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龍の腕は世界を抱く  作者: 萌葱クレイオ
第八章 始まりと終わり
251/258

250話 龍人

読んでいただきありがとうございます。

 


「見てたか、レイ! ぶっ飛ばしてやったぜ!!」

「レイの牽制が無ければ、押し負けていたかもしれない。流石の腕前だった」


 ガリウスを抑え込む役割を果たした二人がレイの元に駆け寄ってくる。

 レイに労いの言葉がかかるも、それ以上に「未来の選択」と言う常に自分に不利な状況を強いられる環境で立ち回り続けた二人の強さに、レイは感服する他無かった。二人が足止めしてくれていたからこそ落ち着いて弓矢で狙いを定めることが出来た、と言うシオとシスティナの二人を称える正直な感想に加え、最後のは自分だけの力ではなくストラウスのお陰である事も伝え、レイ達全員でストラウスに感謝の言葉を告げるのであった。



「い、いいいい、いや、オイラは結局最後の最後まで何も出来なかったと言うか、最後だけしか動けなかったと言うか……。あれだけ大見得きったオイラだったけど、オイラはずっとガリウスが怖かったんだ。オイラとは違う、特別な存在だと誰からも求められるあいつが、本気でオイラを殺そうと殺意を向けて来た事に、オイラは動けなくなるくらい恐怖を感じて……本当に、怖くて怖くて堪らなかったんだ。でも、オイラが勇気を出して動くことが出来たのは全部、レイ君が本気で生きている姿を、見せてくれたからなんだ。失礼な話だけど、オイラはレイ君の半生を知っている身でね、それがあの因縁浅からぬガリウスやシュウ君を前に憎しみに駆られる訳でも無く、オイラみたいに恐怖に囚われる訳でも無く、勇猛果敢にも立ち向かっているのを見て、レイ君はなんて強いんだと思ってだね――」



「――話が長ぇっての」



「あっ、あぁ、ごめんよ。すこし興奮してしまってね。オイラの悪い所が出てしまったけれども、つまるところ何が言いたいかと言うと――」






「――っ! おい、あの男、まだ動いているぞ!?」






 ストラウスが最後まで何かを言いたげにしていたのも束の間、システィナが声音を変えて地面に転がっていたはずのガリウスを指差す。

 システィナの声に、自分の話どころではなくなったストラウスも加えて全員が視線を向けた先では、ガリウスが冷たい石の床を這って立ち上がる姿が目に映る。


「最後のあの一瞬で、防御に注力したのか……!」

「竜気を一点に集めて、気を失うのを防いだって言う事? でも、それじゃあ今のアイツは……!」

「竜気を全て吐き出した後の、絞りカスみてぇなもんだ。つまり、叩くなら、今って事だ――!」


 胸に矢を受けていたとしても、常人ならば頭蓋が砕けていてもおかしくない攻撃を二発もろに喰らっていたとしても、それでも尚も立ち上がることが出来るのはシオが見抜いた通り、シオとシスティナの二人ならば顔面を狙ってくると読んでの博打に近い防御を成功せしめたが故。

 あの一瞬、ガリウスの未来視はストラウスの過去視による干渉の末、一時的に効果を掻き消されていたためガリウスの目に未来は無く「敗北」と言う二文字の現実がその身に襲い掛かっていた。例えこの瞬間を博打の防御で乗り越えたとしても、二人の超威力の攻撃を完全に防ぐ為には竜気を全て費やす他無く、その状態で起き上がったとしてもレイ達に立ち向かえる手段はもう何も無かった。故に、ガリウスの目に映るのは未来視が無くとも分かる自身の敗北する未来のみ。


 だが、それでもガリウスは死を恐れ、生にしがみつく。

 ここに至るまでに、生にしがみつく幾人もの人間をあらゆる手段で叩き落してきたガリウスが、ここに至って初めてその立場に追いやられると言う事実はガリウスにとって屈辱であった。

