現れた美少女
♢
待ち合わせの約束の時間になっても、舞花は現れない。
「舞花ちゃん、来ないね」
環季が言った。
「いや……。多分、もう来てると思いますよ。さっきDMが来ましたから。きっとどこかで、こっちを見てるんじゃないですかね」
そう真唯は、あっけらかんと言う。
「やっぱり真唯ちゃんだけで、あたしと環ちゃんは余計だったかも」
「いや。それはないです。だって、来ましたから」
そう真唯は言った。
向こうから、ロリータファッションの、本当に可愛い美少女が歩いてくる。
「あのコ!?」
悠希は、そう驚いて言葉を失った。
舞花が、極度の人見知りだということは置いておいて、このファッションでは、逆に他の人より、目立ってしまっているのではと、そう思ったからだ。
そうして、三人の目の前に来た舞花の第一声は、驚くしかなかった。
「Hi, mai. I’m so happy to finally meet you.」《ハイ、真唯。あなたに初めて会えて嬉しい》
そう言ってくる。
「Oh. Me too.」《わたしもよ》
真唯も、当然のように英語で返す。
「何故に、英語……」
悠希は思わず呟く。
「Nice to meet you. I’m Maika, and I’m seventeen.」《初めまして、舞花です。17歳です》
と、舞花は、悠希と環季にも挨拶をする。
「えっとぉーー。マイネーム イズ ユウキ。アイム トゥエンティツー イヤーズ オールド」
と、悠希は、片言の英語で答える。
「Hi. My name is Tamaki. I’m twenty-to years old.」《わたしの名前は環季です。22歳です》
と、環季も流暢に英語で返す。
「なんで、環ちゃんも英語で」
悠希は、思わず環季を凝視する。
「もぉーー。悠希ちゃん。さすがにあたしでも、これぐらいの英語はできますよぉーー」
と、環季は返す。
「そう……だね」
すると舞花が、真唯に何かを耳打ちしている。
微かに聞こえる舞花のその声は、日本語のように聞こえる。
真唯は、それに対して、「うん、うん」と頷いている。
「ねぇ。真唯ちゃん。舞花ちゃんは、どうして英語なの?」
そう悠希が聞いた。
「えっ。あぁ。彼女、主語が多い英語だと、自分が思ったことも直接言えるって言ってます」
そう真唯は答える。
「おっ。なるほどぉー」
と、環季は妙に納得している。
「そうすると……あたしたちも舞花ちゃんとは、英語で話した方がいいとか?」
そう悠希が聞いた。
「あっ。それは大丈夫です。彼女、そこまでは英語できませんから」
そう真唯は答えた。




