その23
「もう、レベルが高すぎて、私には実況不能なんですが、どうしたモノですかね」
ほとほと困った顔で、クーロンは溜息を付いた。
「大丈夫。ここら辺の勝負は全部後でスローで見ないと誰も分からないから。レクサール君はまだ付いてこられている?」
「不思議と、全部見える。……リオンが何か細工してくれたのかね?」
アールマティの問いに、レクサールは困惑しながらも答えた。
「だったら、私にもしておいて欲しかったところです。さて、先程まではヴァシュタール先輩が押していたように見えたのですが、今はどうなっているのでしょうか?」
愚痴りながらも、クーロンは実況を続ける。
「明神君が“六華比良”の攻め太刀を使い始めて勝負を再び振り出しに戻したところだね。さっきも云った通り、今のリオン君は防御に魔力を割り振っていないから高速移動中に“六華比良”のどれかに当たっただけでも一本を取られる可能性が高い。当然、そうなる事を避ける為に進路を変えるわけで、それを予測して“六華比良”をできうる最高の速さで明神君は設置しているわけ。高度な読み合いで自分の土俵に持ち込もうとしているんだね。さっきから、それで何度か【鬼哭】の間合いに無理矢理誘導されているけど、リオン君もその動きをかなり読んできたから……そろそろ次の展開になるかもね」
平然と高速戦闘を目で追いながら、アールマティは二人の手の内を予測した。
「次、と申しますと?」
勝負自体が見えていない事に対して開き直り、クーロンはアールマティの解説の相鎚に専念する。
「君が得意な間合いにリオン君が転じると思うよ。その為の布石だろうしね、この“六華比良”を攻勢に転じさせるように誘導したの」
「リオンの計算通りという事なのか?」
アールマティの解答を聞き、レクサールは首を傾げた。




