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女子プラモ部  作者: 志村けんじ


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作戦開始です


「いやぁーー。あの男の人。明らかに怪しかったですよねぇーー」

 四人で電車に乗ってすぐに、真唯マイが言った。


 舞花まいかがすぐに「うん、うん」とうなずく。


「確かに、アレは怪しかった」

 環季が言った。


「でも、環ちゃん。本当に騙されないでね」

 悠希が念を押す。


「さすがに、アレには騙されないっしょ」

 環季が自信満々に答える。


「いやぁーー。アレは、凄くアブなそうだった。環ちゃん、ちょっと身を乗り出してたし」

 悠希が、そのときの環季の様子を振り返る。


「いやぁーー。バレてましたか」

 そう、環季が白状する。


「そうですねぇーー。バレてましたね」

 真唯マイが言った。


 舞花まいかも、また「うん、うん」とうなずく。


「酷いなぁーー。わたしって、そんなに騙されやすいオンナに見えます?」

 環季は、そう冗談で聞いた。


「環ちゃん……。自分の胸に手を当てて聞いてみればわかるよ」

 悠希が、そう冗談で返すと、環季は自分の胸に右手を当てる。


「本当だ……。私の胸も、わたしが騙されやすいって言ってる」

 環季がまた冗談で返して、四人みんなで笑った。


 それで、真唯マイが考えた作戦というのは、実に単純なものだ。


 まず、真唯マイの母親役には、真唯マイの叔母である絢子じゅんこさんにしてもらう。


 そしてマネージャー役には、松下さんになってもらう。


 今度飯田と会うときは、こちらから契約書を持参する。その契約書は、真唯マイが作成する。


 たった、それだけだ。


 飯田とは、早速次の日曜日に、チェーン店のカフェで待ち合わせした。


 約束の時間に、少し遅れて飯田がやってくる。もう契約は決まったとばかりに、余裕の様子だ。


 注文カウンターで、しっかりとコーヒーを注文している。


 飯田の名刺に書いてある事務所をネット検索で調べたら、確かに事務所は存在した。


 但し、そこに所属しているタレントなどのことについては、その記載が一切なかった。


「どーも、スミマセーン。ちょっと、遅れまして」

 テーブル席に座っていた真唯マイを見つけた飯田は、熱いコーヒー入った紙コップを持って、その真唯マイの隣に座る。


 向かいには、絢子さんと松下さんが座っている。二人とも、キッチリとしたスーツ姿だ。


「あの……。それで、お二人は?」

 飯田が聞いた。


「あっ。紹介しますね。右に座っているのが、母親で。左にいるのが代理人の方です」

 そう、真唯マイが説明する。


「あの……。スミマセン。お母さんの方はわかるのですが……。代理人の方というのは?」

 そう、飯田が聞いてくる。


「初めまして。わたくし、アメリカのトライアルエージェントの代理人を努めております、八神と申します」

 松下さんは、そう言った。この八神というのは、もちろん偽名だ。


これはすべて、イタズラ好きの真唯マイが考えた作戦だ。


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