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12 竜騎士団2年目 竜騎士団団長補佐

団長とツララが詰所に戻って来ると、その間にマヤが突貫でかき集めた竜騎士団団員用アイテムが渡された。戦闘服や緊急連絡用アイテムなど、多くはユリのお手製である。


その後、ツララの机の配置を決め、マヤから庶務的な説明が始まった。

ツララの机はマヤとケイの間に決められた。もともとケイの机だったものをツララに渡し、ケイは空いていた隣へと移動する。


お昼になるまでマヤからの説明が行われた後、お昼の時間になった。

お弁当を取り出したマヤとケイに対し、ツララもお弁当箱を取り出した。


ツララのお弁当、中身はおにぎりと梅干、たくあん、卵焼き。渋いチョイスだった。ただ、量が多くケイのお弁当の2倍近くありそうだ。食べるスピードも速く、あっという間に弁当箱は空になった。


「ツララちゃん、いい食べっぷりですね~」


マヤの雑談に対し、ツララも真面目に答えた。


「暗部の癖で。食べられるときに食べておかないと、体力持たないので」

「そうね、食べないと色々大きくならないし。・・・そういえば、ツララちゃんは何歳なの?」


「ええと・・・(じゅう)(ピー)です」

(じゅう)(ピー)才!」


大げさに驚いたのは、先ほど道具を詰所に持ってきていたユリだった。そのまま詰所に居座って固形の携帯食料をかじっていたのだが、しっかりと聞き耳を立てていたらしい。

立ち上がり、こちらに向かってきた


「じゃ、暗部には何年いたの?引き抜かれるってことは腕利きなんでしょ?」

「ええと・・・それは、ごめんなさい。言えないんです」

「言えない?どうして?」

「それは・・・」


困った様子のツララに、団長が助け船を出した。


「まあ、暗部には色々あるんだよ。そんなに責めないで。そこは追い追いでいいじゃない?」

「団長も若い子の方がいいのね。はいはい分かりました。三十路秒読みのババアには興味ありませんって?このロ〇コン!」

「そんなこと一言も言ってないけど・・・」


一人エスカレートして標的を変えたユリが団長に詰め寄る。団長が珍しくタジタジしていた。


「ユリさん、ケイくんたちが上手くいったからって焦ってるんですよ」


こそこそ、とマヤがケイに耳打ちするが、それすらも地獄耳のユリは聞こえていたらしい。


「マヤ~。言ったわね~。あの事バラしてもいいのよ~」

「ちょっと。やめてくださいユリさん。それ、完全に八つ当たりですよ!」


わちゃわちゃしてきたところで、団長が収拾に入る。

立ち上がり、ユリの手を取ってキメ顔で言った。


「私は、昔からユリさんのことを大事に思っているよ。知ってるよね?ユリ姉さん」


イケメン団長のキメ顔である。姉さんと呼ばれたユリは一時停止した。少しして、赤くなったユリが再起動した。


「・・・知ってる」

「じゃ、それでいいじゃない。竜騎士団員同志、仲良くしようよ」

「・・・そうね」


ユリがツララに向き直る。


「ごめんねツララちゃん」

「いえ、気にしてないですから」

「そう?何かあったら言ってね?力になるから」


本性はマッドなサイエンティストであるユリだが、笑顔で言葉をかける様子は、頼もしいお姉さんに見えた。


その後、ユリは団長の方に歩いて行った。何だろう、と思って見ていると、団長の後ろに回り込み、団長にしなだれかかった。よく見えないが、どうやら背中を指でいじいじしているようだった。


「ねえ、カイ。姉さん、カイと、今晩、仲良くしたいな~」

「・・・」


小声の猫撫で声でささやいているようだが、ケイたちにも丸聞こえである。

こちらを向いている団長の顔が何とも言えない表情に変わったとき、昼休みの終わりを告げる鐘の音が聞こえてきた。

これ幸い、と団長がケイに告げた。


「そうだ、ケイ。今から時間取ってもらえないか?二人で行きたい場所がある」

「え、俺ですか?」


ユリが今どんな顔をしているのかは見えなかったが、きっととんでもない表情なのだろうな、と思った。プレッシャーが半端ない。


「そう。重要な話だ」

「大丈夫です。今日は討伐任務ないですし」

「よかった、じゃあ行こうか」


団長が詰所を出ていく。ユリに絡まれる前に、ケイも急いで後を追った。



団長とケイがやってきたのは、庁舎の奥、市長の執務場所だった。

カイ団長が重厚な扉をノックする。


「入れ」

「失礼します」

「失礼します」


中では市長が机の上の書類を見つつ、椅子に座って待っていた。


「近くへ」


団長が市長の近くへと歩いていくので、ケイもついていく。

団長とケイが机の前に並ぶと、ケイの方を向き、市長が口を開いた。


「今日は君に内示を出すために呼んだ」

「・・・」


姿勢を正した二人に対し、市長は立ち上がり、机の上に置いてあった紙を取り、読み上げた。


「竜騎士団団員、ケイ。貴殿を来月1日付で竜騎士団団長補佐に命ずる」

「はい、期待に沿えるよう、全力を尽くします」


差し出された紙を受け取り、お辞儀をしたケイを見て、団長と市長は頷いていた。

正直言うと、団長補佐というのが何をするのか分からなかったので、とりあえずケイは儀礼にのっとって返答をしただけだが、やり取りとしては問題なかったらしい。


「さて、では詳細を話そうか」


市長は雰囲気を和らげると、応接用の長テーブルセットを示し、3人はそちらに移動した。テーブルの長辺に市長、テーブルを挟んで反対側の長辺に団長とケイが並んで座った。


さて、と一息置いて、市長が話を始めた。


「竜騎士団団長補佐は私が新しく作った。その名の通り、竜騎士団団長を補佐することが役割だが、それだけが目的ではない」

「はい」

「本題である団長補佐についての話に入る前に、まずは背景から話す。少々長い話になる。まずはこれを見てくれ」


そう言うと、水晶玉を取り出した。魔力を込めると、玉からは光が伸び、壁に映像を映し出した。


「これは、映像記録装置でしょうか?」

「その通り。竜騎士団団員・ユリ君が作成したものだ。君はこういう道具をこれまでに見たことがあるかな?」


ユリから見せられたことはなかったので、正直に答えた。


「いえ、ありません」

「そうか。では、前世では?」

「え?」


あまりにも突然のことで驚いた。普通であれば、突飛すぎて何のことか分からない、意味不明な質問だろうが、ケイには意味が理解できる、出来てしまう質問だった。

思わずフリーズしたしたケイを見て、市長は続けた。


「前世の記憶を持つものを、我々は転生者、と呼んでいる。君もそうだな?」


確信を持って話す市長に、ケイは何も答えられない。

団長も口を開く。


「覚えているかい?以前に話をした、正式に竜騎士団団員になる条件を」

「・・・はい」

「何だった?」

「半年前よりも強くなること、ですよね」

「そう。それが一つ目の条件。そして二つ目の条件がこれ。転生者であること、だ」


ケイはハンマーで頭を殴られたような錯覚を覚えた。それくらい、衝撃的な事実だった。


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