第4話 クマウィークの顛末
捕獲した狙撃者10名
①うち5名は徒党を組んで クマ移送中の2機のドローンを一斉攻撃。
その結果 移送中の2機のドローンと共にクマは落下。
ドローン2機は全壊
クマも全身打撲で死亡
②個人狙撃犯3名に攻撃されたドローン3機は、攻撃をかわし、手順通りに狙撃犯は確保。
③男女ペアの狙撃犯に攻撃されたドローンは ペイント弾をくらい墜落。全損。
狙撃犯2名は、勝利を祝いつつ雪山下山中に 足を滑らせ、クマ穴に落下。
二人の大声で目覚めたクマに襲撃されかみ殺された。
◇
案件①について、
狙撃犯5名は逃走。
墜落した直前までに送られてきた映像を解析したが、襲撃犯たちは 狙撃直前までの巧みにかくれていたこと、さらに素早く狙撃行動をとったために、今だ 犯人を特定できずにいる。
逃走中の姿を 他のドローンがとらえることができなかったことから、
クマウィーク中のドローンの飛行コースが 察知されていた可能性もある考えられる。
保安体制の見直しも含めた 全技術班にとっての今後の課題山積である
◇
案件③について、
ドローン墜落後、偵察ドローンが速やかに出動した。
3時間後、偵察ドローンが、クマにかみ殺された狙撃犯2名を発見
「その二人が死んでいるのは確実か?」室長
「はい 体温の低下および 出血の状況 さらに心音が聞こえないことから間違いありません」モニター担当者
「クマは?」室長
「タグ無しの子熊2頭とタグありの母グマ1頭、
母グマは 落ち着きなく動いておりますが、子熊と共に現在地にとどまっております」
「その母グマは 間引き対象だったのか?」クマ保護係係長
「いいえ」母グマのタグ情報を基に クマ名簿を確認した担当者
「直ちに 間引き対象のクマとの入れ替えをするように」室長
「はい!」
「それまで 襲撃犯2人の遺骸はどうしますか?」輸送班長
「クマを刺激しないようにそのままにしておけ。
遺体のひきとりは クマ対策を終えてからでいいだろう」室長
「遺族や 人権派からのクレームが出た場合は?」広報課長
「興奮したクマによる被害の拡大を防ぐための 苦渋の選択だといいたまえ。
さらなるクレームが出た場合には
かの者達の違法且つ無謀な行為により、保護対象であったクマ親子が、
人を襲うことを覚え駆除対象になったのだから、命には命の対価の法則にのっとって あきらめることが肝心だと。
それ以上の議論はをしたければ、先に 彼らの破壊行動によって生じた、損害を速やかに賠償しろ! ということで よろしく」 室長
(まったく やくざの論法じゃないか? 毎度のことながら)
広報部員は 心の中で溜息をついた。
(おれ 死んだら地獄行き決定だろうな。
しかし 死体の引き上げを優先すれば 破損する機材が増える一方だ。
その賠償請求は 当然遺族のもとへ行く。
ならば クマ駆除を優先して そのあとで遺体を搬送する方が、結局は遺族の為だ。
そして 何の罪もないクマの母子を駆除対象とするのは心が痛むが、
今後の人的被害を防ぐためのやむを得ない措置なのだから。
実は俺 あの母グマがお気に入りだったんだ。
あいつが子熊の頃から ドローンを通して見守っていたんだから。)
室長は 心の中で クマに詫びを入れた。
◇
「話は変わるが、これからは クマウィーク終了後に クマ供養と ドローン供養と クマによって殺された人間の供養のための 法要を行おうか」室長
「それをやれば 絶対に 偽善的だとか、クマにより傷つけられた生存者を無視するのかって
マスコミから叩かれますよ」広報部長
「ドローン供養の費用は ドローンの修理費に回してください!」ドローン開発班員
「わかったよ、それじゃあ 俺個人として どっかの寺で読経してもらうから
参加したいやつだけ来い。香典とかはいらんから 気休めしたいやつだけ来い」室長
「その日が出勤日だったら 有給取らせてくださいね!」モニター班員たちが 口々に言った。
(やはり 一番凄惨なシーンを目にすることの多いモニター班員たちにとっても
供養は 自分達の心が受けた衝撃を和らげるためのシップのような存在なのだろう)
「善処する。」事務長




