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彩旅のエリセツア  作者: 泥竹チャハン
第4章 ポリスイナ水上国編
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61話「ウミオチの協力者」

 キアットが多くの剣士を相手している少し前、ウミオチは街中を走っていた。


「ここら辺は誰もいないな。さっきの戦いでの消耗を回復させるか」


 そう言ってウミオチは樽に腰掛けた。その様子を観察していた者がいるとは知らずに、、

 その頃、エリセツアたちの元には試合から早々離脱したアイルゴーンが同じく試合の観戦に来ていた。


「メルニーク戻ったぞ。あれ?そちらの魔法使いさんはイースの友だちかな?」


「こちらはエリセツアさん。さっき仲良くなったの。今は賭けをしているのよ」


「どうもこんにちは。さっきのは凄かったです。私の賭けはもう勝ち目はないでしょう」


 ウミオチが四十四人以上を倒すなんてあり得ないだろうし、そもそも本戦に上がれるかも分からない。ウミオチは何か力を隠している様な気がずっとしていたからそれを信じたのだが、流石に、、

 その賭けについてメルニークさんはアイルゴーンさんにも話してあげた。すると、


「何ていう名前のやつなんだ?俺が知ってる剣士か!?」


「実は私も本名は知らないんです。ウミオチという名を使ってて顔を見れば分かるのですが、、あ!でもあなたと同じ第三地区予選に参加しているはずですよ。使う武器はロングソードでいつも地味な服を着ています」


「そうか!出来たら一回剣を交えて見たいな」


「あいつは私よりも若いですが、この大会でも戦っていける立派な剣士です。あなたと戦えるのは本望でしょう」


 そうして私たちは呑気に話し続けた。そして試合は一時間が経過し、第三地区予選は静かになっていた。


「はぁ、はぁ、今回の大会はどうなってんだ?個人を大人数で狙うやつが多すぎるだろ。第三者がいる可能性があるな」


 キアットはそう言いながら、疲れた身体を休めるために座り込んだ。しかし、偶然にもそこにはウミオチが現れた。


「あんたは魔剣士キアットか!俺はウミオチ。あんたに真剣勝負を挑みたいところだが、どうやらそれどころじゃなさそうだな。まだ一時間しか経ってねぇのに何があったんだ?」


「少年、、数十人に狙われたんだ。ほとんど倒せたが何人かは逃してしまった。この大会は裏があるぞ。余りにも統率が取れていた」


「でも俺だってあんたを倒そうとする人間だぜ。俺に話すなんてどういう事だ?」


「ウミオチ君。俺と協力しないか?見た感じ君は初参加で本戦に出たいんだろ?俺は既に二十人は倒している。君を手伝うからしばらく守ってくれ」


 ウミオチは悩んだ。魔剣士キアットについて知っている情報はエリセツアと同じ一級冒険者で、大陸で一番名高い魔法学園を主席で卒業したエリート。頭は間違いなく良いだろうし、前回大会八位と言う優秀な成績を収めた、協力してくれるならこれとない程の人間だ。


「確かに俺は初参加で本戦に出たい。でもあんたをここであっさり倒した方が成績を奪えて、あんたを倒したって言う名誉も貰える」


 ウミオチはニヤリと笑い、キアットを見た。


「ちっ、君もあいつらと同じなのか、」


「はは、冗談だよ!キアットさん。師匠の教えでな、剣は褒められるためのものではなく生き抜くためのものだと言われたんだ。あんたの目はまだ戦おうとしてた。それほどの覚悟は同じ剣士として協力したくなるぜ!」


「このクソガキが、、大人をからかいやがって、」


 しかしキアットは下を向きながら笑みを浮かべた。何故なら剣士のあるべき姿をこの少年に思い出させられたからだ。

 今回も大会に出るのは前回の様な、名前を売って一級冒険者の自分に直接依頼を出してもらう様な利己的なものではなく、冒険者仲間への自慢のためだった。


「今のところ目立った動きを見せたのは火剣とあんただけだ。と言うよりまだ大勢いるのにも関わらず静かすぎるな」


「それは俺が狙われた理由と関係がありそうだな。裏で誰かが仕切ってるのかもしれない」


「面倒くせぇな。あ、というかあんたの事何て呼べばいいんだ?キアットでいいか?」


「あぁそれで良い」


 二人が一致団結するとたまたま映像は二人に映ってエリセツアたちは確認することができた。


「あ!あいつです!でも何でキアットと一緒にいるんだろう。世間は狭いな、」


「メルニーク。あいつって昨日輩に絡まれてたやつだよな?」


「ええそうです。まさかエリセツアさんの友人があの少年だったとは、本当に世間は狭いですね」


 まさかキアットもこの大会に参加していたのか、まあ魔剣士も参加できるとウミオチに聞いた時からもしかしたらと思っていたが、第三地区予選にいてしかもウミオチと仲良くなってるじゃないか。こんな偶然ありえるんだな。


「うーん。おかしいな、あいつがまだ出てきてない、」


「アイルどうしちゃったの?もしかして聖剣使いのこと?」


「聖剣使い?」


「私が説明しましょう。他国の実力者についてはこの中で一番知っていますから」

 

 イースドランは説明を始めた。まず聖剣使いと言うのは前回大会五位の成績を納めたロナウゲートという剣士のことであり、彼は四年前から参加しているらしい。一回目と二回目は大した成績を収めなかったが、去年聖剣を持って大会に現れ一気に注目が集まった。


「どこからあんな剣を手に入れたんだか、でもおかしいのはその剣だ。あんな物を持ってたら目立つはずなのにまだそれらしい人物を見つけられていない。第三地区にはいるはずだから変装してんのかもな」


「変装?聖剣があるのに何でそんなことをするのでしょうか。イースなら予想出来る?」


「あくまで憶測に過ぎませんが、前回大会で勝てなかった人たちを倒すための秘技を隠しているのだと思います。あの時、ルグニカに対して最高火力の技を放ったのにも関わらず防がれてしまい、そのまま負けてしまったのが響いているのでしょう」


 ギルド長ルグニカか、話は聞くが結局会ったことがない。少なくとも眷属を持つルグニカは剣術大会で本気を出すことはない。それに剣術を使うなんてロジは言っていなかった。彼に取って剣は数ある武器の一つに過ぎないのかもしれない、、恐ろしい。

 しかし父さんと同じ特別冒険者なのだから同等なのだろう。私も父さんに並ぶから負けてない。


(はぁ。強者がいれば居るほど大陸の広さを感じる。でも友人と友人がいつの間にか仲良くなっていたりもして世間の狭さも感じる。果たしてどちらが正しいのか、)

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