確かに立たなきゃいけないぜ)


「おっとここでウミオチ選手が動き出した!!これはもしや勝者が決まるか!!」


「起きろ俺!起きろ俺!起きろ起きろ起きろ!!」


 そうして剣を突き立て、足を震わせながらも立ち、左手を空へ掲げ、立ち上がったことを観客たちに証明した。


「しょ、勝者はウミオチだぁぁああ!!!」


「うおおおおおお!!!!」


 観客たちはルーキーの思わぬ快進撃に興奮して、その姿に涙する者もいた。そしてエリセツアとキアットも大喜びで手を上げ、互いにハイタッチをした。

 その後しばらくしてアイルゴーンも目覚め、自分の敗北を知ると、悔しそうに笑いながら空を眺めた。


「アイルゴーンさん。俺結構無理して起きたからさ、もう立てない。おぶってくれよ」


「そう言う所はまだ少年なんだな。いいだろう。君はよく頑張ったからな」


 ウミオチはアイルゴーンと共にゆっくりと会場を後にした。さっきまで激しく争っていたのにも関わらず、今はもうただの友人であることを周りの人たちは察すると、拍手が起こった。

 そしてその一時間後、準決勝の第二試合が始まった。

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