 だが、幾らその身が屈辱に塗れようとも、無茶な竜気覚醒によってボロボロになった体と、再生のための竜気も吐き尽くした状態では、這い上がる事すら出来そうも無い。


 ――半生、否、人生そのものを幻想の森の発展、守護に費やしてきた人生の終着点がこのような無様で恨みがましい最期など、絶対に認めない。


 その一心でガリウスは喜び合うレイ達に気付かれぬよう這って移動し、息をするのも苦しい状態で右手から離れなくなった剣を杖代わりにして立ち上がり、暗い天井を仰いだ。




「――起きろ、()()()()()よ……!」




 広大な地下空間に、息も絶え絶えな状態のガリウスの声が轟くや否や、ガリウスの目の前に巨大な(ゼア)の姿が浮かび上がる。

 そもそもが()を所持していなければエネルゼアを呼び出すことは叶わない為、ガリウスにのみ許された謁見の権利を用いて「真祖エネルゼア」が呼び起される。


 ガリウスの背後では、レイ達が「真祖エネルゼア」の出現に驚き慄くが、ガリウスはそれに一切反応を示すことなく最後の希望に縋るかの如く両手を掲げる。



『何用か』



 エネルゼアは死に瀕したガリウスを気遣う素振りも無く、淡々と同じ言葉を繰り返す。

 最早竜気の損耗が著しいが為に、まともな意思疎通が図る事は出来ない。この状態こそがエネルゼアの寿命がもう間もなくである事を示していた。


「俺、がぁ……ッ、貴様の、後継と、なる……!!」


『我の役目を担う者の――』


「――同意、する……ッ!!」


『承認。以後、真祖エネルゼアは後継に宿る――』


 たった二言。

 それだけで地下空間に満ちた竜気は荒ぶり、大気が悲鳴を上げるかの如く震え出す。


 目を閉じ、微動だにしなかったエネルゼアだったが、ガリウスの気の逸る回答を受けて初めて動き出す。エネルゼアが動く瞬間と言うのは、長年この場所に通い続けてきたガリウスでさえも初めて見る光景であった。


 エネルゼアの一挙手一投足。


 それらはガリウスを止めに動こうとしたレイ達さえも縛る威圧感を放っており、レイ達は一歩たりとも動く事を許されないでいた。唯一動くことが出来るシオも、ガリウスが何を仕出かすかも分からない中、動きを封じられたレイ達の元から離れる訳にもいかず、結果ただ見守ることしか許されないのであった。


 そんな中で、ガリウスの元にエネルゼアの鼻先が近付いた次の瞬間、息を飲み見守っていた誰もが地獄の扉を幻視するかのような感覚を植え付けられ、一瞬呼吸を忘れてしまう。



「食われ、た……? ッ、眩し――!?」



 呼吸を思い出した時には時すでに遅く、エネルゼアの顎はガリウスの上体を食い千切り、ドロリとした血の海を足元に広げる。

 しかし、それと同時に眩い光がガリウスの亡骸を包み、レイ達の視界が白に染め上げられる。


 思わず瞼を閉ざさざるを得ないレイ達は視界を奪われてしまうのだが、レイの肌は粟立つような竜気を感じ続けており、これまで何度も修羅場をくぐってきたレイの本能が頭の中で警戒しろとうるさいくらいに叫んでいた。



「――ッ、ヒバリ!!」

「きゃっ、マスター……、こんな場所では――ッ、マスター!?」



 網膜が焼かれて未だに視界が白に染まる世界の中、レイはうるさい程叫び続ける本能に従って、隣から気配が動いていないヒバリを押し倒すかのような勢いで覆い被さった。

 余りにも突飛な行動にヒバリは自分に良いように解釈したものの、ヒバリの頬に垂れ落ちた命の水に声音を豹変させる。


 ヒバリのその声に残っていたシオもシスティナもストラウスまでもが反応し、ようやく目に光が戻ってきた視界でレイに何が起こったのかを確認する。


「ぅ、くッ……! 良かった、ヒバリが無事で」

「レイ、何があった!? 大丈夫か!?」

「背後から、一閃……!? 傷が浅いとは言え、一体、どこから……」

「ヒェッ……!? あ、アレは――」


 背後を斜めに切りつけられた傷口は浅いとは言えかなりの重症。もしあと一歩でも出遅れていれば、まず間違いなくレイの身体は両断されていただろうし、ヒバリも巻き込まれていたかもしれない。

