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彩旅のエリセツア  作者: 泥竹チャハン
第4章 ポリスイナ水上国編
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60話「第三地区予選」

「急ね、、まあいいわ面白そうだし!賭けの内容は予想つくわ。私の連れと貴方の友人、どちらがより良い成績を収めるかと言うことでしょう?」


「話が早くて助かります。それで賭ける物は私はレットを望みます!!最近冒険者の依頼を受けていないので貯金が減ってきていますから。メルニークさんは何が欲しいです?何でも言ってください」


 実際レットはまだまだあるし、困ってはいないがこう言う大会では賭けをした方が盛り上がると思ったから提案した。それにお金はあればあるほど良いからね。


「私はお金には困ってないから、、あ!貴方は魔法使いだから珍しい魔道具を持っているんじゃないかしら?何でも良いからそれを望むわ」


「じゃあ、私が作った魔道具はどうでしょう?その名も『踊るオルゴール』!!その名の通り、オルゴールが魔力をエネルギーとして音を奏でながら人形が踊るのです。貴族ならこう言うの好きですよね!?」


「貴方が作ったと言うことは一点物の様ね。面白そうだわ!よし、賭けの内容はそれでいいわ」


 押し売りのようになってしまったが、メルニークさんは喜んでいたし良いだろう。それに私がどこかで売れると思って作った試作品のような物だから実際に価値があるかは誰にも分からないものだし、作った意味がなくなるよりはこの人に上げてしまった方が良いに決まっている。


「さぁてさぁて!!選手たちは準備が整いました!!では試合を始めますよ〜!!!」


 その瞬間、アナウンスのお兄さんはホイッスルを思いっきり吹き、この都市全体の人々に向けて大会が始まったことを知らしめた。

 そしてウミオチも他の選手の同じ様に、第三地区上空の六個の気球の内の一つから飛び降りた。


「さて、本戦に上がるためには二十人以上倒せば良いんだったよな。この地区に参加しているやつで有力なやつは前回五位の聖剣使いロナウゲートと前回八位、魔剣士キアット、それに昨日の火剣アイルゴーンか。出来れば会わずに突破したいとこだな」


 ウミオチにはとっておきの秘策があった。しかし、それをここで使ってしまっては本戦では対策されかねない。そのためにも予選はこっそり突破したいのだ。

 しかし、今回の参加者約二千二百人の中のたった三十二人にこっそり入るなんて基本的には無理なはずだ。だからウミオチは考えた。


「まずは様子見だな」


 その頃、エリセツアたちはまだウミオチが映っている画面を見つけられておらず先に見つけたアイルゴーンを観戦していた。


「なるほど、どいつもこいつも粒揃いだな。俺は余りにも目立ってしまうから常に狙われる可能性が高いな。早めに四十人ほど倒して予選から抜け出すか」


 予選では最終的な成績の良さで本戦に行けるかどうか決まる。つまり、倒した相手の成績も含む、最低ラインが二十人分倒さなければならないと言うだけでいつもの大会ではそれ以上の数を倒さなければ他の選手たちを越すことはできない。

 逆に言えば圧倒的な人数を倒し、他の選手が勝てないような成績を収めれば明日の朝を待たずとも終了できる。


「この気球には大体四十人いたよな。防がれたら面倒だが早速やるか」


「メルニークさん!アイルさんが何かしようとしてますけどあれってオーラですよね!」


「えぇそうよ。あれこそアイルの奥義である剣をオーラで纏い、そのオーラは熱を持つ。あれが火剣と呼ばれる私の自慢の従者よ!!」


 するとアイルゴーンは気球から飛び降りる過程でオーラを発動させ、奥義を繰り出そうとした。すかさず周りの参加者たちはそれを防いだり逃げようとしたり反撃しようともした。

 しかし、次の瞬間、その全てが無意味となった。


「火ってのは熱くなりすぎると蒼く光るんだぜ。火剣奥義『大噴火』!!!」


「嘘だろ、もう終わりかよ」


「これがあの、、全くツイてねぇぜ、」


 試合が始まってたった数秒でアイルゴーンは四十三人を戦闘不能にさせ、開始早々、試合から離脱した。この記録は前代未聞で伝説となることは誰もが分かることだった。


「あれって許されるんですか?もはや剣術の域を出ている気がするのですが、」


「うーん、私はあまり剣のことは詳しくないの。でも実際本戦はあんな技がたくさん見られるはずだし大丈夫だと思うわ」


「でも所詮は剣技。あれくらいのことなら私の魔法でも可能ですよメルニーク様」


「うんうん分かってる分かってる」


 どうやらイースさんは嫉妬している様だ。真面目そうな雰囲気と違い、まるで子どものような言い方なせいで思わず笑ってしまった。メルニークさんは慣れているらしく呆れてる様子だった。

 その頃、ウミオチは一人で建物の影に潜んでいた。


「さっきの爆発は事故じゃねぇな。流石あの火剣ってとこか。そのおかげで注目があっちに行って俺は計画を練れそうだ」


 ウミオチは今のところ、まだ誰とも遭遇していない。近くには三人の参加者が乱戦していたが、手出しをするかは悩んでいた。


「やっぱ我慢出来ねぇ。あのレベルなら全員相手しても倒せるだろう!」


「ちっ、!また新手か、」


「『ルーブローズ剣術、薔薇の舞』」


 ウミオチのその剣術は踊っているような動きで、けれども三人の相手を次々と鮮やかに切っていった。その動きの美しさは最初から計算されていたようにも思えてほんの一瞬で決着はついた。


「まずは三人か。このペースじゃ本戦には上がれないかもしれない。やはり作戦を行うためにあいつらを誘き出すか」


 しかし、エリセツアたちは未だにウミオチを見つけられておらず、色々な参加者を眺めていた。


「あれはキアット先輩じゃないか。もしやと思ったが剣士なだけあって参加してたんだな」


「前回、一桁順位まで上がられた方でした。確か冒険者が本業だったので、貴方と一緒ですね!親しいのですか?」


「まあダリナーを訪れたときに色々あって。お世話にはなったし、冒険者について教えてくれた良い人なんです」


 応援したい人物がもう一人増えてしまった、、それよりキアットって前回も凄かったのか。あの人の戦い方はまだ見たことがなかったから気になるな。

 

「うわぁ、アイルゴーンやばいな。俺も頑張らなきゃな。それで、お前らは俺と戦いたいのか?」


「あぁそうだ。二十人いる。お前が強くても数で勝てるのかな?」


「そんなことしてもお前らに得なんてないだろうに。まあ有名剣士を倒したっていう酒の肴にでもしたいんだろうな、、有名人って面倒だ、」

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