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彩旅のエリセツア  作者: 泥竹チャハン
第6章 魔女の国ゼイノカウン編
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102話「優しい日」

「なあスピリア。もう二時間以上話したよ?私疲れたんだけど、」


「今からが本番でしょう!だってホワイセン大陸って聞いた事ないですし、九つの力もよく分かってません。エリセツアの冒険はこっから始まったのでしょう!?」


「私は秘密の多い女の子なんだよ。それに、あの旅立ちからの冒険は笑える事もあったけれど辛くてきつい事の方が多かったからね。話はまたの機会にしよう。これは今の旅の前日譚に過ぎないんだから」


「つまり今を大事にしろって事ですね。俺は分かりますよ。それに病み上がり?と言っていいのか分からないけどエリセツアさんに負担をかけすぎるのも良くないですよスピリアさん」


「むむ、、まあ楽しみはとっておいた方がいいですからね。それじゃあ午後は私たちでこの魔女の国を案内しましょう!」


 ケイディとスピリアは勝手にそう決めると、エリセツアは負担をかける事が良くないと言う話はどこに行ってしまったのか疑問に思ったが、野暮な事だと思って流すことにした。

 ちなみにヴィアレンは途中から約束を思い出し、家を飛び出して行った。


「見てくださいエリセツア。私たちが住んでるこの街は旧都ディーズガーズなのです!新都に比べると少々趣深すぎますが、これも味ってやつです」


「本当に魔女の国なんだな。箒で飛ぶ魔女がたくさんいて、魔女らしい家がたくさんあって。にしてもどうして新都と旧都で別れてるの?」


「それはですね。建国当初、このディーズガーズが造られた時に大魔女さんが街並みを気に食わなかったらしく、それで命令して急遽新都も造らせたらしいです」


「だから旧都も別に廃れてはいないんだな。でも新都は見た事ないけど綺麗な場所なの?」


 するとスピリアは私を新都アグレイブまで箒に乗せて連れて行ってくれた。ケイディも付いてこようと頑張っていたが流石に半年以上、箒に乗り続けたスピリアには追いつけなかった。


「にしても箒酔いはなくなったの?」


「はい。学園では選択授業で箒に乗り方を学ぶ時間があったので、そこで一生懸命練習したんですよ。まあ箒以外のものの耐性はないんですけどね、」


「でもすごいね。これなら速さでは私と同じぐらいなんじゃないか?」


「そうですね!」


 そうして数分進むと新都アグレイブが見えてきた。


「おおあれが新都アグレイブか。綺麗な街だな。道がしっかり整備されていて私が住みたいと思う様な家がたくさんある」


「それで新都の端っこにある大きな城が大魔女のジャンヌさんが住む城です!新都は大して広くはないですがその分、城に力を入れまくってます」


「なるほど、ジャンヌねぇ、私が好みそうな設計をしている。やはり魔女の国は私と相性がいいなあ」


 私はそう言って新都の街並みを眺めて行き、気付けば森林地帯に入ろうとしていた。


「この先は行かない方がいいです。魔物はいないのですが、クセの強い魔女たちが住む場所ですから、」


「でもこの国の大半は森林地帯なんでしょ?面白い発見はたくさんありそうだと思うけど」


「じゃあ降りてみますか?ケイディさんもそろそろ限界そうですし」


 そうして私たちは森林地帯へ着地し、辺りを散歩する事にした。


「いやちょっと待ってくださいよ、もう動けないですって。ちょっと、休憩しません?」


「ならおやつの時間にしよう。なんかスピリアがチョコチップクッキーを持ってたから気になってたんだよね」


「バレてたんですか、まあいいでしょう。そうです!私がチョコチップクッキーを作りました!!これも学園の選択授業で習った事なんですよ。ケイディさんたちも満足してくれるほどのものなんですよ」


 そうして私たちは敷物をしき、チョコチップクッキーを頬張った。風味は香ばしく、味は甘過ぎず上品な味だった。そしてスピリアが用意したお茶と共に味わい、私は眠くなってしまった。


「ふぁあ〜。そう言えばスピリアって好きな人できたの?」


「な、なんですか急に!?柄にもない事を、、いませんよまだ。私は一応王族なんですからね、そう簡単に人を好きにならない様に教育されてるんですよ」


「お、おお、王族!?それ初めて聞きましたけどどう言う事です!?」


「ケイディさんとヴィアレンさんには言ってませんでしたね。私はモナレン王国の第二王女、ヴァリエ・モナレンなんです。学園では身分の開示は校則違反なので癖になってました、あはは」


 ケイディは驚き過ぎて、空いた口が塞がらなかった。そしてより一層口調には気をつける様にしようとケイディは決断した。


「で、学園ではまだヴァリスって事になってるの?」


「いえ、エリセツアが学園を去った後、しばらくして事件についてしっかり解決したので私は一級冒険者だったことを明かしたんですよ。なのでスピリアと呼ばれてます」


「そっか、確か特別科がどうとかで身分を作らなきゃいけなかったんですよね。てことは三つの身分が存在してた訳ですか、大変でしたね」


 そうして私たちはたくさん話した後、日が落ちる前に帰ることになり、森林探索は先延ばしとなった。

 三人が家に帰ると、なんとヴィアレンがエプロンを着ていた。


「もう飯は僕が作ったんだ。どっかの魔女からの命令でね。本当にめんどくさかったよ。料理の味は期待しない方が良いよ」


「ヴィアレンさんが夕ご飯を!?凄いです!楽しみです!」


 スピリアが期待の眼差しを向けるとヴィアレンは照れていた。どうやら結構頑張って作ったらしい。私たちはワクワクしながら食卓に着いた。

 ヴィアレンは三品も作り上げていた。それらは今まで多くの旅をしてきて、目が肥えてしまった私でも思わずよだれが垂れそうになるほど美味しそうだった。


「まずは、前菜のミートローフだ。僕はもう食べたから三人で食べたらどうだい?」


「ヴィアレンも座れよ。味に自信がなくても気にするな。俺は絶対褒めるからな」


「そうだよ。照れずに座りなよ」


 そうして渋々ヴィアレンは席に座り、肘をついた。さっさと食えと言わんばかりの表情でこっちを見ているので、私たちは一口目を食べた。


「あ、美味しい。てっきりヴィアレンの性格みたいに刺激的な味かと思ってたのに、母さんが作った料理みたいだ」


「ヴィアレンさんが、まさかここまで料理が出来るとは思いませんでしたよ、すごいですね」


「美味い。おかわりはある?」


 ケイディとスピリアは料理のクオリティに驚愕し、ヴィアレンが反応に困っていた。私はお腹が空いていたので異常な速さで食していた。

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