急募・このプラモデルを作ってくれる人を探しています
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会社の昼休み時間。いつものようにプラモデルの画像をスマートフォン見ていると、松下希実さんが、後ろからそれを覗き込んで声を掛ける。
「なにぃ~。今度は、お人形も作ることにしたの?」
松下さんがお人形と言ったのは、もちろん美少女フィギュアのプラモデルのことだ。
「いや……。そういうわけではなく。あたしは作らないんですけど、ちょっと付き合いで、ときどき友だちに教えることになりまして」
「それって、もしかして、遥香に頼まれた? 駄目よぉー。そんなに安請け合いしちゃ。嫌なときは断らなくちゃ」
この松下さんという人は、本当に察しが良い。いつもすべてお見通しなのかと思う。
「で、聞いた?」
松下さんの話が、急に別なことに飛ぶ。
「聞いた、って、なんのことです?」
当然悠希は、それがなんのことなのかと質問する。
「知らないんだ」
松下さんは、かなり気を持たせた言い方だ。
「はい。で、なんなんです?」
悠希は、食い気味に松下さんに質問する。
「あの……。言っちゃおっかなぁー。どうしようかなぁ~」
松下さんは、さらに気を持たせた言い方をする。
「だから、なんなんですか!? 教えてください!」
悠希も、さすがに我慢できずに叫んだ。
「ふふフゥ~ん。実はね。うちのマーケティング部が、社内でプラモデル作りできる人材を探してるらしいのよ」
「えっ!? えっ!? ホントですか!?」
これは仕事中にも、好きなプラモデル作りができるチャンスなのかと、悠希は迷った。
しかしそうなれば、これまで隠してきたことが、社内にバレてしまうという不安もある。
これはどうするものかと、瞬間的に悩んでいると。
「あっ、でも違うか。プラモデルじゃなく、模型って話だし」
と、松下さんは、肩透かしを喰らわす。
「えっ!? どっちなんですか、松下さん!?」
「えっ。う~ん。どっちなんだろう……。うちの会社って、産業用ロボットを取り扱う会社でしょ」
「はい。それはわかってます。まさか!? これから人が乗れるロボットを開発していくとか!?」
ここで悠希の妄想が爆発する。
「いや。ないない。それはさすがに無いわよ」
そこは松下さんも、冷静に否定する。
「じゃあ、なんなんですか?」
少し食い下がる悠希に。
「うん。そこはあとで、ちゃんと確認しておくから」
と、松下さんは、お茶を濁した。




