死んだ彼氏を生成システムで復元します④
ジョナサンを何度復元して、何度廃棄しただろうか。数えるのも面倒になってしまい、私はミーミルに相談した。
「ねぇ、どうしてジョナサンは暴力を振るうの? 昔はそんなことなかったのに」
『それは大変でしたね。復元されたジョナサンには、何か重要な要素が欠けているのかもしれません。心当たりはありませんか?』
私とジョナサンの間には、決して排除できない、あの女の存在がある。でも、私はジョナサンにその記憶を与えたくなかった。ミーミルに打ち明けると、すぐに提案が返ってくる。
『確かに、その記憶は理想的なジョナサンを復元するうえで重要なファクターと言えるかもしれません。次回は、それも記憶の一部として、ジョナサンを復元しますか?』
私は拒否した。それはできない。それだけは……。
「いえ、今まで通りにジョナサンを復元する。でも、これで最後にするわ」
『それがいいかもしれませんね』
もう何度目だろうか。復元されたジョナサンと、新しい生活を始める。だけど、結局は……。
「もうダメ、限界!」
私はジョナサンを廃棄したあと、部屋で一人頭を抱えた。
「やっぱり、ユグドラシルで生成するモノなんて、こんなものなのよ!」
そうだ、世間で言われている通り、ユグドラシルが作ったものは偽物。心がこもっていないのだ。
「じゃあ……復元師に依頼する?」
復元師。ユグドラシルによる生成と違って、人の手で丁寧にモノを復元する技術者たちだ。噂が本当ならユグドラシルよりも、人の心をリアルに再現して、依頼人の心を満たすはず。それなら、私に優しかったジョナサンが戻ってくるかもしれない。けど……。葛藤する私の傍らで、ニュースが流れていた。
『先日、ネイチャー派の重鎮である、ライアン・ラムドフェルド氏が幹事に就任しました。空席となったポストには、娘であるイライザ氏が就くと考えられ、関係者からは世襲による人選を疑問視する声があがっています。ただ、イライザ氏は引き続き、ユグドラシルの利用について、制限を主張すると――』
私は爪を噛む。こんなニュースが流れるということは、ユグドラシルの利用はさらにリスクが高くなるということだ。早く、どうにかしないと。
思考が淀んでいく。追い詰められる私だったが、室内に呼び出し音が響いた。誰かが、この部屋に訪ねてきたらしい。
「もしかして……見つかったの?」
私は恐る恐るドアカメラを覗き込むと……そこには黒いスーツの男が立っていた。間違いない。役人だ。私がやったこと……すべてバレてしまったのだ。
私は体が震えて動けなかった。しかし、しつこく鳴り響く呼び出し音。それは「もう逃げられないのだ」と警告されているようだった。




