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『「 シェパード・ラインハルト様 

   転送完了しました  」』


脳に電気が走ったような刺激がめぐり、

頭に無機質な女性の声が響いた。

ゆっくりと目を開くと辺り一面、

白い世界が広がっていた。


「…どこだ?ここ。」


あまりにも現実離れした光景に、

独り言が漏れてしまった。


「ん?あ”ーあー。あれ?おかしいな。」


声がへんな気がする。

僕の声って、こんなに低かったっけ?


「あ”ー!…やっぱり、おかしいよな?僕って、こんな声だっけ?」


喉仏を触り、

ひたすら発生を繰り返すが、

聞き慣れた声を出すことは出来なかった。


『「 シェパード・ラインハルト様 

   様子がおかしいようですが 

   何かございましたか? 」』


またもや、頭にその声が響いた。

誰なんだ?

反射的に耳を触る。

イヤホンをつけていないのに、

頭で声が鳴っているような感覚。


「でも、悪くないかも。」


VTuberの

asmr配信を聞くのが趣味の僕は、

その刺激が気持ちいい。


asmr配信は、

広告の収益が剥がされると聞いたことがある。

そんなリスクを冒しながら、

我々リスナーを喜ばせてくれるとは…


「やはり、VTuberは素晴らしい!」


『「 あなた様も 

   VTuberですよね 

   シェパード・ラインハルト様 」』


「…ところで、あなたは誰なんですか?

 頭に直接響くような声は。」


『「 お伝え申し遅れました 

   わたくしは あなた様を 

   このバトルロイヤルに勝たせるために 

   サポート致します 

   超高性能ai ジェーミニです 

   以後お見知り置きを 」』


「ジェミニ?」


『「 ジェーミニです 」』


いかん、いかん。

名前に気が散っていたけど、

さっきの自己紹介、

すごく重要なことを言ってなかったか?

バトルロイヤルがなんとかって。


「ジェーミニ、バトルロイヤルってなに?

 なんか、突然すぎて怖いんだけど。

 これから、勝ち抜きバトルでもするの?」


『「 よくぞ お聞きくださいました 

   これに反応してくれなかったら 

   どうしようかと 」』


スゥー…


ひと呼吸挟み、脳内に、

微かな吐息が聞こえる。

…うん、素晴らしい。


『「 シェパード・ラインハルト様 

   あなた様がこれから 参加されますのは 

   VTuber同志の戦い 

   VTuberバトルロイヤルにございます 」』


「???」


VTuber…バトルロイヤル?!

何かの企画か何かか?

いや、僕にコラボしてくれる相手なんて

…よく考えれば、変だ。


なんで僕の声が、いつもより低くなっているんだ?


なんで頭に直接、声が聞こえるんだ?


なんでこんな、何もない空間が広がっているんだ?


なんでこの声は、

僕のことをVTuberとしての名前で呼んでいるんだ?


『「 あなた様の疑問は 

   この扉を開けば 

   全てわかります 」』


シュッ!


突如、何もない白い空間に、一つの扉が出現した。


「この扉の先に、何があるっていうんだ?」


恐る恐る、その扉を開けた。

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