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紫雲の國の玉水の恵み  作者: テディ
四の巻
95/153

余裕

 仁様にお腹の物は全部出すように言われ、水を飲みながら

頑張った。というより、そうせざるをえなかった。

いや〜〜、キラキラ出すって体力いるのね……。


だいぶ気持ち悪さも抜けて、気分が少し良くなると、

仁様は私を抱えて、すぐさま部屋へと連れて行ってくれた。

部屋には蒼と女官さんが待っていた。

なんと用意の良い……。


私は湯あみの時に、女官さんにお手伝いしてもらったことはない。

最初に、キッパリと断っていたので、進められることもなかった。

でも、今日は湯船で倒れても困るので、大人しく手伝ってもらった。

恥ずかしいけど、そんなことを考えられないくらいグッタリとしてしまったのだ。


おかげでスッキリして、蒼に髪を乾かしてもらい、

(今、小鬼達の中で蒼の真似をして髪を乾かすことが流行っているらしい……)

綺麗なお布団に横たえてもらった。

ハァ〜〜、気持ちいい……。

疲れはピークだったので、すぐにウトウトし出したの。

いけない、蒼を抱きしめてあげなくちゃ。

蒼を胸の上でギュッと抱き締めると、やっぱり嬉しそうにキュッっと鳴く。

う〜〜ん、私の極上の癒し……!!!

ありがとうね、蒼。女官さんも。


女官さんに声をかけられて、仁様が入ってきた。

「どうだ、雫? だいぶ良いか?」

睡魔と戦っていたので、声も出せずコクコクと頷いてみる。

「だいぶ顔色もよくなったな。眠いんだろう?少し眠っておけ。

晩飯の頃に起こしてやる」

起きて食べられると良いな〜〜。今日の夕餉、何かな?


そんなことを思っていたが睡魔には勝てず、まぶたはすぐに降りてきた。

眠い……。



「しずく、……雫。起きられるか……?」

遠くから声が聞こえる。……う〜〜ん、まだ眠いのよ……。

「雫様、……夕餉を運んできましたよ」

「仁様、無理に起こさぬ方がよろしいのでは……?」

「……そうだな……。できれば何か腹に入れておいて欲しいんだが……。

水分も取らせたいんだ」

そう言った仁様の声が、だんだんハッキリと聞こえてき出した。

……あれ? みんな居るの?なんとなく覚醒してきたところに、

師匠の声が聞こえる。マズイ、清志郎様も心配して残ってくれたんだ。

「雫、無理でなければ起きなさい。水は飲まねばならん」

「……はぁ〜〜い……」

我ながら、か細い声だった。


「おっ、良かった。目が開いたな。ああ、ゆっくりで良い。

起き上がれるか?」

布団の上に体を起こすために、仁様が背に手をやり手伝ってくれた。


「あぁ、すみません……。思っていたより俯瞰の稽古が……」

そう言っていると、目の前に湯飲み茶碗がスッと出てきた。

「雫、それより先に水だ。白湯にしてあるから、飲みやすいだろう」

私は、自分でというより仁様の手に助けられて、ひと口飲んだ。

うう〜〜、染み渡る……。

「どうだ?飲んでも気分は変わらんか?」

「仁様。大丈夫そう……」

「そうか、良かった」

仁様が、あからさまにホッとしたのが分かった。

あれ?……そんなに心配される状態だった……?


「雫、明日は稽古は休みだ。1日寝ておるように」

「清志郎様……、それでは朔太郎様との稽古が……」

「心配するな。朔太郎はお前付きと決まったのだ。

体調さえ戻れば、稽古はできる」

「はい」

力なく私が答えると、千隼様がまるで励ますかのように

明るい声で、明日のことを話してくれたの。

「雫様、明日はゆっくりとのことなので、華と揃えた

料理道具を見てくださいませんか?」

「え?! もう出来上がったのですか?」

パアッっと顔がほころんだのが自分でも分かる……。

嬉しかったんだもん……。

「ええ、試作品ですが、ぜひ見ていただきたくて」

「もちろん、見せてください」


そんなやりとりをしていた私を、仁様がクスクス笑いながら見ていた。

「雫は、美味しい料理があれば何でも乗り越えられそうだな」

思わず口をよがらせる私に、実道様も笑い出した。

「雫、行儀が悪いので、そんな顔をする物ではありませんよ。

でも、仁様のいう通りです。元気になるなら、それで良いではありませんか」

「雫、例の西洋料理か? 皆が待ちかねているようだからな。

あすに見せてもらうと良い」

清志郎様まで……。


「分かっています。皆さんの分、必ず作りますからね」

そう答えると、仁様はまた笑っていた。

「そうだな、そのために粥から食べんとな。

ほら、熱いからゆっくり食べろ」

……仁様が、ふうふうしてる……。


「いや、仁様、さすがに恥ずかしいので……。

自分で食べます……」

「そういうな、ほら口を開けろ」

過保護満開の仁様に困って、清志郎様を思わず見てしまった。


さすが師匠、間髪入れずに救いの手が……。

「仁、童ではないのだから、自分で食べさせるように」


そう言われて、眉間にシワを寄せた仁様に皆で大笑いしたのだった。



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