その12
「そういうところがリオンちゃんがまだまだな点よねえ。でも、拘りがないリオンちゃんって、つまらない生き方しかできなさそうだから、これはこれで良いんでしょうね」
そう言いながら、リサは優しく笑った。
「……全く、リサと和泉がそうやって甘やかすからこの子は増長するのよ。ガツンと云うのが私だけじゃ意味ないじゃない」
溜息交じりに愚痴るイシュタルを見て、
「でも、然ういう事は身内がやってこそ意味があるのよ? 私たちが云ったところで、リオンちゃんの為になるかと云えば、難しいもの。なんやかんや云って、あなたたち二人の絆は特別ですからね」
と、艶然と笑った。
「……まあ、然ういう事にしておくわ。とりあえず、この件は私たちが預かるから、貴方は結果が出るまで遊んでなさいな」
一つ溜息を付いてから、イシュタルは弟に窘める様に言い付ける。
「酷い云われようですけど、要望が通ったんでおとなしく従いますよ」
些か不満げに、リオンは引き下がった。
「むしろ邪魔ね。リオンちゃんがこれ以上関わると碌な事をしない気がするわ。彼の転入が決まるまではおとなしくしていてね」
有無を言わさぬ笑顔でリサはリオンの行動を掣肘した。
「……まあ、否定できる要素がないので素直に従いますけど、流石にその云われ様は俺でも傷つきますよ?」
多少いじけた口調で、リオンは言う。
「リオンが傷ついたところで私たちは痛痒ともしないもの。ま、諦めなさいな」
とても良い笑顔を浮かべてイシュタルはリオンに告げる。「今日は下がりなさい。実に有意義な提案だったわ」




