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女子プラモ部  作者: 志村けんじ


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47/60

作戦成功です

♢


この様子を、少し離れた席で、悠希と環季と舞花《まいか》の三人は見ていた。もちろん、飯田にはすぐにバレないように、三人とも地味な格好をして変装している。


「突然の話で、娘が心配だったので、代理人の八神さんにも来ていただきました」

 絢子さんは、そう神妙な面持ちで言った。中々の演技派だ。


「それで、契約の話なんですけど」

 松下さんは、そう言って全部英文の契約書をテーブルの上に置く。


「こちらの内容を確認して、サインをいただけますか」

 そう言った。


「こちらは……?」

 この予想外の状況が理解できず、飯田が聞く。


「契約書ですが、何か?」

 冷静に松下さんが返す。


「いえ……。確認させていただきます」

 そう言って、飯田はその契約書に目を通すが、英語など、そもそも読めるわけがない。


 唯一、わかったところがあったので、そこを聞く。


「あの……。ここの4×100,000$というのは?」


「一人、10万ドルでの契約ということですが、それが何か?」

 松下さんは、冷静に答える。


「いや……。一人10万ドルというのは、さすがに……」

 10万ドルというのは、現在のレートで計算すれば、日本円で約1500万円ぐらいだ。


「アメリカでは、これが相場ですが」

 そう、松下さんが答える。


「そうよね。それぐらい頂かないと、割に合わないわよね」

 絢子《じゅんこ》さんも、そう言う。


「えーーっ、ダメなんですかぁーー。せっかく契約してもいいと思ったのに」

 そう、飯田の隣で、真唯《マイ》が残念そうに言う。


「あの……。スミマセン。社の方に戻って、一度検討させていただきますので、今日のところは持ち帰らせてください」

 そう言って、飯田はまだ熱いコーヒーを一気に飲み込む。


「熱ぃ!?」

 当然というか、飯田は口の中を火傷してしまったようだ。


「で……では、失礼させていただきます」

 そう言って飯田は、テーブルに置かれた契約書を持たずに、慌てて帰っていった。


 ずっと、笑いを堪えていた三人は、その飯田の様子を見て吹き出す。



「いやぁーー。最高でしたねぇーー。あの飯田って人の様子」

 真唯《マイ》が言った。


「まったく。希実のあの迫真の演技見てて、笑いそうになっちゃったわよ」


「いえいえ。そんな絢子《じゅんこ》さんの演技も、中々でしたよ」


「二人とも。満更でもなかったです」


 そこに別のテーブル席にいた三人もやってくる。


「どうもどうも、みなさんお疲れ様でした」

 そう、環季が言った。


「凄く、面白かったです」

 悠希が言う。


「舞花《まいか》はどうだった?」

 真唯《マイ》が聞く。


「スッゴイ、最高ーだっだ!」

 舞花《まいか》が声に出して言った。


「なら、今回のこのことは、最高ーだったということで」

 そう言って、真唯《マイ》が締める。


 そのあと、飯田の方から何かしらの連絡がくることはなかった。


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