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女子プラモ部  作者: 志村けんじ


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26/30

途中経過


「どぉ? プラモデルの進み具合は?」


 会社に行くと、毎日のように、松下さんにプラモデルの進捗状況しんちょくじょうきょうを聞かれる。


「まぁ。それなりに形になってきたところです」

 ようやく、コツを掴んできたところだ。


「順調なんだ?」


「いまのところは、なんとか」

 取りあえず、組み立て自体は、問題ない。


「そう。良かった。ほら。あたしがけしかけたところもあったしね」


 松下さんのこの言葉を聞いて、悠希は「やっぱりけしかけてたんだ」と思った。


「ところで、木村部長とはどういうご関係なんですか? 知り合いみたいだったようですけど」

 最初のときに、ちょっと気になっていたことを聞いた。


「あぁ。絢子じゅんこさんは、あたしの母親」

 と、衝撃的な言葉が飛び出す。


「嘘!? ホントですか!?」

 当然ながら、松下さんを凝視してしまうほど驚く。


「噓よ。そんなわけないでしょー。あたしの母親は、あんなにキレイじゃないわ。ただの普通のおばさん」

 と、あっさりと噓を撤回する。


「もぉーー!? やめてくださいよぉーー!?」

 またすぐに、松下さんに騙されてしまった。


「だってそうなると、絢子じゅんこさんのお祖父さん、イコール、あたしの曾お祖父さんってことになるでしょ。無いない。そんな話」


「もぉー。松下さんが言ったんじゃないですかぁーー」


「でも、この会社では、あたしの母親のような存在。最初の、直属の上司でもあるしね」


「松下さんて、元は営業職だったんですか?」


「いいえ。最初から事務職。ほら、営業事務ってあるでしょ。営業の人のアシスタント的な。それ」


「へぇーー。そうだったんですねぇーー」

 松下さんの、こういう高いコミュニケーション能力は、そのときに身につけたものなのかもと思った。


「あたしは高卒入社だから、この会社ではもう10年以上になるのよ」

 これは、初めて知った。


「でも、3年目のとき、ある大きなミスをしちゃってね。会社に大きな迷惑を掛けちゃって。それを庇ってくれたのが、絢子じゅんこさん」


 人には、やっぱりいろいろとあるんだなと悠希は思った。


 但し。この話は、これ以上は聞かないことにした。余計なことは、詮索しないことが一番だ。そういうことにしておく。


 期限まで、あと一週間。それでも、それよりも前に仕上げたいと思っている。


 次の土日休みが、ヤマだ。


 そこまでなんとか、「完成」させたい。


 はやる気持ちを抑えながら、慎重に作業を進めていく。


上下の翼の下部と胴体と。あとフロートというのだろうか。水面に浮くための浮のところは、筆塗りで少しくすんだシルバー色に塗り分ける。

 そのあと、そこをエアブラシで白色を、前から後ろの方に流れるように少しパラ吹きした。


 こういう塗装の仕方は、これまで一度もしたことがない。別の動画を参考にしたわけでもない、悠希の完全な思いつきによるオリジナルだ。


 だから、「必ず上手くいく」という保証はなかった。


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