サイドピースポーズ
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後日、悠希は真唯の「当日の保護者」ということで、舞花と会う約束をしていた。
ところがだ。そこに環季も同行していた。
「えっと。環ちゃんは、なんで?」
待ち合わせの場所の駅に行くと、真唯と環季がすでに待っていた。
「いやぁー。せっかく乗り掛かった舟だから、このままお供しようと思いまして」
環季はそう答える。
「えっとぉーー。今日会う舞花ちゃんが、極端な人見知りという話は?」
そこさえクリアなら問題はない。
「あっ。そこは多分大丈夫だと思います」
真唯が言った。
「えっ!? どうして、それがわかるの?」
悠希がそう聞くと、真唯は、SNSの舞花からのダイレクトメッセージを見せた。
そこには、「You’re all very welcome.」《みなさん、本当にようこそ》とある。
「えっと……。ベリーウエルカムなんだね。あの極度の人見知りという話は?」
悠希は聞いた。
「それは多分、会えばわかります」
真唯はそう答える。
「そうなんだ……」
そう言われても、悠希にはどういうことなのか、まったく想像がつかない。
「大丈夫。会えばわかります」
真唯は、そう言って、サイドピースポーズを決める。
この真唯がよくするこの「サイドピースポーズ」は、1990年~2000年代前半に、プリクラ文化とともに流行ったものだ。
女子中高生の間で、「顔を小さく見せる」「可愛く盛る」ためのポーズとして、この横ピースを目の横に当てる、「サイドピースポーズ」が定着した。
また、2000年代中盤~後半には、ギャル雑誌・ギャル文化の影響でさらに広がり、プリクラ以外の写真でも一般化。
2010年代では、K‐POPアイドルの影響で再燃すると、アジア圏やアメリカのティーンの間にも広がる。
ただ、年代的にみると、多少の古臭さを感じる人も多いと思われる。
それはプリクラ文化の全盛期が、1990年代後半~2000年代であるがゆえに、2020年代~の中高生には、「昔のギャルっぽさ」を、どうしても感じさせてしまうからだろう。
ちなみに現在は、K‐POPアイドルがするポーズが多様化し、「ハートのポーズ」「指ハート」「頬ハート」などのポーズが主流となっている。
その他、TikTok世代では、「顔を隠す・盛る」ポーズが特に人気で、「手で顔を隠す」「頬に手を当てる」「顎に手を添える」などのポーズが流行りとなっている。
「真唯ちゃん。よくそのサイドピースポーズしてるけど、もうあんまり、日本の友だちの前ではしない方がいいかも。いまそれしてる人、多分少ないから」
悠希はそう言って、ちょっと気になっていたことを、やんわりと真唯に教えてあげる。
「えっ!? もしかして、古臭い!? これって、もう古臭かったりしますか?」
そんな悠希の優しさを察することもなく、真唯はダイレクトに質問を返す。
「えーーっ!? それなら、今はどんなポーズが日本で流行ってるんですかー? 教えてください!」
真唯は、そこからさらに深掘りする。
さすが真唯は、多感な思春期の6年間を、アメリカで逞しく育ったんだなと、悠希は感心する。
「いや……。あたしは、なんとなくその方がいいかなぁーって思っただけで詳しくは……」
そうは言った悠希だったが、悠希はそういった流行よりも、プラモデルが一番だったので、実際にはそういうことには疎かったのだ。
「えぇーーっ!? 知らないんですかぁーー」
真唯は、凄く残念そうに言った。
「ごめん」
悠希は、両手を合わせて、真剣に真唯に謝る。
「もぉーー。噓ですよ、噓。騙されました? そんなこと気にしませんよー。わたしこのポーズ気に入ってるんで、これからも飽きるまではやります」
そう真唯は、そう宣言した。
「ごめん。なんかあたし、余計なこと言ったみたいで」
悠希が、また謝る。
「だからぁーー。気にしないでください。なんだかんだ言って、わたし帰国子女なんでー。しばらくの間は、みんな大体のことは大目に見てくれますって」
真唯は、そうあっけらかんと言った。