 そんなギリギリの判断だった、と理解すると心の臓が打つ激しい動悸から荒くなった呼吸を落ち着かせるべく深呼吸を繰り返す。






「――クククッ……! クハハハハハハハッ!!! 見ろ、見るがいい、この体を。生まれ変わったような、清々しい気分だ……。俺こそが幻想種を、竜気をも超越した――龍人(ゼア・イーリス)である」






 ストラウスの指差す先、高笑う声に反応して頭を上げてみれば、そこには上半身が磨り潰されたはずのガリウスが全盛の姿を取り戻して佇んでいた。


 先程までの古木のような姿が嘘であるかのように、隆起した筋骨が逞しく、二回りほど若返ったかのようにも見えるガリウスが、右手が完全に剣と一体化し黄金に輝く竜気を携えて蘇っていたのだ。


 真祖エネルゼアが何をしたのか、そもそも真祖エネルゼアが何者であるかも知らないレイ達にとって、目の前の事象は到底理解不能な出来事であり、それらを前に絶句する他有り得ないのであった。


「――何が、どうなって、いる……!?」

「し、しし、死んだはずじゃ!? だって、だって今、いまいまいまいま!!!!」

「この、攻撃も、ガリウスが……!?」

「代替わり……、エネルゼアの消失……、龍人(ゼア・イーリス)……。それが事実なら、相当ヤベェ」

「シオ。何か、知ってるの?」

「奴らは初めから、俺をエネルゼアの代わりに置こうとしていた。だが俺が断った結果、ガリウスがエネルゼアの後継になった……それだけの話、それだけの話、なんだがよぉ……それが一番、最悪な結果になりそうだって、話だ。俺の推測が正しければ、野郎は……ガリウスは――」




「クハハハハハハハッ!! これが、これが全能、これが全智……!! ()()()()()()()()()()()()()()()だ……! 今ならば分かるぞ、本当の、竜気の使い方と言うものがなァ!! まずは手慣らしと行こうか――フンッ!!」





「全員、避けろ!」

「ストラウス、こっち……!」

「え!? あ、腕が、もげ――」


「ヒバリ! 頭を下げて!!」

「はい、マスター……!」


 上機嫌、どころか天井を超えて有頂天にまで上り詰めたガリウスは、最早敵ですらない、とでも言いたげな様子で自分の力に酔い痴れる。

 それも束の間、ガリウスは空いている左手で竜気を意のままに操ったかと思えば、局所的な地震がレイ達を襲う。


 足場が不安定な中、レイ達は揺れ動く地面から逃れようと咄嗟に動き出すも、地震に続けて突如として飛び出してくる岩石の槍に翻弄されてしまう。中でも重点的に狙われるレイとヒバリを襲う岩石の槍は他の組よりも激しく、遂には飛び出すタイミング、方向を意図的に変更した岩石の槍に脚部を狙われてしまう。


「くっ……!!」

「マスター……!」


 レイはヒバリを抱えて地面を派手に転がるも、硬く抱き寄せたヒバリを決して離すことは無い。

 けれども、そうして晒された隙をガリウスがみすみす見逃してくれるはずもなく、レイの目には悪辣な笑みを浮かべたガリウスが右手を振り被る姿が映る。



「――死ねッ!!!」



「あれは……カムラ君の、真空ノ刃ッ!?」


 それは先程レイの背を切りつけた透明な刃であり、幻想部隊副隊長カムクラの竜気覚醒でのみ撃つことが出来る強靭な刃。先ほどの一撃は遊びだった、とでも言えるかの如き威力は、差し迫る刃が硬い石の床、岩盤を削ってレイの元へと迫っている事から推察できる。


 それは初手の小手調べを止めて本気で始末しにかかった証拠なのか、レイには理解できないまま眼前に「真空ノ刃」が到達しようとしたその時、一つの影がレイの視界を覆う。



「――剛毅・不動!! く、うぅっ……!」



 白い竜気と緑の魔力が混じって、翡翠の如き輝きを宿したシスティナがレイの前に出ると、迫る真空ノ刃を防ぐ。

 ギャリギャリと削るような音と共にシスティナの苦しむ声が聞こえてくる中、システィナの背に隠れてレイは弓矢を構える。身を挺して守ってくれた彼女の奮闘を無駄にしない為にも、レイはここで動かなければならなかった。


