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彩旅のエリセツア  作者: 泥竹チャハン
第4章 ポリスイナ水上国編
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59話「試合開始の準備」

 ウミオチが受付に行っている頃、エリセツアは宿を取った後、ナイガトピンを散歩していた。ここは剣術都市なので明らかに魔法使いの見た目をしているエリセツアは浮いてしまっていた。


「こんなに多くの人が集まっているだなんて。流石大陸規模の大会だな。この大会の主催は科学院と聞いたけど凄すぎるな」


 街には多くの剣士やどこかの国の有名な人たちが蔓延っていた。おそらく大会の影響だろうな。毎年、この時期に行われているらしく、大陸の中で一番規模の広い剣術大会というのは伊達ではないようだ。

 それに忘れていたが幼馴染の内の一人、シェリアは剣の使い手だし、もしかしたらいるかもしれない。あと特別冒険者でモナレンギルドのギルド長ルグニカ。前回大会の優勝者らしいし会えるかもな。


「というかウミオチぐらい強いやつが結構いるな。しかもこの中にオーラ使いがいたらウミオチは絶対勝てない」


 武器を使う者には稀にオーラという圧倒的な力を持っていることがある。オーラは魔法とは相対する力であり、使う人間の身体を強化し、武器にまるで魔法のような力を宿すことができる。

 魔法使いと違って、オーラ使いの存在は魔力のように視認できず、対決して初めて知ることができるから、厄介だ。


「もしかしたらウミオチもオーラ使いの可能性だってあるのか、、それなら私としては安心できるんだけどな」


「俺がどうしたか?」


「やっと来たか、暇すぎて考え事をしてただけさ。何やってたんだ?」


「おっさんに絡まれて面倒事に巻き込まれそうになってたんだ。まあそいつは出場停止っぽいしもう心配する必要ねえけけどな」


 そうして、私たちは疲れた身体を宿で休め、あっという間に大会の日がやって来た。


「じゃあ私はコロシアムで待ってるね!ウミオチの試合は自分で探しておくから」


「エリセツア、集団制の意味分かってないだろ」


「だから参加者が皆んな集まって本戦に出れる人数まで戦うんでしょ?あれ、てことはもっと広い会場じゃないといけないな、」


「そうだ。だから会場はこの都市全体だ!」


 余りにも大会に関して関心が薄かった私はしっかりウミオチにルールを教えてもらった。

 まず予選は今日の昼から明日の朝までであり、会場は屋内を除くこの都市全体で、建物全ては昔からある結界によって守られるから壊れる心配はない。そして本戦はトーナメント制、一対一の真剣勝負であり、出場出来るのはたった三十二人である。安全性に関しては戦闘不能と判断された場合、予選は強制的にコロシアムまでテレポートされ、治療が施される。本戦は特殊な指輪により致命傷を受けそうになった途端、装備者に結界が張られる。


「結界で守られてたり、テレポートされたり、まるで魔法じゃないか」


「いや魔法だからな」


「待てエリセツア驚くな、説明する。このナイガトピンって都市は昔から街全体を保護する結界が魔力によって貼られてたんだ。俺が思うにイージェス王が魔法陣を張る前からこの結界はあったんだ。それのおかげでこの場所では魔法が使えるから魔剣士も参加出来る。だから昔から剣術大会の場所として都合が良かったんだ」


「え!魔法使えたの!?」


 私は試しに炎魔法を使ってみた。すると炎はしっかり私の手のひらの上に現れ、自由に操作が出来た。


「魔法使いなら魔力があるかどうか分かるんじゃないのか?」


「いや普通そうなんだが、先入観と言いますか、、使えないと思って生活してるとそう言う感性が弱って行くんだと思う」


「やっべ。もうすぐ試合の出席確認の時間だ。一時間後ぐらいに始まるからコロシアムで待ってろよ」


「ああ!応援しているぞ!!」


 それから私はコロシアムに向かった。街中での試合は多くの人間が多くの戦いをするため、クローリー科学院が開発した映像中継機がコロシアムに設置される。それによって私たちは観戦することが出来るのだ。


「でも一人だけで見て、一人で騒ぐのって少し恥ずかしいかも、」


 私は周りの目を気にして、静かに観戦することにした。事前に食べ物と飲み物は準備したから、あとはもう見るだけだ。


「お嬢さん失礼、隣を私たちが座ってもよろしいか?」


「どうぞどうぞ。おや、あなたも魔法使いなんですか?」


「はい、私はイースドランと申します。この国では魔法使いが極端に少ないですからね。私も肩身狭い思いをしていたので助かります」


「イースドラン、魔法使いに会えたのがうれしいのは分かるけど従者として私を紹介しなきゃいけないんじゃないの?まぁいいわ、私はメルニーク。前回惜しくも優勝を逃した従者であり友人のアイルゴーンの試合を見に来たの。ところであなたの名前は?」


 目の前に現れたのは、昨日、ウミオチを助けた人たちだった。それを知らない私は特に気にすることもなく話し始めた。


「私は冒険者のエリセツアです。私は友人が試合に出るんですよ」


「ではお互いの友人の武運を祈りましょう!」


「大陸一の剣士を決める時間となった!!今回も様々な国からの勇士が参加しているぞ!特に注目は前回優勝のモナレン王国ギルド長ルグニカ選手に、前回準優勝、火剣の称号を受け継いだアーチウム王国フレイムバード伯爵家の長男アイルゴーン・フォル・フレイムバード選手だ!!」


「え!アイルゴーンさんって肩書き凄いじゃないですか。その人が従者と言うことはメルニークさん、いやメルニーク様?とにかく何者ですか」


 まさかの貴族は貴族でも王族の可能性もある。スピリアの時とは訳が違う。モナレン王国は統治国家の中でも貴族制度はない、平民と王族、それから騎士などの身分がある互いの距離感が近い珍しい国家だった。

 しかし、相手はアーチウム王国だ。アーチウムは大陸の北の国々の一つであり、北の国々は文化の影響で貴族制度が根強い力を持っている場所がほとんどで身分に厳しい。大陸の制度として国家のルールを他国に持ち込まないものがあるとは言え、力を持っている限り対等にはなりづらい。


「緊張しなくていいわよ。確かに私はアーチウムで公爵家の令嬢と言う身分を持っているわ。でもそれは貴方も同じ。冒険者も立派な身分じゃない?国の外では身分に優劣なんて必要ないもの!」


「それは確かにそうですね!じゃあ対等にさせてもらいます。あ、そうだ!大会をより楽しむために賭けをしませんか?」

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