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彩旅のエリセツア  作者: 泥竹チャハン
第4章 ポリスイナ水上国編
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63話「聖剣の伝説」

 予選が終わり、参加者たちは予選通過者が発表される正午までざわついていた。もちろんそれはウミオチも例外ではなく、エリセツアとキアットの三人でベンチに座っていた。


「キアット、確か予選で同率三十二位がいたら決闘だったよな。もしかしたらお前とは本戦に出る前に戦うかもな」


「いや、多分俺たちの順位は一桁でもおかしくないくらい高いから安心していいぞ。上位三人が圧倒的なだけで他は大したことないからな」


「いやいや待って二人とも。私のこと忘れてるよね?」


「一級冒険者のエリセツアだろ?ダリナー以来だよな。それよりウミオチ、これから本戦での作戦や対策を練ろう」


 数ヶ月振りに会った冒険者仲間にこんなにもあしらわれてしまうとは、、そんなに剣術大会が大事なのか?まあ確かに大事ではあるが、、

 それよりまさか二人がこうして仲良くなって話しているのを見ると不思議な気持ちになる。というかもう入らせてもらえない。


「作戦って言ってもまだ結果出てないし、どんな戦い方なのか分からないじゃないか」


「俺はな、今回優勝とは行かずとも責めて二位にはなりたいと思っている。お前にも勝ってな?ルグニカは流石に勝てるわけないからな。だからほぼ確実に予選通過する火剣と夜灰凡の対策を考えたいんだ」


「夜灰凡と言えば去年三位だったやつだろ?聞くところによると危ない奴らしいな」


「夜灰凡は風天畳武道国の天海府の府主だ。奴は幾千もの強者と戦った武侠者だ。その過程で多くの血が流れたのは事実。しかも去年はビビったぜ。まさか若返っていたとはな、」


 若返る?この世にそんな不可思議なことがあるわけないと思ったが、一つだけ心当たりがあった。


「もしかして換骨奪胎?」


「そうだ。夜灰凡はとうとう天玄境に至ったんだ。換骨奪胎した奴は肉体の全盛期を取り戻し、その力で三位となった」


「おい俺はほとんど理解できないんだが。とりあえずそいつの弱点はないのか?例えばおじいちゃんだから耳が聞こえづらいみたいなさ、」


「基本的に本戦に上がるような奴らは弱点を晒したりしない。しかし、夜灰凡は参加者の中で最も経験値が高い。だからこそ、セオリーに囚われがちだから意表をつけばもしかしたらって感じだな」


 そうしてまた二人で話し合っている間に予選の結果が発表されていた。なんとウミオチとキアットは同率六位だった。キアットの予想通り、高い順位だった。

 他の順位はまたしても一位のモナレンギルド長のルグニカ。続いて二位が夜灰凡、そして三位にアイルゴーンがいた。

 その晩、キアットと別れた私たちは酒屋に向かった。ウミオチが聖剣使いロナウゲートに会いに行くと言うことで私も聖剣に興味があるので着いていくことにしたのだ。


「おやおや少年には可愛い彼女がいたのかい?てっきり剣ばっか握ってきた戦闘人間だと思っていたが、どうやら充実した人生を送っているんだね」


「何言ってんだ。エリセツアは一ヶ月前から一緒に旅している冒険者の友人だ。言っておくけどな、エリセツアをからかおうとして怒らせたら凄く怖いんだぜ?」


「ウミオチ余計なこと言わないでよ。初めまして私はエリセツア、一級冒険者だ。聖剣について聞きたいことがあったのでウミオチに着いてきたんだ」


「一級冒険者?僕の目は悪くなってしまったようだ。どうしても君が少年とほぼ同じ年齢の少女にしか見えないんだが、」


 ロナウゲートは酔っていた。酒臭さから察するに昼間から飲んでいたのかもしれない。こう言う人は冒険者に多い。だから高圧的にならないと舐められて厄介なことになるかもと不安になった。


「それよりも俺と飲もうだなんて、どう言う魂胆だよ。何故俺なんだ?」


「ちょっと待っててくれ」


 ロナウゲートは荷物の中の布に包まれていた聖剣を取り出し、それを握った。すると彼は光に包まれた。どうやら聖剣の治療効果で酔いを覚ましたらしい。


「ふう、すまないすまない。酔っていては話せないからね。それで少年を呼んだ理由と言うのはね、この聖剣を君に渡したいからなんだ」


「「えぇ!?」」


 私とウミオチは酒屋中に響き渡る声で叫んでしまい、周りに注目されてしまった。


「おいおっさんどう言うことだよ。確かに俺はあんたに勝ったが、聖剣を渡すのは違うだろ」


「そもそも聖剣は聖剣にふさわしい人間だけが持てる物だ。あなたはそのふさわしい人間じゃなかったの?」


「では君たちは聖剣にまつわる伝説を知っているかな?これは僕の故郷、ラゴスハインの小さな村で遠い昔からあった御伽話なんだ。聞いてくれ」


 ロナウゲートの故郷の村はかつて魔王に支配されていた地域とそれに敵対する人間勢力の地域の間にあったらしい。その魔王は今のラゴスハインの最北に城を築き、その周辺地域を占領していた。しかし、その魔王に敵対する勇者が現れた。

 そしてその村では大きな戦いが起こった。その村は滅び二つの勢力の争いも一時中断された。それでも魔王の軍勢を撤退させた勇者たちは村人たちから讃えられ、その日からしばらく勇者は村の復興と魔王討伐のためにそこに居座った。そして勇者たちは魔王城へ辿り着き、勇者パーティは直接魔王と対峙した。

 結果は戦士は勇者を庇って殺され、魔法使いは魔力と生命力を全て使った巨大な魔法を使って灰になり、聖女は聖なる力を解放し自爆した。残った勇者が一撃を入れたことでやっと魔王は倒れた。

 それから勇者は数日間一人で歩き続け、復興した村に辿り着いた。そして真夜中の夜、皆が眠る中、勇者は過ごした村の家の前で剣を突き立て、力尽きて死んだ。発見されたのは次の日の朝で、村の民たちは平和が訪れたことへの喜びよりも勇者パーティが全滅したことの悲しみに溢れ追悼式が行われた。


「うわ、とても胸糞悪い御伽話、、でもそれが聖剣と何の関係が?」


「実はね、この御伽話は僕の村の話とは全く違うんだ」


「はぁ!?どう言うことだよおっさん。俺はもう目が潤んでたんだぜ」


「本来の御伽話は勇者パーティは全員帰ってきて、村の人たちと祭りを開いて終わるんだ。でもさっきの話は事実なんだ。それをこの聖剣が教えてくれた」


「つまり、聖剣は過去の記憶を保存し認めた者に伝える能力を持っているのか」


 それからロナウゲートは聖剣の秘密を話し、ウミオチに預けると言う形で渡した。

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