叔父さんはわかってくれている
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「ただいまぁー」
悠希が家に帰って、そう言って玄関を入ると、父の正則が、「お帰りー」と言って、わざわざ玄関先までやって来る。
「悠希が居ない間に、鉄二が来てたぞ」
その日。悠希が木村家に行っているときに、叔父の鉄二が来ていたと教えられる。
「叔父さん。来てたんだ」
叔父の鉄二は、いつも何の連絡もなく、家に突然やって来る。それなので、これは特段と珍しいことでもない。
それでも家に来るのは、年に五、六回ほどだ。
「なんでも、父さんと母さんが全然つかまらなくって困ってるそうだ」
この父親が言った、父さんと母さんというのは、もちろん悠希の祖父母のことだ。
その祖父母は、数年前に二人だけで、同じ東京都内の奥多摩町の方に引っ越して、スローライフを送っている。
実のところ、その祖父母も、そこそこの不動産などの資産を持っていたが、そのときにそのうちのアパート二棟だけを残して、すべて売り払ってしまった。
そのお金で、奥多摩町に安い古民家を買って、残ったお金と残したアパートの家賃収入でスローライフを送っている。
そうなると、持っている資産の額は違えど、絢子さんが話した木村家の話と似ている。
父の正則が、どこかお坊ちゃん的なところがあるのも、叔父の鉄二がプロモデラーという浮世離れした仕事をして自由奔放にやってきたのも、この祖父母の影響だと思われる。
勘違いしてほしくないのは、現在の小日向家は、ごく普通の中流家庭だということだ。
それなので、父は普通の中小企業の課長で、母親も事務員として働いている。
但し、悠希の大学の授業料は、可愛い孫のために祖父母が出してくれた。
話を戻すと、その祖父母がつかまらないということは、考えられることは一つ。
「それなら、また二人でどこか旅行に出掛けたのかな」
そう悠希は、予想する。
「おそらくは、それしかないな」
父もそう言った。
「まぁ、さすがに叔父さんの結婚式のことがあるから、その前に連絡とかあるでしょ」
そう悠希は言った。
「あっ、それと悠希。鉄二がお前にって、プラモデルを置いていったぞ。たぶん、あった方が良いんじゃないかって、そう言ってた」
そう言って父は、叔父の鉄二から渡されたプラモデルの箱が入った紙袋を渡す。
その鉄二が、悠希のために持ってきたプラモデルというのは、舞花がこれから作る「RG リアルグレード 1/144 RX78‐2 ガンダム Ver.2.0 」だった。
悠希は、これから舞花とみんなに教えるためにも、このプラモデルが必要だと思っていた。