 しかし――。



「見えているぞ? 届くと思うのであれば、射ってみるがいい」



 システィナの背に隠れて完全に死角であるはずのレイの姿がまるで見えているかのように挑発の言葉を口にするガリウス。その声に一瞬の躊躇いが生まれるも、肉が抉れて神経が剥き出しになった足でレイは踏ん張って、システィナが真空ノ刃を弾くのに合わせて矢を放つ。それも、一本ではなく、四本まとめての掃射。


 その結果は――。



「届くはずも、無かろうが!!」



 確実にガリウスの急所を狙ったはずが、その場から動いていないガリウスを矢が避けるかのような軌道を描いてガリウスの背後へと消える。

 そんな馬鹿な、と声を上げる暇も無く、ガリウスは次なる行動へと出る。



「それ、もう一発だ。どこまで受けられるか――」



「くたばりやがれ!! 死に損ないがァァアア!!!」



「――凍れ」



「なッ、魔法が……!?」



「面白いものを見せてくれたが、俺がエネルゼアの力を継いだ以上お前は用済みだ。死に晒せ、下等種族――!!」



 カムクラが竜気覚醒状態で「真空ノ刃」を撃てるのは精々二、三発。それ以上は竜気の暴走に繋がる可能性がある為、乱用は出来ない。

 だと言うのに、龍人(ゼア・イーリス)と名乗るガリウスはオリジナル以上の威力のものを、何発も、それも連発できるとあっては、その脅威は計り知れない。それに加えて、空いた左手は竜術を行使すると言う。レイとシスティナのカバーにすかさず入ってくれたシオも、魔法の物量による力押しを試したものの指を一つ鳴らしただけで暴風は微風となってガリウスの髪を揺らすのみで、続けて準備した竜術がシオを襲いにかかる。



「――終撃・羅刹ッ!!!」



「チィッ。次から、次へと!!」



 シオが距離を取る時間を稼ぐために、今度はシスティナが極竜黎魔万象体発動時のみに使用可能である竜魔闘法の奥義でガリウスへと果敢に攻め込んでいく。

 システィナの繰り出す拳、そのどれもがガリウスには届かず、ガリウスの攻撃のみがシスティナを襲う。しかし、ガリウスの攻撃を誘導するように間にレイの矢が挟まる上、シオの追撃がガリウスを襲い、優位でありながらも攻め切れない状態にガリウスは陥ってしまう。


 こうなってしまえば先程の二の舞。後はストラウスがガリウスの未来視に干渉するのみ、となったタイミングで、ガリウスは悪逆の限りを詰め込んだかのような笑みを若返ったばかりの顔に浮かべる。




「――甘いわァっ!!!」




 瞬間、ガリウスの左手が炎を纏い、レイの矢もシオの魔法も、システィナの身体ごと纏めて焼き払われる。


「ゲホッ、ゲホッ! ガ、ハッ……! まだ、行ける……!」

「無理すんな、角女。その火傷じゃあ、次に突っ込んだら最後、餌食になるだけだ」


 命からがらと言った様子で逃げ延びて来たシオとシスティナ。

 シオに引っ張られる形で救出されたシスティナだが、彼女の身体は全身に火傷を負っており、まともに動けるようになるには少しばかり治癒に時間をかけなければならない。そして、システィナに「休め」と告げるシオもまた、捕まっていた時に受けた傷に加えて、爆炎に巻き込まれたシスティナを救出するために負った怪我が天色の鱗を曇らせていた。


