その24
「どうだろう? ボクがリオン君ならそうすると云うだけで、リオン君はこの距離で仕留めるつもりかも知れないしね。どちらにしろ、主導権を奪い返した以上、相手に反撃させる暇を与えずに畳み掛けるなら、明神君が唯一対応出来ない距離──遠距離戦で勝負を付けにくると思うな」
アールマティの予想を裏付けるかのように、徐々に“六華比良”の間合いが暁生が咄嗟に反応できる距離から外れていく。
それに応じるかのように、リオンの動きも攻撃後の離脱距離が心持ち増していった。
「リオン君相手の中距離戦対策のセオリーは自由自在に高速機動を出来ない空間に持ち込む事。本当はね、明神君、結界の壁を背にしたいんだろうけど、それをするとこれ幸いと確実に遠距離戦にリオン君が持ち込む事確定だからね。苦肉の策として、“六華比良”で相手の動きを阻害して攻防一体の一撃を【鬼哭】で見舞っているけど、攻撃術法の迎撃もあるから狙い澄ました一撃はまず無理。明神君の性格上、本来なら“六華比良”を直ぐに防御に回せる位置で使いたいはずだけど、近間で使うにはリオン君の突進能力が驚異過ぎて博打になる。だったら、分かり易い攻撃を誘う事で、反撃に転じたいところだけど……問題点は、その攻撃の威力が想定できない事。中距離戦でどうにもならないならいっそ開き直って遠距離の一撃をどう凌いで、そこから間合いを詰めるか考えた方が良さそうだからね。その当たりの駆け引きが、次の見所なんじゃないかな」
「リオンの遠距離の攻撃力って、どんな程度なんだい?」
アールマティの解説を聞きながら、だんだんと様相が変わってきた中距離での駆け引きが何をもたらすのかに思いを馳せる。
「並の防御結界ならあっさり貫通するよ。“六華比良”ならぎりぎり防げるんじゃないかな。防御の上から削られる事も考えると、直撃は避けたいね。まあ、明神君の事だから、あっさりと他の手で防ぐ可能性も否めないけど」
多少考え込みながら、アールマティは冷静に分析する。