「ストラウス! どうしたの!?」


「む、無理だ……! やってみたはいいけど、オイラの竜気じゃ、無理だ……!!」


 先程は干渉出来たのに、今は干渉を受け付けないどころか、逆に喰われてしまいかねない恐怖を味わったせいか、ストラウスは一人怯えて頭を抱えてしまう。


 万事休すか、と思えたその時、態勢を整えたガリウスの元に近寄る一つの影に全員が気付く。



「が、ガリウス様……! なんとお麗しい御姿になられて……! 俺は、俺は一生、貴方様について参ります……! さぁ、共にあの愚かな連中を嬲り殺しましょう!! 存分に、存分に俺を使ってください!」



 先程の地震か、それとも戦闘の余波か。

 何かの拍子に目を覚ましたシュウが、黄金の輝きを放つガリウスにすり寄っていたのだ。


 ゴマを擦るその様は手慣れていて、その行為が日常的に行われていたかと思えばガリウスとそれ以外の関係は何処まで行っても不純なもののように思える。


 しかし、シュウが開き直ってレイ達へと向き直り、ガリウスに背を向けた瞬間、事は起こった。




「――は、え……? ガリウ、スさ、ま……? なん、で、どう、し、て――」

『――』




「お前は俺の糧になれるのだ。光栄に思うがいい」




 シュウの胸を貫くガリウスの左手。余りの苦しさにシュウの影からマンティコアが姿を現すも、ガリウスはそれを何でも無いかの如く、踏み潰した。


 直後、マンティコアの身体は端から竜気になって消えていくのだが、その竜気はガリウスに吸い込まれていき、後に残されたのは物言わぬ亡骸と化したシュウの身体と、そこに詰まっていたはずの大量の血液のみ。



「フゥ、ハァッ……!!! ……クハ、クハハハッ! 心地良い、心地良いぞ! これが、()()か。もっとだ、もっと、俺に食わせろ――!!」



 マンティコアの竜気を吸収したガリウスは、恍惚そうな溜め息を零したかと思いきや、突如として力み出し、力を解放すると同時にガリウスの背に幻想種のような翼が生まれる。


 ガリウスは目の色を変えて「食わせろ」と繰り返しながら翼をはためかせ、その体を浮かせていく。まるでもうレイ達には興味が無いかの如く。


 そんな中で、唯一ガリウスに与していたアキナがガリウスの目に捉えられる。

 彼女はヒバリに倒されてから動く事が出来ておらず、同僚であったシュウが殺された光景を目の当たりにして自分も同じ運命に合うのかと顔色を恐怖に染めていた。



「――食う価値もない」



 しかし、アキナを一瞥したガリウスが口にしたのはその言葉であり、アキナは最早、部下や道具は疎か、餌としてさえ見て貰えていない事実に安堵したかのような、更なる恐怖が湧いてくるような、言いようのない感情の波に襲われ、膝から崩れ落ちるのであった。



「空よ、落ちろ」



 地下空間の天井に到達したガリウスがそう言うと、まるで天井が波打つかのように揺れ動き、ガリウスを中心とした地上へ続く円が生まれる。

 当然、穴が空けば天井も崩れてくる訳で、円が広がる様に天井の崩壊が始まっていく。


 このままでは生き埋めになる他無い状況で、レイはもう一度だけストラウスに詰め寄っていた。



「――本当に、今のガリウスの未来視に、干渉出来ない?」


「む、むむむむ無理だよ……! オイラの竜気じゃ……」


「本当の、本当に?」


「…………一瞬、だけなら。ッ、で、ででででも! そうなるとオイラの竜気は全部尽きる訳で、何が言いたいかと言うとそのあとは完全にオイラは足手纏いになる訳で――」


「今も十分足手纏いだけどな」


「ヒドイぃ」


「それなら、頼んでもいい?」

「なんだ、レイ。作戦でも思い付いたのか? 生き埋めになる前に済む方法で頼むぜ」

「一瞬でいい。一瞬さえあれば、必ず倒せる――」



 不安に揺れるストラウスに対して、手の付けようのない存在と化したガリウスに対抗するには不十分となるまで追い詰められた仲間たちの前で、レイは作戦を決行する。



「――かもしれない」

「そこは自信持ってくれ」

「だって分かんないじゃん!!」

「オレは最期まで、レイと一緒だ」

「ヒバリだって、一緒ですよ」

「オイラは、オイラは……うぅ……」











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